市営からTimes24に運営が変わったいつもの駐車場に車を停め、18時45分頃にZepp
Osakaに到着。この時間にもかかわらず入口外に大勢の人が入場待ちしていたので、開場が遅れたのかと思ったけれど、フロアに入ってみると既に真ん中のブロックまでは人が一杯。今回は東京と大阪で追加公演が出て、仙台や福岡も回っているので、去年のSummer
Sonic以来、一気に日本でもブレイクしたのかも知れない。かなりの人口密度になりそうだったので、いつも通りPAブース横に陣取って開演を待った。
開演予定時刻が過ぎて、The Flaming Lipsの"The Yeah Yeah Yeah Song"、Hot Chipの"Over &
Over"とBGMが続き、New Orderの"Age of
Consent"と思われる曲のイントロで照明が暗転してライブ開始。オープニングは"Assassin"。CDよりも何倍も分厚いギターと暴れ放題のドラムスが絡むイントロが始まる
と緩かった空気は引き締まり、唯一無二のMuseの世界が構築完了。激しいギターと艶っぽいボーカルを纏った暗黒帝国のテーマソングのような"Butterflies
& Hurricanes"のラストではMathewが狂った様にピアノを叩きまくって締め、シンセサイザーを加えてアレンジに厚みを持たせた"Map of
The Problematique"、ピアノの繊細な世界とギターの暴力的な世界の両方をデフォルメした上で強引に共存させた"New
Born"と引き込まれる演奏を続けていく。
濃密な流れを変えたのは場末の安酒場がマッチしそうな"Feeling Good"。Mathewの表情が豊かなボーカルとピアノ、ハンドマイクを使ったボーカルによって妖しげでジャジーな楽曲の魅力は一層パワーアップし、彼らのライブバンドぶりを強烈にアピールした前半のクライマックスだった。間奏での紙吹雪を撒くダサめのパフォーマンスもMathew王子ならノープロブレム。
序盤は少々音が悪かったものの、中盤以降はボーカルとギターがシッカリと分離され、シンセサイザーがフィーチャーされてリッチなアレンジの曲でもギターの轟音は充分に響き渡り、巨大な音の束がフロアを縦横無尽に動き回る凄みのある演奏が続く。珍しくストレートに陽性の面を表現し、ノリノリでオーディエンスに手拍子を求めた"Starlight"と行進曲のようなリズムと屋根を突き破って天まで届きそうなハイトーンボイスが美しい"Invincible"で束の間の地上の音を聞かせたかと思えば、その後は再び地下に潜り、ファルセットがしなやかで艶っぽい"Supermassive
Black Hole"、音の密度の差で感情を揺さぶられる"Time Is Running
Out"、全メンバーが本能のままに演奏したエネルギーを感じさせる"Stockholm
Syndrome"とキラーチューンを連発し、激しく美しいオレ流世界を残したまま1時間10分の本編終了。
5分ほどのインターミッション後にメンバーが再登場してアンコール開始。オーディエンスが既に準備万端の態勢の中、例のディストーションギターのイントロが流れ、"Plug
in Baby"が始まる。必要不可欠な予定調和の中で再び沸点へ向かう熱気を引き継ぐ形で、映画のエンドロールに流れそうな"Knights of
Cydonia"で暗黒帝国の最終幕開始。エフェクトを矢継ぎ早に変えながらボーカルラインをなぞるリードギターとトランペットが絡まる下世話でスリリングなバックトラック、ラストスパートを感じさせる性急さなAメロのボーカルワーク、歌詞をディスプレイに映し出してシングアロングさせるサビという微妙なトゥーマッチ感が漂う組み合わせは、現時点で彼らが追究している様式美の具体化のような気がした。
過去の曲も現在のMuseのバンドのコンセプトの中で表現されると共に、完膚無きまでのオレ流ワールドの中でもその「パフォーマンス力」によって、あらゆる曲が表情が豊かで立体的なものとして再現されていたのはサスガ。既に前回の単独公演で一つの頂点を極めたという気もしていたけど、それは全くの勘違いで、ライブでも"Absolution"から"Black
Holes And
Revelations"で見せた深みの習得しており、2004年以降も、毎年のように様々な海外メディアでのベストライブやベストアクトを受賞し倒しているのは伊達ではないことを証明すると共に、今現在、ネームバリューというメタ情報ではなく、音だけで瞬時に場の空気を変えることができるバンドの筆頭が彼らであることを実感させられた。
ステージ右側のディスプレイの調子が悪く、途中でスタッフが脚立に登って直したり、序盤はボーカルとギターの音量バランスが悪いなどのグダグダ感はあったものの、そんなものがほとんど減点対象とならないほど内容の濃いライブだった。噂されているフジロックのステージで、人の数だけ存在する「格」という曖昧な概念をぶち壊してくれるのが今から楽しみ。(2007/3/17) |