「え、人少ない…」決して広くはないBIG
CATのフロアの両端はパーテーションで立ち入り禁止にされ、丸テーブルまで出されている。とても、今年のフジロックのホワイトステージを人で溢れさせたバンドのライブとは思えない状況だ。「まあ、あと20分もあるしな」と言い聞かせ、後方のPAブースの近くに座ってZIMAを飲みながらiPodで予習。ところが、開演時間が近づいても、人がドッと増える様子はなく、贔屓目に見て7割程度の入りといったところ。ガラガラなのに後ろに座ってるのも変なので、Jimi側のステージ前方の方に移動して開演を待つことにした。
予定時刻を15分ほど遅れて、3人のメンバー(オヤジ)とサポートのキーボードプレイヤー(イケメンヤング)が登場し、"Snowden"でライブスタート。深いリバーブがかけられたキーボードのイントロがフロアに叙情的な空気を吹き込むと同時に、アルバムよりも生々しいJimiのボーカルとダイナミックなAndyのドラムスが幻想的ながらも現実的な世界を構築していく。さらに、シンプルで力強いリズムとディストーションギターの音の出し入れのセンスが光る"Sky
Starts Falling"と続き、序盤からロックサイドのDovesを存分に表現していく。
その後、"Pounding"から"Black And White
Town"へ。ところが、U2のように光を溜め込んで一気に放出する"Pounding"のギターソロでも、イントロのアレンジが骨太になってシングアロング度の高い"Black
And White
Town"でも盛り上がりは首を傾げたくなる程に限定的で、曲を噛みしめているという雰囲気はあるものの、バンドサイドの提案するロックサイドの音とオーディエンスが期待する音が微妙にズレているような感じもあった。
中盤では"Lost Souls"の楽曲が要所に挟み込まれる。"Sea Songs"でなかなか握れなかった会場の温度の制御権を掴み、"Eleven
Miles
Out"では淡々と演奏される個々のパートがシナジックに絡み合い、最終的にグルーヴ眩いばかりの光を放出したかと思えば、少ない音数でユッタリと長い周期のノリを持つ"Ambition"でチルアウトというように流れを完全にコントロール。
再び、"Lost
Souls"から淡い光の中でボンヤリと浮かび上がるような独特の雰囲気を持つ"Rise"、カントリー風味の味付けがされ、BPMが上がった"Last
Broadcast"、下世話な感じのサビが妙にハマる"One of These Days"と意外とマッチョな体格のJezが苦しそうに声を張り上げる絶叫系コーラスが使われる曲が続き、それまでの流れの中では多少違和感のある"The
Cedar Room"で本編終了。
5分くらいの後、Jimiがドラムの前に移動し、ホラー映画で一番最初に殺されそうな風貌のAndyがボーカルマイクの前に立ち、"M62
Song"でアンコール開始。Jimiに比べるとコクが少なく、喉の上っ面で歌う線の細いボーカルだけど、インターバルの後のせいもあるのか、どこか別の場所で演奏されている音楽を聴くような客観的な感じが心地良い。そして、Andyがハーモニカを取り出して"Here
It Comes"。Jimiのドラムは、Andyのように全身をバネのように使うダイナミックさではなく、楽曲の後ろからソッと支えるようにリズムを刻み、風貌とは正反対なところが面白い。「Walk
in Fire♪」って叫んでたオーディエンスを完膚無きまでに無視して、ラストは"There Goes The
Fears"。ステージ上から照らされた照明にフロアが浮かび上がり、いつしか増えたオーディエンスの影が上下に揺れる中、メンバー全員がパーカッションを叩いてライブ終了。
Jimiは「ちょっと時差ボケ気味なんだ」と言っていたけど、Andyが演奏する曲を1ヶ所間違えた以外はパフォーマンスとして大きな問題はなかった。特に、「メロディの良さ」というバンドとしての圧倒的な優位性を存分に活かした正論の構成はファンもファンでなかった人も充分に満足できる内容で、このセットリストでもフェスで充分にやっていけると思う。ただ、全体的にロックバンドとしてのエネルギーを感じさせるライブで、贅沢を言うと、1stアルバムに代表される繊細さの部分がもう少し表現されていれば文句なしだった。
「今日はMichael Jacksonがスペシャルゲストなんだ」と言いながら、似てない物まねをする繰り返すJimiを見ると、「やっぱり時差ボケで眠いのかな」と思った。(2005/11/3) |