Mus!c For The Masses
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今年は色んな理由でフジロックをあきらめていたところに、このフェス開催を知り、家から近くということもあって、「これに決まり」と言った感じで参加してきました。一言で言うと、日本の都会を凝縮したような「イベント」でした。詰め込みすぎて、余裕がなく、何かに追い回されるように早い時間の流れで見るライブ。そう簡単に革命は起きなかったということでしょう。アクトは素晴らしいモノがあっただけに、そのパッケージングの粗が嫌と言うほど見えました。
8/5(Sat) 1st Day

5:00 前日早く眠って気合いを入れて起床。もちろん、こんな早くから行って開場待ちをするわけでもなく、理由は駐車場に安心して車を止めるため。思えば、この考え方自体が都会生活の象徴だったのかも。何とか30分で支度をして、5時半に出発。空は青空、予想最高気温は35度。暑くなりそうだ。
6:30 5日の週末ということもあり、ひょっとしたら道が混んでたらなんてことは心配しすぎでした。渋滞なんてまったくなく、西宮で降りて鳴尾浜まで湾岸線の横を走り、湾岸線に乗るとあれよあれよという間に南港の出口。Zeppに行くときにいつも停める駐車場(1日500円!)に向かおうとすると、途中でたくさんのライダー。急カーブでハングオンしてる。ちょいとびびりながら何とか駐車場に着く。既にフェスのために到着しているとおぼしき人が10名くらいいた。コーヒーを飲んだり、仮眠を取ったり、思い思いの時間の過ごし方をしてる。
8:00 暇で仕方がないので、駐車場からWTCの方に向かう。WTCのローソンに入ってクーラーに当たる。まだまだ人は少ないけど、今日のイベントのためだろうか、やたらとおにぎりや弁当が置いてある。ジュースを持ってステージ裏とWTCの間の広場のような場所に座る。なかなか風が爽やかで気持ちよかった。ただ、メインステージのキャパはかなり小さい。苗場のフジのグリーンステージの半分、東京のフジのグリーンステージの3分の1くらいか。ちょっと不安を抱きながら時がくるのを待つ。
9:30 いい加減待つのにも疲れたので、並ぼうかと思ってゲートの方に向かうと途中で既に行列ができている。その距離500mくらいだろうか。「このクソ暑いのに並ぶのも馬鹿らしいなあ」と思い、再び引き返す。今思えばこれがケチのつきはじめ。
10:00 いい加減行かないとまずいなと思い、外へ出る。さっきの行列は解消されていて・・・と思い進み始めると、なんじゃ、この行列は!ひとまず並ぶが、果てしなく続く。ゲート側から隣の駅を経由して、朝停めた駐車場を越えて数100メートルいったところでようやく折り返し。その後再び元に戻り、Zeppの手前まで行き、さらにぐるっと回ってようやく入り口。一緒に並んでいた人は怒りを通り越してあきれてた。Tahiti80目当ての人が結構いたようで、悔しがってた。それにしても、僕が途中で見たバイト君達は給料全部返すべきだ。単に拡声器で「列の後ろはあちらです」っていうだけなら、スピーカーおいとけばいいんだ。横入りしようとする奴を止めるために雇われてるんだろ。いい加減うんざりしてきた。
11:50 まだ入り口まで半分くらいだったので、ステージ1に行くのはやめて、ステージ2に向かう。リストバンドの交換をして会場に入ると中は冷房がガンガンに効いてる。寒いくらい。残念ながらホッとしてしまった。この辺も都会生活に浸かりきってるからだろうなあ。既に疲れた状態だったので、コンクリートの地面に座り込んでステージ2のGlowを待つ。
12:30 Glowはドイツのバンドで本国では人気があるようだ。オープニングは一瞬テクノ風のSEで始まったが、その後はギターを中心としたミクスチャロック。可もなく不可もなくといったところか。こういう元気のいいバンドはできれば野外で聴きたかった。ABBAの"Dancing Queen"のカバーなんて、太陽の下で聴いたら最高だっただろうなあ。
13:40 ほぼ時間通りにSnugの登場。パワーポップをこれでもかというくらいに突きつける様はある意味潔く圧巻だった。ただ、これもできれば外で聴きたかった。音はぶっとく、しなやかなグルーヴを叩き出していただけに、周りの環境がもっと良ければさらに彼らの音が生きてきただろうと思うと前のGlowに続いて残念。ファーストアルバムは日本未リリースのはずだが、結構ファーストの曲でも盛り上がっていたのが印象的だった。ここまではフェスのオープニングとしては充分その役割を果たしていたと思う。
