Mus!c For The Masses
Home > L!ve > The Chemical Brothers
The Chemical Brothers / Zepp Osaka

 前座のDJがプレイしていたとはいえ、おぉー、「ケミカルってこんなに人気あるのか」と会場に足を踏み入れた瞬間少し驚くほどの客の入り。Zepp Osakaだから、それほどのキャパはないわけだが、昨年12月のThe Charlatansのライブと比較しても、客の数では圧倒しているし、熱気自体も上回っている気がした。これが、ダンスミュージックとロック/ポップスの二つの壁をぶち破り、その行き来を自由にしたバンドの持つエネルギーなのかと感心した。

 基本的には、ショートバージョンだったFuji Rock Festival '99をフルバージョンでやったのかなと思えるライブではあったが、違ったのはそのビートの持つエネルギーの大きさだった。昨年リリースされたアルバム"Surrender"は全体的にビートが押さえられているようなイメージがあり、しかもオープニングチューン"Music: Response"がやや地味目だったこともあり、少し大人っぽいダンスミュージックになっていたが、ライブでの1曲目は「これしかないだろ」の"Hey Boy, Hey Girl"。いきなり、会場のノリは頂点に達する。前のブロックの人も、隣の兄ちゃんも、斜め前の姉ちゃんも、みんな思い思いのスタイルで身体を動かしたり、リズムを取っているが、ベクトル自体は完全に彼らの放つ「ビート=音楽そのもの」の作り出す場によって揃えられている。Fuji Rockとは違うのはまさにこの点だった。

 Fuji Rockでの彼らの放つ音はどこか散漫な印象があった。もちろん、野外ということや全ての客が彼らを目的にしているわけではないというハンデを考慮してもということだ。ところが、この夜の彼らは違った。身体に直接叩き付けるリズムは、脳を経由して価値づけられることを拒否し、直接「汗」や「楽しさ」の評価を獲得する。誰もが踊り、ジャンプする。耳で聞く音楽と、身体で体験する音楽の違いだ。Fuji Rockでは自分の心がけもあったのだろうが、身体で体験するにまではいたらなかった。この夜の彼らは完璧に全オーディエンスを制圧した。彼らの実力は別にして、これくらいの規模のクローズドな環境が一番彼らの音楽を楽しむのにはよいのかもしれない。

 "Hey Boy, Hey Girl"から"Music: Response", "Block Rockin' Beats"の3連発で体力のほぼ全てを使い果たし、"Out of Control"でBernardかBobが出てきたら良いのにと思いながら踊り、まさかNoelは来ないだろうなと思いながら身体を揺らす。これはいっても仕方がないが、やはりゲストボーカルがいてくれたらなあとは感じた。これは、ボーカルのいないバンドとしてはどうしようもないことか。この点、UnderworldのKarl Hydeの存在はデカい。

 9時前まで時間を忘れるほど動き続け、自分も周りも、全てが揺れ続けた約2時間だった。2000年最初のライブは満足感に溢れたライブだった。同時に、他人が便宜上の作ったカテゴリーを嘲笑うかの彼らのパフォーマンスだった。まだまだ、Underworldとの対決には結論は出ていない。