この時期の南港は冷たい風が身体を刺すように吹く筈なのに、この日も風は弱く、それ程寒くもなかったので、ブルゾンは車に置いておき、長袖のTシャツにセーターを着て駐車場から出発。一昨日のThe
Chemical
Brothersでは露天やダフ屋がいたものの、この日は近くのインテックス大阪のオートメッセの方へ出張したのか閑散とし、併設されたレストランCrossbeatから流れてくるManicsの音楽が微妙にライブの雰囲気を作っている程度だ。
17:50頃で客入りは7割くらいで、前方は詰まっているが、その後ろはスペースが目立ち、後方はかなり動き回っても周りに迷惑をかけることはなさそう。オーディエンスの年齢層はバンドのキャリアと共に上がってきた感じで、20台半ばくらいが中心
か。New
OrderやWilco、Yeah Yeah Yeahsなど新旧そしてジャンル混合のBGMが流れる中、予定時刻を5分くらい過ぎた頃に開始アナウンスが流れてフロアの照明が落とされた。
いつも通り、メンバーとサポートのキーボードプレイヤーが普通に登場。ただ、Nickeyはヒョウ柄のコートを身に纏い、Jamesは驚きの激太りボディにピチピチの黒Tシャツでホリえもん状態。そんな光景に唖然としていると、徐に"1985"が始まる。アルバムではキーボードによって80年代のしみったれたメンタリティが強く表現されていたが、ライブではJamesのギターがかなり強めにミックスされていて、スペイシーかつ生々しい仕上がりになっていた。続く"Faster"でもギターが縦横無尽に駆けめぐり、ロックモードでライブをドライブしていく。
元気満々のオープニング後、"If You Torelate This Your Children Will Be Next"、"No Surface
All Feeling"、"Empty
Souls"と力強さはあるものの、シットリとした楽曲を連発し、暖まりかけたフロアの温度が頭打ちになった。特に、"Empty
Souls"はもっと盛り上がれそうな気もするが、身体を軽く揺らしながら聴き入っている人が多く、流れ的には仕方がないところか。ところが脳というのは現金なもので、"You
Love Us"というJamesのMCで再び温度が沸点へ向かって加速していく。「こんな早い時間に"You Love
Us"っていうのも少し違和感がある」なあと思いつつも、ステージ前方にいる人達と同じく両手を突き上げてジャンプしまくりで、曲が終わったときには早くもヘロヘロ。JamesもMCのときには息が切れていて、「ああ、同年代なんだ」と妙な親近感を覚えた。
その後、ハイテンションの曲の爆発力を活かし切れずに、イマイチ盛り上がらない時間が続く中、熱狂度ではインパクトはないものの、赤い照明の中で演奏された"Die in The
Summertime"の首元に突きつけられたようなヘヴィネスは圧巻で、この日の全ての曲の中で最も異彩を放っっていた。"La Tristesse
Durera (Scream to A Sigh)"ではサポートメンバーがイントロのシーケンスパートを間違え、Jamesが「そりゃ、"You Stole
The Sun from My Heart"やんけー」と突っ込むハプニングや圧倒的な美しさを放つ"Solitude Sometime
Is"に続いて、お約束の"Ah-, Ah-, Ah-, Ah-"のフレーズで始まった"The Masses Against The
Classes"で漸く燻っていた熱狂の種火が点火し始める。ところが、続く"This Is Yesterday"と"Small Black Flowers
That Grow in The
Sky"はJamesのアコースティックセット。多くの人が息を飲むように立ち尽くして聴き入る一方で、苦しみながら上昇させた温度が再び冷え始めるのも感じた。
次に熱を帯びたのは終盤に差し掛かったところで演奏された"Motown
Junk"。運動神経を直接刺激するパンキッシュな曲は余力タップリのオーディエンスの身体を上下に激しく揺さぶり、Jamesのプヨプヨした身体も上下に揺れる。残念ながらハープのパートがシーケンスかキーボードで再現された80年代のメランコリア爆発の"Cardiff
Afterlife"は"Motown Junk"の上限知らずの熱狂をクールダウンさせながら、90年代のメランコリアを感じさせる"Motorcycle
Emptiness"へとスムーズな流れを作る。ここまで来るとサスガにリフではキッチリと合唱が起こる。そして、最後の曲は当然のように"A Design
for Life"。もちろん、ライブ定番のこの曲でも合唱が起こる。最後はJamesの言葉をサンプリングした音のループの中メンバーが退場してライブは終了。
派手なライティングやステージセット、ビジュアルなど使うことなく、Manic Street Preachersらしく楽曲と自然体のパフォーマンスで勝負した1時間30分だった。
ただ、これまで見た彼らのライブの中では一番盛り上がりに欠けていて、自分自身もそして周囲もパンキッシュな曲やロック色の強い曲ではジャンプ連続だったが、メロディとオーケストレーション重視の新作の曲は
ノリ辛く、ギターを強めにし
た程度のライブ仕様では自然と反応が鈍かった。そんな状態でも声を張り上げ、熱のこもった演奏を聴かせたManicsは痛々しく感じることもあったが、その不器用な姿が
実に彼ららしかった。確かに、曲によっての没入度の差があったけど、メランコリアが強すぎたアルバムの曲はライブならではの力強さが加わっていたし、身体を揺らし
て聴くManicsも悪くはなかった。ただ、準備していた体力が余裕で残ったのは予想外で、次こそは終了後に立っているのがやっとというようなライブを見たい。ツアーはまだ序盤だし、曲順が変わったり、アレンジ
を微調整することで、ラスト以外に何度も絶頂を迎えることは可能だと思うし、彼らならそれをスンナリやれるはずだと思う。(2005/2/14) |