仕事の夢で目が覚める毎日のせいか、2005年の単独、2006年のフジロックフェスティバルに続いて、3年連続の来日のせいか、今ひとつワクワク感が欠けたまま、予習もソコソコに迎えたライブ当日。スタックされた仕事から逃げ出すように、17時頃に会社を抜け出して心斎橋へ出発。
ところが、電車が西宮に差し掛かったあたりで、京都方面の踏切で人が転倒したとかで大阪駅に着いたのは18時50分。「最近、ツイてないなあ」と思いながら急いで地下鉄に乗り、心斎橋から走ったら19時6分にクアトロに到着。ラッキーなことに、ライブはまだ始まっておらず、ビールを受け取ってから定位置へ向かった。
これまで見た彼らのライブでは、印象的な映像の使い方が目立っていたが、今回はステージ上にスクリーンは見当たらず。「セット」という意味では、フロア部分の天井に布がかけられていた程度の簡素さ。そんな「非日常性」の欠如もあって、ライブ開始前にもかかわらず個人的な昂揚感は低め。「明日中に明後日の打ち合わせ資料を作らなくちゃなあ」と思っていると、ステージの横から奇声が聞こえると同時にフロアの照明が落ちて、ノソノソとむさ苦しい風貌のメンバーが登場。
オープニングトラックは予想通り、新作のリードトラック"The Gateway
Song"で、次の曲も予想通り"Run-Away"。「何だか普通の流れだな」と思いながら、"Run-Away"の優しげなメロディに身体を揺さぶる。曲の間のオーディエンスの反応はこれまでの来日と同じく緩め。ただ、前回はキッチリとモードチェンジを起こした"Do
or
Die"でも大爆発しなかったのは意外。自分自身もサマソニ以来、3ヶ月のブランクが効いたのか、どうもライブの流れに巧く溶け込めず、途中でジャンプを辞めてしまった。
"Northern Lites"などの初期の曲を挟みながら、新作から「いかにもSFAっぽい」曲を繰り出すあたりは、ロック的なストレートな熱さには欠けるものの、彼らのサウンドアイデアの豊富さを実感。そして、それ程大きくアレンジを変えていない過去の曲と現在の曲を並べても違和感を感じさせない一貫性の強さとキャリアを通しての楽曲の完成度の高さも再認識。"Zoom!"、"The
Gift That Keeps Giving"とやや乗りにくい曲を続けた後で、待ってましたの"Juxtaposed with
U"。ただ、オリジナルに比べると、ロマンティック度が控え目だったのが残念。そして、ホンワカしたメロディを持つ前半と、パワフルな音に豹変する後半の二つの表情を持つ"Receptacle
For The
Respectable"で「前半戦」終了。Gruffは「5分間休憩」と日本語で書かれたホワイトボードをオーディエンスに見せてウケを取り、メンバーは一旦ステージを去って行った。
「後半戦」のリードトラックは"Slow
Life"で、前半最後のエネルギッシュの余剰部分をクールダウンさせながら、流れを組み立て直し始める。そして、ここからが圧巻。ビートがシッカリとした尺が短めの曲を畳みかけるように演奏し、いつの間にか前半の乗りにくさは一掃され、気が付いた頃にはロック的なオーディエンスを巻き込んで行く流れが完成。そして、一旦"Fuzzy
Logic"からの曲で流れを落ち着けると、美しい"Hello Sunshine"でエンディングへと向かう流れを作り始め、エンディングの定番"The
Man Don't Give A Fuck"へ。「これで終わりかな」と思わせておいて、ホッコリした"Keep The Cosmic Trigger
Happy"。最近の攻撃モードでのエンディングとは違い、"Hey
Venus!"で見せたポップワールドと親和性の高い温和モードの中でライブは終了。Gruffは「LOVE
大阪 スーファリ」「正直に生きろ」「おわり」と日本語で書かれたホワイトボードをオーディエンスに見せて、ノソノソと袖へ引っ込んで行った。
サプライズは「2週間前にできたばっかりの新曲」を3曲(3回?)もやってくれた程度で、曲によってはキーボードのパートを強めたり、アレンジを若干変えたりはしていたけど、基本的にはいつものマイペース(=正直に生きた)のライブ。ただ、そのマンネリとは違ったマイペースさはとても心地良く、音声言語以外でのコミュニケーションが充分に取れたライブだった。
帰りの電車では、会社を出るときに強迫観念に負けて鞄に入れた仕事の資料は一切開かず、ずっと"Hey!
Venus"を聴いていた。ちょっと元気が出た気がした。(2007/11/10) |