Mus!c For The Masses
Home > L!ve > Pet Shop Boys
Pet Shop Boys / Zepp Osaka

 「えーっと、今年は何年だっけ?」思わずそんな言葉が出てしまいそうになるほどの盛り上がりを見せたPet Shop Boysのライブだった。もちろん、今年は2000年で、Pet Shop Boysがデビューして僕が思う彼らの全盛期からは10年が過ぎているはずだ。それはライブの途中で帽子を脱いだNeilの頭の具合を見ても明白だ。昔からのファンだろう僕を始めとするちょっと年食った人と最近の曲を聴いて彼らのファンになったであろう若い人が適度に混ざりあっているところからしても、80年代半ばにデビューしたバンドとしては異例のことだろう。ましてや、シンセサイザーを中心に据えたスタイルのバンドとして2000年に生き残っていること自体がほとんど奇跡に近いと思う。そして、ライブが始まるとさらなる奇跡は起こった。

 ステージはシンプルそのもので、Chirsが使うであろうシーケンサーとシンセサイザー、マイクスタンド4本、巨大なスクリーンとその後ろのドラムセットとシンセサイザーがあるだけだ。定刻からしばらくして、テープの音楽が始まる。これがやたらと長くて、会場の雰囲気がちょっとだれ始めた(というか、最初から緊張感はあまりなかったのだが)ときにChrisが登場。さらにバックコーラス&ダンサーの3人が登場。続いてNeilが登場。顔といい、頭の具合といい、Robbie Williamsそっくりだ。そっくりつながりで彼のアルバムにゲスト参加したんじゃないかと思うほどだ。

 曲はテープとシーケンサーが中心になっていて、時折バックのドラムやキーボードが絡んでくる。Neilのボーカルはお世辞にもうまいとは言えない。まあ、聞くに堪えないまではいかないっていう程度か。となると、やはり命は楽曲のクオリティだ。個人的にはPet Shop Boysの曲は"Behaviour"以降クオリティが落ちたと感じていた。"Go West"のカバーにしろ、"New York City Boy"にしろ、何か勢いだけ&流行のフレーバーを使って味付けしたような感じがして嫌だった。でも、よく考えてみると彼らの持ち味は、大げさなまでのアレンジと下世話なメロディだったんだよなあ。だったら、別に構わないよなあ。とか思っていたら、"Can You Forgive Her?"が始まる。ここで、というかライブ全体で大活躍だったのは、女性1人男性2人のコーラス&ダンサーだ。プッチモニのような寸劇風のダンスをやってみたり、ソウルフルなコーラスを聴かせてみたり、"New York City Boy"や"Go West"のぶっといコーラスを重ねてみたりと、単調になりそうなライブにアクセントをつけていた。そして、彼らのキャラも最高。プロだなと思った。

 ライブ自体はうまくパッケージ化されたショウだった。最新作のツアーというよりは、グレーテストヒッツツアーといった感じで、初期の作品からもまんべんなく演奏さ れた。"Suburbia", "Opportunity", "It's A Sin"で盛り上がったのは驚きだった。僕はこれらの曲はNeilと一緒に歌っていた。ほとんどナツメロで盛り上がるオヤジ状態だった。そしてオヤジを驚かせたのはライブの盛り上がりだ。スローな曲やアコースティックな感じの曲を除いてほとんどフルスロットルの状態だ。特に、ライブ中盤での"Domino Dancing"でのコーラスにはNeilも驚くほどの盛り上がりで、まさか2000年に"All Day, All Day, Watch Them All Fall Down"のコーラスをこれだけ大きな声で聞くことになるとは思わなかった。本編最後の"New York City Boy"からアンコールの"West End Girls", "Go West"まで不思議な盛り上がりは続く。Neilは「君たち最高だよな。東京よりずっとホットだぜー(意訳)」と嬉しそうだった。

 楽しいライブではあった。高校時代に引き戻されたような感覚にもなった。新しさや次への期待なんかは感じることはできなかったが、それだけでも十分なのかもしれない。難しいことなく、昔を思い出して、そして今この瞬間でそれを楽しめること自体が奇跡に近いんだから。心の底からそう思った。そう、それで十分だ。