14:30 本当はくるりを見ようと思っていたのだが、客が増えて来そうだったのと、お腹が減ったので、WTCで昼食。食べることには困らなかったけど、それはそれでいつもの生活の延長をしているという感覚がより増幅されてしまった。お昼はおろし山菜そば定食。WTCでは至る所で寝ころんでる客が多い。正直、マナー悪すぎ。自分たちの行為が自分たちに跳ね返ってくるかも知れないなんて全然思ってないんだろうな。
15:10 本日初めてのステージ1へ向かう。いやー、クソ暑い。ゲート入り口はどんなもんだろうと思ったら、何と貧弱な・・・これじゃあれだけ行列できるの無理ないよ。ちょっと腹が立ったので、「明日は今日ほどは混まないですよね」と聴いたら「さあ、わかりません」って答えられた。本日2回目のいい加減にしてくれの思い。
15:15 Triceratopsのステージ。暑さでダラダラ聴いていたので、イマイチのめり込めなかったけど、彼らのちょっとひねったメロディは案外タイプ。歌詞のいい加減さもあんまり続くと苦笑ものだけど、あの程度の長さのライブだと我慢できる。ラストの曲は良かったと思った。普段見ようと思わないバンドの音が聞けただけでも大きな収穫だ。そうこうしている間にセットチェンジ。次のMansunに備えて前の方に進出開始。
16:15 約1年半ぶりのMansunは1週間ほど前にニューアルバムをリリースしたばかりというグッドタイミングでの来日。これまで気むずかし屋の印象の強かったPaul Draperは何とTシャツにジーンズで登場。会場に向かって「モットモットサワゲー」。。。いったい何があったんだ?オーディエンスの中のユニオンジャックを見つけて嬉しそうにするところなんて、あのMansunとはどうしても思えなかった。ライブの方は、新作と旧作からバランス良く選曲されていて、ファーストからセカンドを通って新作に続く、スパイラルをうまく表現していたと思う。前のライブでも思ったが、"Six"の複雑な曲をライブでやるところはやっぱり驚きだった。アレンジ的にはシンプルだけど、全体を通して一つの作品とも思える"Six"から一部分を抜き取ったステージでも、"Six"を経由した音の新作からの曲を通して、ファーストアルバムの音へと収束していく。暴力的なまでの激しさは身を潜めたものの、バランスの良さと力強さ、スケール感は確実にアップしていた。"Legacy"をやって欲しかったけど、残念ながら聞けず。早く単独で来日して欲しい。
17:35 Weezerは混んできそうなので、ちょっと休憩後ステージ2のWeenを見に行く。Mansunでエネルギー残量がほとんどゼロになったヤワな身体にはこの涼しさは嬉しい。しかし、会場は客が少なく寒そう。ほとんどをWeezerに取られてしまったような感じ。僕は最新アルバムの"White Pepper"しか彼らの作品を知らなかったけど、どうやら大きな勘違いをしていたようだ。アルバムを聴いた限りでは、ちょっとひねくれた感じのポップスを書くXTCのようなバンドなのかと思っていたら、なんとぶっといグルーヴなこと。これには正直言って驚いた。オーディエンスの反応は今ひとつだったけど、力強いステージは見ていて力がわいてくる。「バギューーーン」と何度も叫ぶボーカルの後で同じく「バギューーーーーン」と客席で叫んだ兄ちゃんは最高だった。途中でPrince & The Revolutionの"Kiss"を挟んだときに思わず絶叫してしまった。。。
18:40 もう動くのは嫌だったので、ちょっと後ろに下がってThe Bluetonesを見ることにする。正直、アルバムでの彼らの音は細く、ちょっとばかり中途半端なバンドだなというのが僕の彼らへの思いだった。スーツを着て登場したときにも、「何だか一昔前のバンドみたいだな」とか最初の方では「トライセラのボーカルに声が似てるなあ」とか思ってたけど、途中から小気味よいサウンドに引き込まれていって、ラストの"If..."では大声で叫んでた。こんなにカッチリとした力強い音を出せるバンドだったんだという驚きがわいてきた。予想外のアクト第1位かもしれない。
20:05 ステージチェンジにちょっと手間取っているのか、珍しく開始時間がやや遅れた。ラストはTeenage Fanclub。恥ずかしながら彼らの音を聞くのは初めて。実は何度かSongs From Northern Britain"を買おうとしたのだが、ちょうどCD乱買時期と重なり、旧譜にまで手を染めることができなかった。しかし、しかし、何と澄んだ美しい音を出すバンドなんだろう。青いといえば青い音なのかも知れないが、直接的に身体に入り込んでくる即効性の強い音だ。クリアなギターも優しげなボーカルも全てがツボをついてた。このライブを見て来週末は絶対に彼らの作品を買いに行こうと思った。ただ、最後ちょっと疲れたので終演10分くらい前に会場を出てホテルへ向かった。ステージ1の砂利とステージ2のコンクリートに足は悲鳴を上げていた。風呂でゆっくりもんで次の日に備える。

