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Midget / Club Quattro
 Stereophonicsに続くFuji Rock Returnsの第二弾は、Fuji Rock '98のグリーンステージ(メインステージ)の初日のオープニングを務めたMidgetだ。彼らの音楽はCDで聴く限りでは、パンキッシュでいて、ポップ、カラフルでストレート、ひねくれていてプラスロックンロールというような色とりどりの楽曲が詰まっている。どの曲も途中でリズムをちょっと変えてみたり、静かなバッキングからいきなりディストーションギターのストロークを入れてみたりと、細かいところに仕掛けをいっぱい用意していて、聴いている方を全く飽きさせない。それでいて、仰々しくなくて3分少しのポップソングとしてまとめあげるという、「ポップスマニア」風だった。

 Fuji Rockではフェスティバル形式ということもあり、彼らの演奏は約30分程度で、しかも彼ら自体かなり緊張しているようだったし、途中まで楽器の調子が良くなかったりと完全な力を発揮できていなかった。それでも、メリハリの利いたカラフルなポップソングはあの大観衆を前にしても立派に成り立っていたし、3ピースとは思えないほどのガッシリとした音を出していた。

 で、今回。彼らは「ポップスマニア」ではあるが、実はストレートで真正直な人間で、しかもサービス精神旺盛の非常に「良い奴」であることが判明した。アレンジはアルバムよりもハードになっているものが多く、コーラスワークも聴くことができるが、スピーディーに観客を煽るような演奏が続く。それでもやはり曲は一癖も二癖もあり、単純なパンキッシュなギターポップではないことを証明してみせる。いや、みせるはずだった。確かに途中までは良かった。「おぉ、何てきれいなコーラスワークだ」と思った直後に、地鳴りのようなギターとドラムのロール、ハードなベースラインとギターソロの後にボーカルだけのパートと、オーディエンスに対して見事なチェンジアップを投げつづけていた。

 新曲を交えながら中盤くらいまでは中々楽しかった。ところが、中盤を過ぎたあたりからちょっとずつダレ始めてきた。これは自分自身がダレてきたこともあるが、オーディエンスも一部を除いて少しクールダウンしているように感じた。そう、どうも単調なのである。一曲一曲はメリハリが利いていてフックが利いているのだが、例えば10曲それが続くいているのである。途中で次のパターンが読めてしまうようになった。

 彼らのメロディーセンスは目を見張るものがあると思う。ポップソングとしてのキャッチーなメロディーやコーラスは他のバンドと比べても勝っているものが多い。さらに、彼らの偏執狂なまでのひねくれたアレンジ、これもまた同世代のギターバンドの中では独自の地位を占めている。ポップで美しいメロディー、パンキッシュなスピード感、美しいコーラスワーク、太いリズム隊、ロックンロール、これらの要素を全部混ぜて最後に彼ら独自のアレンジを加えてMidgetの音楽ができているのだろうが、ちょっとこの独自のアレンジの部分が強すぎるように思った。というか、幅がないために、せっかくの良いメロディーも全体的に似たような印象になり、一本調子に感じてしまったのだと思う。自分達らしさと自分達の枠を超えることの両立、これは難しい命題だとは思うが、これを成し遂げたときにきっと彼らはもっと先に突き抜けることができると思う。

 彼らは演奏は巧かった。ドラムもベースもギターもカッチリとこなしていたし、ロックのときにはハードに、バラードのときにはソフトにと細かいニュアンスも見事に表現できていた。何を言うと、少々つるっとしたボーカルの声くらいだろうか。アンコールでは"Daydream Believer"も演奏したし、ラストの曲に入る前には"Smoke on The Water"のイントロを弾いてみたりもしていた。最後にはベースの兄ちゃんのちょっと高い声のボーカルも聞けたし、ロックンロールな終わり方だった。ライブアクト自体のアビリティは非常に高いので、彼らが次のステップへ突き抜けた時にはとんでもない事が起こりそうな予感がする。楽しみだ。

 メンバーの体型を見て、「ベースの兄ちゃんとドラムの兄ちゃん、パートを変わったほうが良いんじゃないの?」と思ったのは僕だけだろうか・・・