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29歳にして初めてのライブハウス(心斎橋クラブクアトロ)でのライブだ。開演時刻の20分くらい前に会場に入ってまず、ステージの近さに驚いた。手を伸ばせば本当に届きそうだ(というより、実際に届いていた)。なかなかいい感じの会場だ。まずは、ロックでウイスキーを飲みながら開演を待つ。しかし、空腹にウイスキーのロックは結構きつく、7時くらいにフラフラになってきた。幸い、まだ始まる気配はなく、5分くらいすると元に戻って事無きを得た。7時10分を少し周ったあたりだろうか、それまで流れていたBGMがフェードアウトされ、ドラムマシーンとキーボードのシーケンスパターンが流れ始めた。それが2、3分経った頃だろうか、おもむろにメンバーが登場した。「また戻ってきたぜ」の声と共に1曲目の"The
Smile"を演奏する。新作"The
Program"のオープニングチューンでもあるこの曲は非常にライブ向きで、いきなりテンションが上がっていく。演奏自体は取りたてて巧いということはないが、無難にこなしていく。Jammyのボーカルは、CDで聞くよりも声量があり抑揚が激しく、その結果自然とオーディエンスを煽る結果となる。時には優しく、時には何かに取りつかれたかのように激しく歌う。かすれて声が出にくいことも何度かあったが、ボーカルの表現力は抜群だった。
僕は彼らのファーストアルバムを聴いていないので、ライブで知らない曲は恐らくファーストアルバムからの曲だったんだろう。知らない曲は3曲くらいだったから、大半はセカンドアルバムからの曲だった。曲を聴いて思ったのは、ファーストアルバムとセカンドアルバムの曲のクオリティが格段に違うことだ。セカンドアルバムは、Johnny
Marrのプロデュースということもあり、繊細な面が巧く表現されていることもあるかもしれないが、ソングライティングの力が驚くほど向上している。ファーストアルバムの曲も、ギターリフやフックの効いたメロディーなど変貌を予感させるところはあったが、まさにこの変身は見事というしかない。
ライブの構成はスローテンポの曲とハードな曲をだいたい交互に演奏していくような感じだった。"Sparkle"のポップな感じの後に、少ししんみりとした感じの"Comeback"をやるなど、単純な構成ではあったが一本調子にならないように変化をつけようとしていた。そして、Jammyのボーカルは変幻自在にそれを的確に表現する。"Comeback"では、思わずグッと来てしまう部分もあった。何故だか分からないが、妙に痛々しかった。その後何曲かやった後、いきなり本編終了。まだ、始まってから30分少しくらいだ。終わるには早すぎる。その後。5分くらいしてアンコールに出て来て"Miyako
Hidaway"と後1曲やって"Good
night"って帰ってしまった。「まさか、これだけのわけないよな」と思っていると、客電がつきライブ終了。時計を見ると8時4分。何と50分弱のこれまでに経験したことのない最短のライブだ。
何も時間やアンコールの回数でライブのクオリティが決まるなんて思っていないけど、あまりに唐突すぎて呆気に取られてしまった。ライブ自体が良く、「これから」というときにいきなり終わられてしまったという感じだ。前菜が出てきて、スープが出て来て、「さあ」と思ったらコーヒーが出てきたような感じだ。アンコールの時に、Jammyが"Some
reaseons..."(良く聞こえなかった)と言って謝っているようにも見えたので、ひょっとしたら何か理由があるのかもしれない。イギリス本国での"The
Program"のリリース延期、解散やメンバー急病説など色々な噂が流れているだけに、少々不安にもなったが、このあたりの理由は想像さえできない。ただ、短いながらもコンパクトに彼らの魅力が凝縮されていたと思う。50分という短い間に「良心」が込められた10数曲が駆け抜けていった。 |