8/6(Sun) 2nd Day

7:00 前日は余りにも早く着きすぎたのでこの日はちょっとゆっくり目に起きて、朝食にホットドックを食べて、車で会場に向かう。終演後に駐車場まで歩くこと自体が苦痛だったので、この日はインテックスのすぐ裏にある駐車場に車を入れた。現地到着は8時頃。結局、ライブまではまだ2時間以上あるので、ATCの方に行ってみたり、周りをフラフラ歩いてみたりする。で、気になったのはWTCで寝ている人たち。マナーとかどうこういう以前の問題。ほとんど不法侵入みたいなもんだよ。噴水のところに進入防止の障害物が置いてあったのを見て、ちょっと悲しくなった。水浴びしてたバカがいっぱい居たからなあ。ほんと、マナー以前の問題。
10:30 ステージ1の前の方はWTCでうまい具合に日陰ができていたので、前の方に行ってみる。最初のアクトはOblivion Dust。しばらく前の方で見ていたけど、良さが分からなかったんで、後ろに下がってビールを飲む。芝生だったら寝転がっていい感じなんだろうけど、とにかく砂ホコリがひどく、一刻も早くこの場から去りたいと思うほどなのが、この会場の弱さだ。で、しばらくぼーっとした後、Museの前に再び前に進出。
11:35 いやー、Museスゴイよ。CDで聴いてる限りでは、あんな狂ったようなパフォーマンス見せるなんて想像もできなかった。久々に見たぞ、ライトハンド。何かにとりつかれたようにギターを弾く姿はちょっと危ないけど、表現力とエネルギーは抜群。スリーピースとは思えないほど、とにかく恐ろしいくらいに分厚い音を突きつけてくる。まさか、こんなライブになるなんて思ってもいなかったので、完璧にノックアウトされてしまった。表情のあるボーカルにこのギターが加われば無敵。2日間で最も驚いたアクトだった。
13:00 Museでステージ1つまり野外で見る予定のライブは全て終了。ということで、ステージ2に移動。Eelsのキャンセルで13:00から桃乃未琴でステージ2は始まる。まずはMuseで疲れ切った身体を落ち着けるために後ろの方に陣取り、ライブを見ることにする。ところが、彼女のボーカルは高音がきつすぎる。正直、生理的に受け付けない音だったので、仕方なくこの時間を利用して昼ご飯にすることにする。インテックス大阪内にあるレストランに入り、Aランチを食べる。フェスに来て「Aランチ」っていうのも味気ない。どうしてもこのイベントは日常を振り切らせてはくれないようだ。
14:00 そして、アイスランドのバンドSigur Rosのステージが始まる。MCは全くなく、最後の曲が終わっても淡々と帰っていく。メンバーの一人が軽く手を挙げるだけという超地味なアクトながら、その存在感は圧倒的。グッとトーンが抑えられた照明に深く澄んだ音が混じり合い、独特のシーンを描き出す。ギターをバイオリンの弓で弾いてみたり、通常のマイクとギターにつけられたマイクを使い分けることで、不思議な効果を生みだしてみたり、アイデアとしてはそれほど新しくはないんだろうけど、永遠に続くのではと思わせるようなリピートにやられてしまった。楽器音だけでなく、ボーカルも澄んでいて美しい。"Thom Yorke Meets Mogwai"といえるかもしれない。とにかく、この日のハイライトの一つだったといえる。ただ、疲れが徐々に出てきたせいか、油断すると眠ってしまいそうになったことは否定できない。
15:10 この日、最も期待していたアクトがColdplayだ。デビューアルバムをリリースした直後だが、イギリス国内でもかなり評判になっていて、まさにタイミング抜群の来日だ。アルバムの音はTravisをオッサンぽくしたような感じで、かなり地味。但し、何度も繰り返し聞きたくなるような曲が多い。暗い奴らかなあと思っていたら、予想外に明るく、「オオキニ」連発するし、「喉乾いたの?」といいながら客席にミネラルウォーターを投げ込んだり、「次、何聴きたい?」と言って"Yellow!"と答えると"Yellow"を演奏する。演奏も堅実で余裕のあるアクトだった。彼らの強みはそのメロディで、次のNumber Girlを待っていた後ろの女の子が「このバンドいいなあ」と言った言葉が全てを表していると思う。とにかく、即効性を持つ訴求力を持った音楽だ。Quatroで見たStereophonics、同じくQuatroで見たTravisと並んで、将来人に自慢できるライブだったと思う。
