3月のOasis以来、約半年ぶりのライブなのに、今ひとつワクワク感が沸いてこない。南港へ向かうクルマの中で、最新作"Tonight"をリピートして聴いても、お祭り騒ぎ的な要素が弱めなこともあって、イマイチ乗り切れない。早めに着いたのでWTCをウロウロしてみると、ちょっと早めの巨大クリスマスツリーの飾り付けがあったけれど、半分ゴーストタウン化したようなビルの中には人もまばらで、これまたテンションが上がりきらない。そんなモヤモヤした気分のまま、冷たい風を受けながら早めに会場へ。
18時半頃にはPAブース前方のブロック辺りまではほぼ埋まっていて、改めてFranz
Ferdinandの人気の高さを実感する。まあ、フジロックフェスティバルのグリーンステージで2回もヘッドライナーを務めている訳だから、Zepp程度のキャパの会場だと、このくらいの人は当然と言えば当然なんだろうけど。
開演予定時刻を10分過ぎた頃に客電が落とされ、ステージ上に置かれたアンプの赤い電源ランプが暗闇に浮かび上がる。それと同時に、バイクのエンジン音のような低音がブーストされたSEが流れはじめ、徐々に会場のテンションが変わり始める。3分ほどそんな状態が続いた後、メンバーが登場し、バンドロゴのみをあしらったバックドロップが現れて、"The
Dark of The Matinee"でライブスタート。
緩急の聴いた展開で充分に暖気すると、同じく1stの"Auf Achse"を挟んで、従来の作品とは違って大人びたサウンドの"Can't Stop
Feeling"、そしてAlex曰く「日本向けスペシャルエディション」の"Van Tango"。さらに、彼らの曲の中では最も美しメロディを持つ"Walk
Away"で次第にオーディエンスを巻き込んでいく。
中盤までは攻撃性の強弱を使って意図的にメリハリを付けた感じがあったものの、一気にテンションを高めた"Michael"から始まった踊れる要素をオーバードーズしたロックチューンは押し一辺倒ながらも、独特のフックが効いたメロディや展開も相まって一本調子になることもなし。特に、艶っぽさを感じさせる一方で、多少物足りなさが目立った"Ulysses"もプラスに作用し、新旧の楽曲が流れの中で非常に映える。そして、1stと3rdアルバムからの収録曲が大部分を占める中、2ndアルバムの曲もキラーフレーズ満載の"Do
You Want
to"、アウトロでお約束のクアッドドラムスになり、季節外れの太鼓の乱れ打ちの様相を見せた"Outsiders"など、曲数は少ないながらも充分な存在感を発揮。
1時間弱の本編終了後のアンコールは新作からの曲が中心で、インターミッションで冷めた温度を再上昇させる展開を持つ"Bite
Hard"で始まり、ガリガリしたギターで押しまくる"This Fire"で再び本編終了前の熱狂へと回帰。但し、本当のハイライトは"Lucid
Dreams"で、後半に延々と続いたループ中心のサウンドは、従来の「ダンスできるロック」ではなく、「ロックできるダンスミュージック」的要素が現れていた。それでも、1人ずつメンバーがハケて行く中、最後まで残ったドラムスのPaul
Thomsonの良い意味でのやけくそ気味のドラムパフォーマンスに、これまたFranz Ferdinandのヒネクレ具合を見た気がした。
この日も、メロディという視点ではそれ程完成度が高くないにもかかわらず、誰もが口ずさめるキメのフレーズを持つ楽曲やテンポ良くコール&レスポンスを挟み込むパフォーマンスが楽曲のインタラクティブ性を極限まで高め、オーディエンスを自分達側に引き込んでいく。PAのセッティングの問題なのか、音が全体的にモコモコし過ぎの感じが強く、楽器毎の音の分離もイマイチ、Alexの喉の調子が悪そうという決して良好とは言えないコンディションでも、オーディエンスを1人称として参加させてしまうFranzの体験型仕様のライブはお構いなしに、楽しい時間を提供してくれた。
そんなネジれたライブバンドぶりも、Franz Ferdinandにはピッタリだ。(2009/11/15) |