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何とライブが始まる前、それもライブ開始の1時間前というときに、IMPホール下のゲームセンターでセガラリーをしているOscar
Harrisonを目撃した。スタッフ4人と一緒にゲームをしていて、大勝利で喜ぶOscarはファンと一緒に写真を撮ったりして非常に良い兄ちゃんというイメージだった。鉄の心臓というかなんというか・・・存在感のある人間だった。
Ocean Colour
Sceneの大阪でのライブはIMPホールというそれほど大きくないホールで行われた。20m四方程度の大きさのホールだろうか。椅子がなくオールスタンディングではあるが、それほど広くはない。ホールのちょうど真ん中あたりで見ることにしたが、それでもメンバーまでの距離は10mくらいだろうか。手を伸ばせば届きそうな距離だ。もちろん、肉眼でメンバーの顔も動きもハッキリと見える。演奏側と同じ高さの視線でライブを体験できそうなそんな予感がする、良い感じのホールだった。ライブ開始前には、ソウルっぽい音楽がずっとかかっていた。このあたりの音楽に実は彼らのルーツがあるのかもしれない。
開演開始時刻になってメンバーが現れる。特に派手な仕掛けがあったり、登場の仕方に工夫があるわけでもなく、普通に現れて1曲目の最新作"Marchin'
Already"のオープニングチューんの"Hundred Mile High
City"を演奏する。実は、僕はこのとき顔と名前が全く一致していなかった、というよりメンバーの名前も全く分かっていなかった。
1曲目からぶっ飛ばしていく。シンプルなロックだけに、演奏力やボーカルの力量が問われる。ステージセットなどは全くなく、ドラムセットとスピーカー、楽器くらいしかなく、ライティングも特に凝っているわけではない。ボーカル、ギター、ベース、ドラムスにサポートとしてキーボードが参加するきわめてシンプルな形態だった。ところが、演奏が始まってみると驚いた。ボーカルは声量もたっぷりだし、音程も安定している。また、ギターもベース、ドラムスのリズムセクションも全てうまいのである。ボーカルのSimonの声は曲にぴったりと合っていて、バラードではややかすれ気味に歌い、ロック色の強い曲ではシャウトして変幻自在だ。一本調子気味の曲も彼のボーカルによってある程度のアクセントがつけられていて、飽きさせない仕上がりになっている。
それから、ドラムのOscarはセガラリーがうまいだけではなかった。力強く、抜群の安定感をもって、Ocean Colour
Sceneのサウンドを安定させている。正直言って期待をはるかに上回る演奏のうまさだ。ハープにハーモニカ、ホイッスル、タンバリンなどアクセントとなる小道具を使いながらも、小細工のないきわめて正攻法のライブが小気味良い。やや似た楽曲が多いような気はしていたが、それもあまり気にならない。テンポの良い進行、スローな曲とグルーヴ感溢れる曲を織り交ぜながら、15曲程度で1時間半くらいのやや短いライブではあったが、真っ正面から自分たちの音楽をライブで演奏し、疾走感を感じさせてくれるライブだった。彼らはセカンドアルバムでPaul
Wellerと共演しているが、彼からの影響を受けている部分が随所に感じられた。
1月のRadioheadの内から込み上げてくる感情、3月のU2の外から呼び起こされる感情とは違ったベクトルを持ったライブだったが、Ocean
Colour
Sceneの目指している軸に沿うと非常に完成度の高いライブだったと思う。もう少し彼らのCDを聞き込んで行ったならもっと楽しめたのに、それが残念だった。ホールではなく、これくらいのキャパシティの会場だからこそ体験できた楽しい1時間半だった。何しろ、ライブ中のメンバーの表情が文句なくいい。演奏することを、歌うことを、ライブを自分たちが楽しんでいるという雰囲気がひしひしと感じられる。1曲終わる毎にビールを飲み、途中でタバコをふかしながら演奏する様も何だかそれっぽくてカッコ良かった。
ツアープログラムに"Guitar Techinician"としてクレジットされ、ライブ中にSimonに"He's Dave Iddle"と紹介されていたDaveはライブ前にOscarとともにセガラリーを楽しんでいたが、途中でずっと逆走して笑われていた。ライブ後にまた現れるかと思いゲームセンターでしばらく待ってみたが、さすがに現れなかった。今度来日したときにも是非見に行きたい、そう感じさせるライブだった。 |