アルバムのデキは非常に気に入ったものの、ライブに関しては良い評判を聞かなかったので、イマイチ気分が盛り上がらない中でのライブ当日。会場へ向かう電車の中ではiPodをリピートして、強制的にテンションを上げながら、いつものように梅田をブラブラした後で御堂筋線に乗って心斎橋へ。って、心斎橋へ着いた直後に会場がIMPホールだったことに気付く。テンションを上げるのに気を取られて、会場にまで気が回っていなかった。慌てて鶴見緑地線に飛び乗って京橋へ向かう。そんなタコなことをしても18:30にはIMPに着いたので、スタバでモカフラペチーノを飲んで休憩した後、18:50に会場に入った。
開演10分前ということもあって、既にステージ前から3分の2くらいまでの人口密度は高く、来年3回目の年男を迎えるオヤジが突き進んでいく余地はなさそう。後方は比較的スペースがあったので、体力の兼ね合いも考えながら入り口ドアから少し中に入ったあたりに陣取ることにした。平均年齢が惹くそうな気がしていたけど、スーツ姿のサラリーマンや僕よりも年上っぽい人もそれなりにいて、それ程居心地の悪さも浮くこともなかったと思う。というか、そう信じたい。
19:00ちょうどにフロアの照明が落ち、オープニングアクトのGreat
Adventureが登場。直感的なリズムと強引なグルーヴをお節介なまでに押し出したサウンドは、フロアから身体を突き上げられるような気持ち良さの反面、高周波数成分タップリのシャウトに生理的嫌悪感が暴発寸前。両極端の感情が時間軸で激しく振動する中、約30分のアクトが終了。ボーカルが普通だったら買ってみても良いかなと思った。
セットチェンジを挟んでKasabianのメンバーが登場。オープニングトラックは"I.D."で、スペイシーなインストゥルメンタルの前半部でオーディエンスの渇望感を軽くいなし、その後はLiam
Gallagherを彷彿とさせる舌を巻いたボーカルを絡めて、フロアにパワーを拡散させて行く。続く"Cutt
Off"でもクールなラップと弾力性に富んだバックトラックが僅かに空いた人と人の隙間を縫うように拡がり、フロア全体のエネルギー蓄積量をユックリ増やして行く。そして直後の"Reason
Is
Treason"で一度目のプチ爆発が発生。シンプルでダンサンブルなリズムトラックに重ねられるロック的メロディとギター、クラシカルなオーディエンスとの掛け合いによって、それまで不完全燃焼気味だった炎が一気に燃焼し始める。
その後も、ステージから放出された地を這うようなリズムトラックがサブリミナルに身体を動かすことへの欲求を蓄積し、ある程度溜まった時にロック的アプローチの楽曲で放出を扇動するというパターンを繰り返しながら、熱狂と冷静さの間で緩みきらず、張り詰め過ぎないテンションを保って進んでいく。電子音を散りばめながらもロックサイドに軸足を置き、テクノロジーは表現手段と割り切って利用するスタイルは潔く、分かりやすく格好良い。また、アルバムではクールに振る舞ってやや小さくまとまっていた楽曲も、ライブ特有のザラツキ感を得ることでイイ感じのスケール感を獲得していた。
アルバムを聴いたときにも感じたけど、フロア指向の音が多い割には、直接運動神経に訴えかけるようなタイプの曲よりは、ちょっとヒネクレタ感じで一度解釈してから身体を動かすようなタイプの曲のデキが非常に高い。特に、オリエンタルなメロディとThe
Stone Rosesから始まるマンチェスターの系譜を凝縮したような"Processed
Beat"やバックトラックとメロディの連携と乖離の反復が非常に気持ち良い"Test
Transmission"などは個人的なツボを一点集中攻撃。引きずるようなボーカルが燻った残り火に再度点火した"L.S.F. (Lost Souls
Forever)"で45分の本編は終了。
アンコール1曲目はアコースティック風の味付けがされた"U
Boat"。この期に及んでもアノ曲はまだ演らない。期待感が膨らむ中でのアンコール2曲目はインストゥルメンタルの"Ovary
Stripe"と焦らしまくり。そして、最後の最後でみんなが待ってた"Club
Foot"。個人的にはこの曲にはそんなに魅力を感じないので、異常なまでのフロアの狂騒とメンバーのテンション、ライティングによる盛り上げ方と一点豪華主義的演出には少し違和感があったけど、最後の最後で忘れ物なく踊れるという構成は非常にマーケットインの姿勢だった。
全体を通して、良い意味でも悪い意味でもそつなく普通に立ち回った印象だ。予想していたギラギラ感やアクはそれ程強くなく、リズムの強弱とクセのありなしを絶妙に絡めた考え抜かれた構成のセットリストとオーディエンスが期待した曲を期待したタイミングで演奏するサービス精神を見せるクレバーさも発揮していた。全体的なサウンドの密度や人力的部分の大小の違いはあるけれど、Death
in Vegas的なロックとフロアの巧い融合のさせ方も見事だったと思う。個人的には"Club
Foot"のような手垢にまみれたデジタルロック路線よりも、"Test
Transmission"のような閃光を放つ可能性のある曲を活かせれば凄みが出てくると思うけど、それは先の楽しみに取っておいても大丈夫そうだ。最高レベルとは行かないまでも、必要充分なクオリティは確保したライブだった。(2004/11/13) |