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Johnny Marr + The Healers / Club Quattro

実は、最初は行くつもりじゃなかったけど、やっぱり元The SmithsのJohnny Marr。ライブ一週間前に勢いでチケットを買ったものの、32番の整理番号に愕然。ひょっとして全然客いないのか?当日は早めに会場に着いたものの、人が少なかったら怖いので、神座でラーメン食べたり、ACTUSでインテリア見たりして意味なく時間をつぶして、開始15分くらい前にクアトロ到着。予想していた程の少なさではなかったけど、楽々と前の方に行ける程度の混み具合で、椅子とテーブルのあるフロアを見てちょっと寂しくなった。「どんな人が見に来るんだろう」と興味津々だった客層は、普段行くライブと比べると僕を含めてある程度の歳は多めだけど、若い人も結構いて男性客の割合も高かった。

2000年のフジロックには行ってないので、生でJohnny Marrのプレイを見るのはThe Theのメンバとして来日して以来。あの時は、Matt Johnsonの作り出す圧倒的な緊張感の中で物静かにギターを弾いていた姿が印象的だったけど、フロントマンとなった今回はどうだろう。あと、アルバムでは問題ではなかったけど、ライブでちゃんと歌えるのかなど、自分の身内が出るかのような心配ばかり。

開演時刻を10分程過ぎたところで、メンバーが登場。会場の至るところから「ジョニー〜」という野太い声が響き渡り、ある年代の人にとってのギターヒーロー振りを発揮。手を振りながら普通に登場したJohnny Marrは…太ってる…かつての繊細でナイーブな印象を吹き飛ばすような顎の弛み具合。うーん、ヒーローなんだからイメージを壊さないで欲しかった。

ステージに現れたのは、二重顎Johnnyの他に、M字ヘアーの元Kula ShakerのベースAlonzaにセイン・カミュに似たRingo Starrの息子のZakのThe Healersとサポートギター/キーボードのJames(?)の4人。オープニングは引きずるようなギターのフレーズとボーカルが印象的な"Long Gone"。瞬間的に発生するグルーヴでなく、繰り返されるフレーズに呼応して身体から沸き上がってくるような異様に周期の長いグルーヴが足腰と耳に心地良い。アルバムで感じたよりもメロディやアレンジが一本調子であることを露呈してしまいながらも、Zakの激しくタイトなドラミングとJohnnyのゆったりとしながらも存在感あるギターの音の組み合わせは平均レベルは超えたクオリティ。「アリガト」「ゲンキ?」など脱力系のMCを挟みながら淡々とライブは進んでいく。

心配していたボーカルは拍子抜けするほどに普通。ただ、ギターに関してはサスガJohnny Marr。それぞれのフレーズを細かく微妙な色で表現しながら、全体では全く別の色彩感を生むような類の表情豊かなプレイは多くはなかったけど、リッケンバッカーの澄んだアルペジオが鳴らされたときは、瞬間的に空気の温度を変えてしまうだけの底力はシッカリ残っていた。

クライマックスはクリアなギターとボーカルで歌い上げられた"Don't Think Twice"から解放したエネルギーを再び吸収して空気を揺らす"The Last Ride"、そして本編ラストの"Need It"で、それまでの平坦な流れをリセットして、このバンドの現在をダイジェストで表現すると同時に、ギターを弾きまくり、ハープを吹く姿にJohnny Marrのギター小僧ぶりが過不足なく発揮された時間でもあった。

The Smiths解散後、「ダンスミュージックに興味があるんだ」と言っていたJohnny Marr。アルバムもライブも確かにフロア指向の音が鳴らされていたけど、至るところに見られた手垢がやっぱり気になった。The Smiths時代のスタジオアルバムでの繊細なギターでもライブアルバム"Rank"の猛々しく主張するギターでもない、Johnny Marr + The Healers仕様のバンドサウンドの中でのギターはカッコ良いんだけど、全体的にはメリハリに欠けているのも事実。アンコールでの2曲を入れて1時間少しのコンパクトなライブ。ただ、この流れから行くと実は妥当なボリュームだったのかも。モヤモヤした「だけど」が多いライブだっただけに、もう一枚アルバムをリリースしてから再来日希望。(2003/3/5)