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Franz Ferdinand / Mother Hall
 月曜の朝、顔を洗おうとした瞬間にギックリ腰になってしまい、最悪な状態で迎えたライブ。救いは、何故か会場がBig Catと思っていた勘違いに前日気付いたことくらいで、ライブ会場を2回連続で間違えるという失態は何とか阻止。痛い腰を押さえながら、15分前くらいにMother Hallへ向かう。既に真ん中より少し後ろくらいのところまでは客がギッシリ詰まり、その後ろ辺りも人が増えつつあったので、奥側の階段に陣取ることに決定。この時点では人も少なく、柱の隙間からステージがそれなりに見えたので、取りあえず悲鳴を上げる腰のためにも座って待機。

 19:00ちょうどにサポートアクトのThe Beat Upが登場。アルバムはKevin Shieldsがプロデュースしているという話を聞いていたので楽しみにしていたが、正直期待ハズレだった。どの曲も似たり寄ったりの展開のメリハリのなさで、最初はウォームアップとして聴いていたけど、15分を過ぎた頃からひたすら続く退屈な時間に耐えられなくなった。結局、40分演奏したものの、激しいギターの音と時折挟まれる絶叫くらいの印象しか残らず、立ち上がる気も起こらなかった。

 それ程大がかりなセットを準備する訳でもなく、サウンドチェックを念入りにやっているようにも思えず、いい加減待ちくたびれてきた20:10頃にメンバーが登場し、"Michael"でライブはスタート。CDでは二世代くらい前の雰囲気の曲にスマートさをプラスしたような感じだったが、ライブではドラムもベースもギターも非常にエネルギッシュで、それに加えてボーカルの表情が豊かかつ非常にグラマラスだ。シンプルで挑発的なギターのフレーズはフロア内の人を瞬間的に一体化させ、その熱気がさらに周りを巻き込んでいくという正帰還をかける。そのノリは、メンバーも「君ら、スゲーな。思いっきり楽しんでくれよ」というくらいだ。ちょっとヒネくれたメロディの"Tell Her Tonight"でもその一体感が収まる気配はなく、それ程上質とは思えないアンサンブルが盛り上がりの飛び火を促進させて行く。「次は新曲だよ」という紹介で始まった"This Boy"は時計の針をさらに戻したようなメロディが印象的で、ナルシスト気味なボーカルの雰囲気にジャストフィットの楽しさ溢れる佳曲だ。ありきたりと言えばありきたりだが、終盤のブレイクもビシッと決まって格好良かった。

 「次は古い曲だよ」といって始まった"Take Me Out"は、途中のリズムが大きく代わる辺りから盛り上がりが右肩上がりになり、"Take Me Out!"のキメ言葉の部分の絶叫には驚いた。続く2曲目の新曲"That Was Easy"は「人は彼らを『変拍子界の魔術師』と呼びます」と言いたくなるようなリズムチェンジが行われ、Mansunが"Six"で狂気と共に表現した世界が、ポップな曲の中に普通に入っていて、思わず「まあ、何ということでしょう」と呟きそうになった。"The Dark of The Matinee"を挟んだ後の3曲目の新曲"I'm Your Villain"のイントロでキメポーズを繰り返す姿にと、繰り返されるリズムセクションのスワッピングにサービス精神旺盛なPaul Draperが頭に浮かんできた。

 "Come On Home"で挿入される気の抜けるようなチープなキーボードの音で吹き出しそうになりながら、"la la la〜"のシックなコーラスと何か途轍もないものが出てきそうな雰囲気あるギターの対照的な音が面白い"40 Ft"と来て、ユニゾンのボーカルが迫力満点の"Darts of Pleasure"へと雪崩れ込み、これまで持続してきた一体感がクライマックスへと向かう。3分間の曲に何カ所も織り込まれた仕掛けを次々に繰り出しながら、文字通り最高潮の中で本編終了。さらに、5分ほどしてドラムキットを祭り太鼓のように使った"Shopping for Blood"でアンコールスタート。力強いコーラスとギターのコンビネーションで一度冷えかかったフロアを再度暖め直す"Cheating on You"を挟んで、サビで強力なユニゾンを聴かせる"This Fire"で14曲約60分の全力疾走のライブ終了。

 スマートさを残しながら、CDになかった力強さをデフォルメしたパフォーマンスには驚いた。そして、そのパワーが一癖ある楽曲を部屋の中に引き籠もらせることなく、フロアでオーディエンスを踊らせる原動力となっていた。CDで聴いたときに感じた物足りなさが取り払われるだけでなく、披露された3曲の新曲のメロディとアレンジのヒネクレ具合は次世代の姿を予感させるものだった。ちょっと過剰気味な盛り上がりな気もしたけど、この日のオーディエンスの反応もライブのクオリティを高めた要因だと思う。彼らは間違いなくライブバンドで、今後も目が離せない存在であり続けそうだ。(2004/11/28)

Set List
  1. Michael
  2. Tell Her Tonight
  3. This Boy
  4. Take Me Out
  5. Jacqueline
  6. That Was Easy
  7. The Dark of The Matinee
  8. I'm Your Villain
  9. Come on Home
  10. 40ft
  11. Darts of Pleasure

Encore

  1. Shopping for Blood
  2. Cheating on You
  3. This Fire