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Summer Sonicでは東京のみに出演予定のThe Flaming Lipsをメインに、オーストラリアのThe
AvalanchesをDJセットでのゲストに加えたSummer Sonic前夜祭。だったんだけど、フライトの都合で来日が遅れたThe
Avalanchesは残念ながら当日キャンセルだったらしい。といっても、この情報は今、このレポートを書いているときに知ったんだけど。
ニューアルバム"Yoshimi Battles The Pink
Robots"をリリースした直後の絶好のタイミングでの来日で、しかもフルセットで見られるのはかなり嬉しい。開演10分くらい前に入場したらビール売り場が混んでて行列。しばらく並んでビールを受け取って、左斜め後ろへ移動して開始を待つ。The
Avalanchesが先にやって、その後でThe Flaming Lipsが出てくるのかと思っていたんだけど、ほぼ時間通りにThe Flaming
Lipsが登場。しかも、"Do You Realize?"のプロモビデオと同じように、Wayne
Coyne以外の二人はウサギの着ぐるみを着て…しかも、舞台袖にはカエルやオオカミ(?)みたいな着ぐるみが踊りながら盛り上げようとしてたのは徹底してたなあ。さすが、小道具の帝王、ココまでやるかと感心。
ライブは新作の中でも最も美しく明快なメッセージを持つ"Do You Realize?"で始まり、前作の美しくも力強い"Race for The
Prize"へ流れていく。最初からWayneは紙吹雪投げまくり。ニコニコしながらも、観客、メンバー、ドラムセット、舞台袖の動物着ぐるみ応援団にと、何かに取り憑かれたみたいな勢いで投げまくる。おまけに、天井が低くて小さいクアトロで大きな風船を飛ばしまくるから、ステージへ戻ってきた風船がメンバーに当たりまくり。それでもニコニコ笑顔で演奏を続ける。ステージ上にセットされたスクリーンには生理的に痛かったり、かゆくなりそうな映像が流され、その合間にWayneの表情が挿入される。で、やっぱりWayneは血糊を使いまくって顔とシャツは真っ赤。
しかし、何で血糊なんだ?
"Yoshimi Battles The Pink Robots
Pt.1"ではスクリーンに映画「バトルロワイヤル」の映像が使われる。「日本語バージョンで歌ってくれないかなあ」と思っていたら、最後の最後でワンフレーズだけ怪しげな日本語で歌ってくれた。ただ、どうせなら大阪弁のとこを歌って欲しかったし、最初から最後まで日本語で大合唱したかったな。その後も、生ドラムを全面に出した"The
Soft Bulletin"からの曲と、打ち込みを使って少々ダンス仕様の"Yoshimi Battles The Pink
Robots"からの曲、あるいはそれ以前の曲を織り交ぜ、紙吹雪、指人形、風船、鳩のオモチャを駆使してライブは進行する。本編ラスト間近の"Feeling
Yourself
Disintegrated"は映像と曲が完全にシンクロしていて、画面から唾が飛んできそうだったけど美しかった。で、最後の曲が始まる前に、「次が最後の曲なんだけど、みんなクレイジーに行こうぜ。科学的にも周りが興奮すると自分も興奮するってことが証明されてるし
。短い曲だけどできるだけクレイジーにね。あ、でも、周りの人をぶっ飛ばさないでね」というMCを挟んで演奏した曲、なかなかクレイジーになるのが難しかったよ
・・・アンコールに出てきたときも嬉しそうに「拍手が多かったんで出易かったよ」といいながら、"The
Observer(違ったかも)"を演奏。全てのオーディエンスに手を振りながら帰っていった。最後に"Over The
Rainbow"やって欲しいと思ったけどさすがに無理だった。
Summer Sonic
2000のときにも思ったけど、彼らのライブの見所って何なんだろう。もちろん、CDで聴くよりも繊細さやダイナミックさで上回ることもあるけど、それはどんなバンドのライブでも同じだろう。実際のところ、歌や演奏の表現力が見違える上がるわけでもないし、身体を突き動かすようなグルーヴを生み出す訳でもない。と考えていると、「コミュニケーション」というキーワードが浮かんできた。歌、演奏、映像、小道具を使ったパフォーマンス。あらゆる手法を使いながら楽曲を通して、常に双方向のコミュニケーションチャネルを確立しようとする姿勢。これは他のバンドのライブではなかなか感じられない部分で、ライブがバンドとオーディエンスという二つの独立した構成要素から成る限り、それはかなり重要な位置を占めるのかも知れない。発する側と受ける側が固定されないことによる没入感。そして、対等な関係であるが故のメッセージの重み。ニューアルバムのジャケットの「ザ・フレーミング・リップスは、あなたが人生と、このレコードをエンジョイしてくれることを願っています。」というメッセージに彼らの本心を感じるとともに、ライブが終わってから"Do
You
Realize?"の「あなたの知っている人は皆、いつか死ぬ。」というメッセージリアリティが途轍もなく増幅。優しさと残酷さが同居した不思議な時間が流れていった。
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