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Mercury Rev / Bayside Jenny
 心斎橋クラブクアトロ10周年イベントのこの日のラインナップは、Thirsty Butchers、くるり、ヘッドライナーにはMercury Rev。もちろん、目当ては"Deserter's Songs"でハマリまくったMercury Rev。ただ、Fuji Rock '99のニューバンドステージ、去年のSummer Sonic、今年のFuji Rockと参加するイベントに何故か出演していたのに聴く機会がなかったくるりにも興味津々。Mercury Revは9時前くらいスタートと思いながらも、一応開演時間に会場に到着した。

 ほぼ定刻にThirsty Butchersのライブが始まった。ダラダラしながら聴いていたが、音のバランスはお世辞にも良いとは言えないし、音も割れている。「おいおい、Mercury Revのときにまさかこんな音じゃないやろなあ」と思っている間に演奏終了。ラストに演奏した余韻を残す曲は「おっ」と思ったものの、それ以外にはイマイチ惹かれず。セットチェンジの間に、フロアに人が増えだして、くるりのメンバーが登場した。

 くるりのファンってメガネ率が高い。もちろん、偶然かも知れないけど男も女もメガネだらけ。良い意味でも悪い意味でもファン層が均一っぽい気がした。彼らの曲はラジオなんかで耳にしたことはあったけど、真剣に聴いたのは今回が初めてだった。「内気な僕ら」的なルックスとしゃべり方の岸田くんはの頼りなさ気なキャラクターと奥田民生のようなスタイルのボーカルの対比が面白く、楽曲自体も一癖あって初体験の人をもグッと引き寄せる魅力があったと思う。肩の力を抜いてリラックスして演奏する様子は好感が持てたし、もう少したくさんの曲を聴きたいなと思った。で、岸田君いわく「Mercury Revはヤバイ」らしい。うん、楽しみだ。

 Mercury Revのセッティングはかなり長い時間かかった。セットが組みあがった後も、何度も何度もギターやベースのチューニングが繰り返される。一度スタッフが舞台袖に下がったかと思うと、再び出てきてチューニング。スモークがたき始められて「さあ、いよいよか」と思ったらまたまたチューニング。で、いい加減飽き飽きしているとライトが落とされてアッサリとメンバー登場。おお、こんな顔してるんだね。ジャケットで見たことはあるけど、あんまりじっくり見たことなかったから新鮮。Dave Fridmannは繊細でちょっと神経質そう。JohnathanはどことなくPulpのJarvis Cocker風でナルっぽいけど、ニコニコしてて感じ良い。Grasshopperのドジな銀行強盗の子分みたいなルックスも、彼らのCD音からは想像できな かった。そういや、キーボードの兄ちゃんは、さっき目の前を歩いてなかったか?

 "Deserter's Songs"の夢と現実の間の夢寄りの部分で奏でられた音が大好きだったので、今年リリースされた"All Is Dream"の前作と異なるザラザラした素材感、どちらかというと現実よりの部分で奏でられた音に違和感を感じていた。この日のライブは、その違和感が何かを確かめたかった。個人的に、そんな思いで彼らの音を聴きに来ていた。この日のセットリストは全曲が"Deserter's Songs"と"All Is Dream"の2枚から演奏された。そして、それぞれのアルバム中の曲、アルバム関の曲はシームレスに繋がり、全体で一つの世界を形成していた。"All Is Dream"を聴いたときに感じたような違和感は全くなかった。

 どちらのアルバムの曲もベースとなる部分はオリジナルのままだけど、ディテイルには新しい音が付け加えられ、イントロやアウトロ、間奏なども新たに加えられた部分があって、オリジナルと違った印象を持つ曲も多かった。それによって、"Deserter's Songs"の曲は元のイメージを壊さない程度に力強さを獲得し、"All Is Dream"の曲は夢寄りの音になっていた。その二つをつなげたのは要所要所で鳴り響くギターの音で、ときには力強く、ときには繊細に、感情に直接語りかけると同時に、運動神経を直接コントロールするようだ。そして、二つの世界は同じレベルでつながった。CDでは果てしなく 広く感じられた溝は既にそこにはなかった。

 ライブは全編に渡ってドリーミーな世界。でも、 彼らは甘いだけの世界を作り出すわけではなく、常に締まった演奏でシッカリと現実感を生み出す。そのバランス感覚が素晴らしく、結果的に眠る前に目をつぶったときに見えてくるような不思議な映像のような夢見心地的世界を描き出す。オーディエンスそれぞれに呼応しながら描き出される それぞれのオーディエンスだけの世界。彼らの奏でる音の一つ一つに身体が反応する。身体を揺らすという意志がないのに動いているような不思議な体験。周りを見ても、自分とは違うリズムで身体を揺らしながら自分の世界に入っている人が多かった。きっと、自分も周りから見たらかなり危なかったに違いない。ほとんどマインドコントロールされている状態だった気さえする。 圧倒的なサイケ感覚、こんな体験初めてだった。

 面白かったのはJonathanのキャラ。まるで指揮者のように、それぞれのメンバーを指揮したり、悦に入った表情で音に合わせて身体を動かす。ただ、その後には必ずオーディエンスとのコミュニケーション があり、自分の世界に入り込まないオープンさがいい。ただ、欲をいえば、アンコールの一曲目で「おーまーえーはあーほーか」をやって欲しかった。いやあ、それにしても、今年最後のライブで良いもの見せてもらった。 ホント、気持ちよかった〜。ボーカル以外の楽器がこれ程雄弁に感じられるライブも久しぶりだったような気がした。終わった直後だからかも知れないけど、今のところRadioheadやBelle & Sebastianのライブを上回って、今年のベストライブの可能性高し。