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Super Furry Animals / Club Quattro
2003年の来日公演が素晴らしかっただけに、ファン以外の多数を前に演奏できる昨年のフジロックのキャンセルは痛かった。ただ、今回の来日はニューアルバムリリース直後ということもあり、ファンにとっては絶好のタイミングではある。直前にチケットを買ったにもかかわらず整理番号が260番台だったので、想定の範囲内ではあるが客入りはお世辞にも多いとは言えない。フロア前方こそ人が詰まっていたけれど、センター以外は充分に余裕がある。「本国ではフェスのトリクラスのバンドが、クアトロクラスのキャパのヴェニューってのは切ないけれど、裏を返せば贅沢だよなあ」とボンヤリ考えながら、後方左側の定位置で開演を待った。

今回もステージ上にスクリーンが設置され、開演前に流されるレコードのターンテーブルがハンディカムで映し出され、ライブ開始前からオーディエンスとのインタラクションは始まっている。しばらくすると、「Super Furry Animalsのライブへようこそ!準備はいいですか?」(超意訳)というメッセージがスクリーンに映され、その後客電が落ちたかと思うとロッキーのテーマソング(?)に併せてキャディカートに乗ったメンバーが映り、映像と同じ服装をしたメンバーがステージに登場。彼ららしい映像の使い方に思わずニヤリ。

ライブは"The International Language of Screaming"でスタート。ちょっと意表を突かれたけど、ミディアムテンポでコンパクトな曲の中にSuper Furry Animalsの特徴がギッシリ詰まったポップチューンは、フロアを温めるのに最適の選択だったと思う。続いて、女性ボーカルのサンプリングで始まる"Hello Sunshine"から新作"Love Kraft"のリードトラック"Zoom!"と落ち着いた流れでライブは進み、その後も"Atomik Lust"や"The Horn"といった非ロックナンバーが続き、フロアを緩い空気で満たしていく。但し、単にユルユルかといえばそうではなく、トラディショナルな雰囲気を持った"Ohio Heat"やトリッキーで複雑なフレーズを持った"Run! Christian, Run!"など変化球を織り交ぜ、歌と演奏の確実性をアピールしながら、"Receptacle for The Respectable"で第一部終了。

数分のインターミッションの後、"Slow Life"のオープニングが流れて第二部開始。誇張されたシンセベースと打ち込みのリズムトラックが印象的なイントロで始まり、激しさはないものの、力強いメロディとバックトラックがカウンター気味に絡み合いながら、第一部でフロアを満たした緩めの空気を徐々に排気し、新しいショウを予感させる。と思っていたら、極甘の"Juxtaposed with U"を放ち、上がりかけたテンションをロマンティックなメロディで包み込む。第一部で感じた緩さとは異なる幸福感爆発の緩さに、全身の筋肉は緩みっぱなしで、ニコニコと身体を揺らしながら、うろ覚えのリフを遠慮気味に口ずさんだ

その後は前半に溜め込んでいたエネルギーを一気に解き放つかのように、アップテンポなロック/ポップモードで突っ走り、反応しづらそうだったオーディエンスも徐々に音にシンクロしてヒートアップしていく。個人的には、"Lazer Beam"のキメのフレーズで拳を振り上げ、"(Drawing) Rings around The World"では勝手にコーラス隊に参加し、"Do or Die"では最初からジャンプし続け、"Yeah Yeah Yeah!"の部分で僅かに残ったグリコーゲンを燃焼させた。さらにm息絶え絶え状態の中のハイパーポップチューン"Calimero"では次の日の午前中の体力を前借りして身体を動かし、"The Man Don't Give A Fuck"では2年前と変わらない映像に複雑な思いを抱きながら、次の日の午後に使う予定の体力を前借りしてジャンプし続けた。

"The Man Don't Give A Fuck"のアウトロでは、オープニングと同様にメンバーがキャディーカートを運転して、トラックに乗っていく映像が流された後、スタッフロールでメンバーとスタッフがクレジットされ、さらにグリコのネオンや食い倒れ人形、心斎橋商店街の様子などを矢継ぎ早に繋いだ映像を流し、「大阪のファンの皆さんありがとう&おやすみ」というメッセージをスーパーインポーズした映像で終了。ライブを一つの作品としてパッケージングし、その一部に大阪というライブの「場」とライブの「オーディエンス」を作品の一部に取り込んだことを主張する演出に彼ら流のファンとのコミュニケーションを感じることができた。

第一部の長い周期で身体を揺らしながら感じる幸福感と、後半の短い周期で身体を揺すりながら感じる昂揚感の両方がとても気持ち良いライブだった。少し物足りなさもあったけれど、充分な満足さもあった。そんな相反する感覚を生み出せるバンドがSuper Furry Animalsというバンドだ。脂が乗り切った今こそ、彼らを知らない人達にこの音を届けるタイミングだと思う。(2005/10/23)

Set List
  1. The International Language of Screaming
  2. Hello Sunshine
  3. Zoom!
  4. Atomik Lust
  5. The Horn
  6. Ohio Heat
  7. Run! Christian, Run!
  8. Cloudberries
  9. Frequency
  10. Ice Hockey Hair
  11. Receptacle for The Respectable
  12. Slow Life
  13. Juxtaposed with U
  14. Lazer Beam
  15. (Drawing) Rings Around The World
  16. Do Or Die
  17. Something 4 The Weekend
  18. Calimero
  19. The Man Don't Give A Fuck