16:20 グッと胸に染みこむColdplayで大満足した後はNumber Girl。とにかく、人が前に前に押し寄せてくるので、体力的な限界を感じた僕は後ろに下がることにする。おそらく、ステージ2で最も人を集めたのが彼らのアクトだったと思う。観客のノリは半端ではなく、ちょっと恐いくらい。ストレートなロックの魅力は単純に格好良いと感じられた。ただ、知らず知らずの間に眠ってしまってた。あの轟音のギターの中で眠っていた自分はある意味スゴイと思った。
17:35 続いてSupercar。ステージ1がDragon Ashということもあり、もっと客が減るかと思ったけど、そんなことはなかった。The Jesus & Mary Chainそのままのデビューアルバムしか聴いたことがなかったので、最近はどんな音を出しているのか興味津々で聴いていたが、今ひとつピンと来なかった。リズムは複雑で至る所にノイズが散りばめられているが、ちょっと恣意的に聞こえてしまう。ちょっと頭でっかちな音になりすぎかなという感じがした。平板的なステージングで、やや自分の中には盛り上がりに欠けた。
18:40 続いてGrandaddy。かなり後ろの方で座っていて体力が戻ったので再び前に進出する。始まるまでは客の数はそれほど多くはなかったけど、最後はかなりいっぱいになっていた。とにかく、メンバーは音そのままにシャイ。オッサン臭いのに可愛らしい。これも音そのままで微笑ましい。みんなカメラを手に手に、曲の途中で取りまくっていた。誰もが認めるだろうローファイでアナログなサウンドは美しく優しいメロディを身にまとい響いてくる。非常にゆったりと流れる時間がそこにはあった。終わって欲しくないと思う時間があった。エフェクトの設定やらキーボードの音の調整やらで忙しそうだったが、それも見ていて微笑ましかった。何で、こんなオッサンにかわいさを感じてしまったんだろう。予想通りの幸せな時間を過ごせた。
20:00 ステージ2のトリはThe Flaming Lips。不思議な映像をスクリーンに映し出しながら、ドラを叩き、紙吹雪を投げまくり、風船をシャワーのように観客に浴びせ、指人形を使い、拡声器のサイレンの音を使い、ハトのおもちゃで演出する。とにかく、楽しませるというステージングで、意表をつかれた。客のノリもちょっと予想外に盛り上がっていて、ちょっと引き気味になってしまったが、知らず知らずのうちに拳が突き上げられるたびに自分も突き上げていた。これまた愛すべきオヤジ達で、最後の"Over The Rainbow"はクールダウンするだけでなく、胸が熱くなってしまった。不器用なまでのオヤジ臭さが、これほどまでに心に響くとは正直驚き。もっと、洗練されたステージを予想してただけに、その人間くささが逆に気持ちよかった。もう少しいい音でフルセットで見たかった。

アクトは良いものが多かった。それは出演者が一流だからに過ぎない。彼らは自分たちの持ち得る力を最大限に出してくれた。その一方で、運営には問題が多かった。入場時の問題、場所の問題、バイトのいい加減さ、参加者自身のマナーの悪さなど、目に余るものが多かった。「初年度だから」なんていう言い訳は通用しない。既に世界中でロックフェスは行われているわけだし、東京のフジロックをある程度参考にできたはずだ。ちょっと考えたら予想できることに対応できなかったのは能力のなさとしか言いようがない。
一番気になったのは、主催者がどんなフェスにしたいのかが見えてこなかった点だ。「フェスティバルの革命を約束します」の「革命」っていったい何?アーティストを集めるだけ集めてきて、それをパッケージングしただけに見えてしまう。それが「僕らのフェス」なのか?主催者側のエゴが入ったら「僕らのフェス」ではなくなるのか?それなら、マーケット調査をしてユーザニーズをとらえている代理店がやっても同じものができるんじゃないのか?何らかのプラスαがなかったら、自分たちの仕事を放棄しているのと同じじゃないのか?それとも、そこまで求めるのは間違いであって、与えられた範囲の中で楽しむだけでいいんだろうか
フェスってアクトだけじゃなくて、そのプラスαの部分が非常に大きい意味を持ってると思う。その意味で、Smashのフジロックはビジョンもしっかりしているし、プラスαも比較にならないほど大きい。2回目は多少は良くなるかも知れない。ただ、ビジョンを示し、プラスα言い換えれば自分たちのフェスの売りを明確に示せなければ抜本的な解決は何もなされないと思う。色んな意味で「都会を凝縮したようなイベント」だったと感じた。