2007年最初のライブは昨年リリースの2ndアルバムで大きな成長を見せたKasabian。暖かかった年明けから一転して冷たい嵐が吹き荒れる中、連休最終日の渋滞を避けるために早めにZepp
Osakaまで車を走らせた。ところが、全く渋滞することもなく、開演1時間前には南港に到着したので、いつもの駐車場に車を停めて時間を潰していた。
開演10分ほど前に会場に入ると、既に真ん中のブロックあたりまでは人がギッシリと埋まっていた。これほど人が詰まったZeppを見るのは何年か前のThe
Chemical BrothersやPrimal
Scream以来だ。当然、そんな人混みに突っ込んでいく勇気も体力もないので、定位置のPAブースの横に陣取り、一応セーターを脱いで動ける態勢を作った上で開演を待った。
定刻を5分程過ぎると客電が落とされ、青い照明でステージが満たされる中にメンバーが登場すると、割れんばかりの声援と拍手が巻き起こる。オープニングトラックはインストゥルメンタルの"Brown
Acid"。ガツガツせずにウォーミングアップするようなステージングからは余裕さえ感じられ、オーディエンスのライブへの期待感がジワジワと拡がって行く様子が伝わって来た。そんな雰囲気を感じ取ってか、ボーカルのTom
Meighanは終始上機嫌だった。
続いて"Shoot The Runner"。重量オーバー気味のIan
Matthewsのドラミングはパワフルで、ベースとのコンビネーションはアルバムで感じた「太さ」を遙かに凌駕するエネルギーを放出。また、ウネるようなギターとの相乗効果によって、強靱でしなやかなリズムはフロアを縦横無尽に這い回り、人の間を縫うように足元に押し寄せてくる。さらに、そのリズムは正面からパンチを繰り出すのではなく、下っ腹にアッパーパンチを打ち込んでくるような感覚で一気にライブに引き込まれていく。そこから、恥ずかしいけれど叫んでしまう「K・I・L・L」のフレーズが強力な"Reason
Is Treason"、ドラムマシーンと生ドラム、シークエンスの絡みが強烈なグルーヴを生み出した"Sun Rise Light
Flies"と序盤からアンコールのようなテンションで、既にバンドはオーディエンスを完全に制圧し、この日のライブでの勝利は決定的なものになった。
この日改めて思ったのは、日本人でも簡単に歌えるキラーフレーズのある曲を持っていると強力ということ。"Cutt Off"の「Ah-AhAhAh-Ah-」というコーラス部分や"Me
Plus One"の「Come
On!」の部分、"Empire"の「Stop!」の部分など、ほんの一ヶ所でも一緒に歌えることで、単なる聴衆ではなく、参加者であることを実感できる。古典的ではあるが、この日はこの手法が見事に冴え渡り、会場を強い一体感が支配していた。
終盤になると、熱くなり過ぎたフロアを"British
Legion"でクールダウンさせ、ドラムセットの横に置いてあった大きな銅鑼を使ってオリエンタル風味を表現した"Processed
Beats"など変化のポイントを設け、「荒野の決闘」か「夕陽のガンマン」かという雰囲気を持った"The
Doberman"へ。できればラストの部分は生トランペットを使って欲しかったけど残念ながらキーボードを使用。但し、彼らの成長を強く感じさせるウネリはここでも充分に発揮され、渋い展開の中で大満足の約1時間の本編が終了。
程なくしてメンバーが再登場して、"Apnoea"でアンコール開始。本編のウネリとは違った、バキバキのデジタルビートが刻まれる中、僅かに下がったテンションを再び上げていき、未だに神通力を失わない"Club
Foot"へ。ここで再度オープニング直後のような熱狂が爆発する中、クールで理知的なダンストラック"Stuntman"を挟んで、"Empire"仕様に再構築された"L.S.F.
(Lost Souls Forever)"でベタベタなコールアンドレスポンスをやった後、「See You at Summer
Sonic!」のセリフと共にステージを後にした。
計算され尽くした中で完成されたパフォーマンスは非常に楽しく気持ちが良かったが、今までで一番気持ち良いというまでは行かなかった。それは、ライブの色は基本的に"Empire"に統一されていて、1stアルバムの楽曲のクールさが見られなくなり、「抜きどころ」があまりなかったからかも知れない。また、また、OasisやPrimal
Screamを彷彿とさせる部分があったものの、Liam Gallagherの太々しさやBobby
Gillespieの狂気一歩手前のような「ノイズ」が見られず、ゴールデンルールに則ったパフォーマンスには行儀の良さが目立ったからかも知れない。
ただ、これらは間違いなく時間が解決してくれると思う。そして、彼らは既に"Club
Foot"をアンコールまで引っ張る必要はないところまで来ていると思う。(2007/1/13) |