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Editors / We Are Scientists/ Club Quattro
2月のFranz Ferdinand以来となるライブはイギリスニューカマーEditorsとアメリカのニューカマーWe Are Scientistsのショーケース的なジョイントライブ。ゴールデンウイーク明けの仕事溜まりまくり状態の中、定時少し前に会社をそそくさと抜け出して、心斎橋のクラブクアトロへ直行。6時55分くらいに会場に着き、ドリンクチケットをエビアンに換えてもらった後、PAブースの横のエアコンの吹き出し口の近くに陣取った。定位置のフロア後方奥のエリアが立ち入り禁止にされた状態で客入りは7〜8割程度というところで適度な人口密度。客層は若めで、女性が多かったのは少々意外。驚愕のオロナミンビールやオロナミンポカリなどのドリンクがなくなっていたのは残念。

ほぼ定刻にフロアの照明が落とされ、まずはEditorsが登場。ライブ前は暗めの照明の中で仄かな明かりを感じさせる演出がされるだろうと思っていたが、全く逆に明るい光を照らすことによって生まれた影を感じさせる演出がされ、この瞬間に、自分の中でのEditorsとInterpolとの間の類似性論争にピリオドが打たれた。

オープニングトラックは"Light"。いきなり、個々の楽器が複雑に絡み合って緩やかなダイナミズムを生み出すというライブバンドぶりには驚いた。そして、スペイシーなギターを尻目に細かく動き回るリズム隊が不思議なグルーヴを生み出す"Blood"や「次は新曲だよ」と言って演奏したアルバムには収録されていないタイプのサイケデリックな曲では静まりがちだったフロアの温度を徐々に上げていった。

Editorsのライブを通して感じたのは、アルバムの微妙な部分はより繊細に表現し、激しい部分はより力強く表現できる器用さで、しかも単に個々の音の特徴をデフォルメするのではなく、全体の音のバランスを維持できていた。また、Editorsサウンドのフレームワークを司るギターとその中を様々な表情で動き回るギターの棲み分けもキッチリできていて、やや不安定なフレーズを動くギターをリズム隊がバックアップしたかと思えば、ギターがドッシリと動かない曲ではベースがメロディを奏でるように躍動的に動くという自由さも充分に再現されていた。時折不気味な動きを見せるTomのボーカルには深みと伸びがあり、時系列で輪郭をドンドン変えて行くスペイシーな音場に確固たるアイデンティティと安定感を与えていた。

ただ、機材のセッティングが充分に行われていなかったのか、Tomは曲の途中でギターを交換したり、曲が始まる前にチューニングをしたりしていたのは気の毒だった。また、淡々としながらも素晴らしいパフォーマンスを見せていたにもかかわらず、日本盤のリリース直後ということもあったのか浅かったためかフロアの反応は鈍かったのも残念だった。それでも、オフトーンのサイケデリアを炸裂させた"Bullets"や独特の浮遊感を持ったギターが心地良い"Release"、リフでボディーブローを打ち続けるような"Fingers in The Factories"へ続く流れは彼らのユニークさを見せつけていたので、サマソニでオーディエンスの反応は一変する気がする。

45分弱のEditorsのパフォーマンスの後、20分ほどのセットチェンジがあり、We Are Scientistsのメンバーが登場。ここで、Editorsの静寂が何だったのかと思うくらいの歓声が上がった。ライブを通して思ったのは、メンバーの立ち振る舞いやオーディエンスの反応がFranz Ferdinandっぽいということ。まだまだ大きな音を頑張って出しているという印象が強く、細かな表現力や演奏力はEditorsには及ばないものの、フロアとのインタラクションによってライブに一期一会的な楽しみを付加していく姿勢は若々しく、好感が持てた。

元々、楽曲自体は親しみやすい上に、それこそInterpolっぽい曲やFranz Ferdinandっぽい曲など、ある意味Editorsに比べて引き出しの数は揃っていそうなので、エンターテイメント面だけではなく、音楽的表現の巧みさに磨きがかかれば一気に化けても不思議ではない。ライブとして引き込まれたのは確かにEditorsだったが、楽しさの評価軸に比重を置けばではWe Are Scientistsの圧勝だった。

お互いが持っていないものを自分達の持ち味として発揮したイキの良い2つのバンド。サマソニまでのあと3ヶ月の間に、この日の経験を活かしてどれだけ変わってくるかが楽しみだ。(2006/5/13)

Editors Set List
  1. Lights
  2. Blood
  3. All Sparks
  4. <<New Song>>
  5. Camera
  6. You Are Fading
  7. Munich
  8. Bullets
  9. Release
  10. Fingers in the Factories This Boy