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Super Furry Animals / Big Cat
Mogwaiに続いて2週連続のライブ。会社を出るときには止んでいた雨が、心斎橋に着いた頃にはかなり激しく降り出している。場所をハッキリ調べていなかったので不安だったが、何とか開演10分前に会場に到着。で、Super Furry Animalsのライブである。初期の作品以外のアルバムは持っていて、特にリアルタイムで聞き始めた近2作は好きなアルバムだけど、どうもイメージが掴み切れず、「何となく見に行ってみよう」という意識で参加したライブだった。

会場に入ると、ダンスミュージックが鳴り響いていた。しばらくすると、ハンディカムで撮影している楽屋の映像がスクリーンに映し出される。最初はターンテーブルが映し出されていたが、そのうち「スーパーファリーアニマルズのライブへようこそ!」とか大きな黒猫(=BIG CAT)のイラストを書いた紙皿を映して遊んでいる。これ自体は別に新しくも何ともないんだろうけど、メンバとオーディエンスのそれぞれの「場」を繋ぐ役目を果たし、今考えるとココからライブは始まっていたのかも知れない。徐々にDJセットのビートが強くなる中、予定を10分少し過ぎた頃にメンバが登場。オープニングは"Phantom Power"のクロージングトラック"Slow Life"だ。セットリストは"Phantom Power"や"Rings Around The World"が中心で、ややメロウさが目立つ曲の合間に、ガッチリしたロックモードの古い作品を挟み込む構成だ。

Super Furry Animalsというと、エキセントリックな部分が取り上げられることが多いけど、この日のライブでは細かな部分には彼ら流のユーモアや毒を散らしながらも、実に基礎体力がシッカリしたパフォーマンスを見せていた。セットや映像も限られた予算の中でアイデアを絞った使い方をしていて、音楽を中心としながらもその周辺要素まで取り込んだ無理と無駄のない演出がされていた。例えば、"God! Show Me Magic!"や"Do Or Die"のラストはフラッシュを使って切れ味のある曲の終わり方にピッタリだし、趣味の悪いクリスマスのイルミネーションのような電球も垢抜けない曲に感心するほどシンクロしていた。

尺の長い曲を中心にして、マクロ的にはゆったりした流れの中で進んできたライブが動いたのは中盤、"The International Language of Screaming"と"Phantom Power"からの3連発だ。大きな意味では同一路線の曲を重ねることで微妙な違いを浮き彫りにするとともに、やや平坦になりかけた進行にアクセントを与える。そして、童歌のような懐かしさを持った"The Piccolo Snare"に続いて、ロマンティックモード爆発の"Juxtapozed with U"へ雪崩れ込む。リフの部分でセロリを振るメンバに呼応して両手を揺らすオーディエンス。バンドとオーディエンスがピンポイントで交わった瞬間で、本編を締めるには抜群のタイミングだ。

それでもパフォーマンスは続く。「次の曲は今日演奏する中で最もヤヤコシイ曲なんだ」というMCで始まった"Receptacle for The Respectable"から、"Out of Control", "Bad Behaviour"と来て"Calimero"。今度こそ本編が終わると確信したのに、まだ終わらない。そして、ブッシュやその他の国の指導者の映像に、"Murderer", "Liar", "Government"というメッセージ色の濃いキーワードをオーバーレイした映像をバックに"The Man Don't Give A Fuck"へと進む。徐々にヒートアップしてきた後半の流れの中でも、特に強烈なエネルギーと鮮烈なメッセージを放つ中、一旦メンバは退場。

客電は落ちたまま、スタッフがステージ上を動き回り、バックには強烈なダンスビートが鳴り響く。ライブの流れからすると比較的早いインターミッションでメンバが再登場すると踏んでいたにもかかわらず、10分以上は靴の底から身体を揺らすようなリズムが鳴らされ続ける。次にライトが点いたときには、"Golden Retriever"のプロモーションビデオで使っていた着ぐるみを身につけたメンバがガッツポーズ。そして、そのまま退場。「え?」っと思ったけど、ここでライブ終了。結局、"The Man Don't Give A Fuck"後の長いインターミッションはこの演出の前フリだったようだ。

完成度の高いライブの中で唯一気になったのはオーディエンスのレスポンスの鈍さか。緩めの曲が多かったこともあって、なかなか流れに乗るのが難しく、ストレートなロックでも激しいノリになることはなかった。それを除くと、見事なまでにライブはコントロールされていた。とてつもないテクニックを使って観客を釘付けというような魅力ではなく、流れの中でオーディエンスを魅了するようなライブ。普通、楽しい時間はあっという間に過ぎていくものだけど、この日は楽しいのに全然時間が過ぎなかった。こんな経験も初めてだ。

結局、主観評価なんて期待値と実測値の乖離が主要なパラメータとして現れるので、それ程大きな期待を持って臨んだ訳ではないSuper Furry Animalsのライブに衝撃を受けたとしても、絶対尺度としてはそれほどのものではなかったかも知れない。ただ、初めて聴いた人の耳を捉えるだけの曲の魅力、聴き手を裏切り続けるクセ、そして音楽的な懐の深さの三拍子揃ったバンドであることは確認できたし、あの場で演奏されていた音楽とその周辺に存在したパフォーマンスはBIG CATのような小さなキャパシティの会場ではなく、もっとたくさんの人に聴いて欲しいという想いが沸き起こってきた。

こちらの「Super Furry Animalsはクセ者だ」という心理を逆手に取りながら、100%こちらの期待に応えることも、100%裏切ることもなく、Super Furry Animalsであり続けたライブだった。言葉のコミュニケーションこそ巧く取れていなかったが、阿吽の呼吸の駆け引きは非常にインタラクティブな流れを作り出していた。こうした流れの中で、最終的に無限ループのように「Super Furry Animalsはクセ者だ」という結論に帰着し、それがまたイメージを増幅されていく。そして彼らは、楽屋のカメラに向かって、「ARIGATO」や「Thank You Osaka」とマジックで書いたバナナを映し出す。きっとこちらでニコニコしているオーディエンスが多かったのと同様に、カメラの向こうでもメンバがニヤリとしていたはずだ。Sigur Rosと並ぶ今年のベストライブ候補の一つで、終わってから食べた神座の煮卵入りラーメンもとても美味しかった。(2003/11/24)

Set List
  1. Slow Life
  2. (Drawing) Rings Around The World
  3. Golden Retriever
  4. God! Show Me Magic!
  5. Do Or Die
  6. Hello Sunshine
  7. Demons
  8. Run! Christian! Run!
  9. Cityscape Sky Baby
  10. The International Language of Screaming
  11. Liberty Belle
  12. Bleed Forever
  13. Sex, War And Robots
  14. The Piccolo Snare
  15. Juxtapozed with U
  16. Herman Loves Pauline
  17. Receptacle for The Respectable
  18. Out of Control
  19. Bad Behaviour
  20. Calimero
  21. The Man Don't Give A Fuck