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正直言ってThe Theのライブを日本で見ることができるとは思わなかった。元The SmithsのJohnny
Marrをギタリストに、ドラムには元ABCのDavid Palmerを迎えてレコーディングされた4thアルバム"Mind
Bomb"を引っさげての初来日公演。オープニングから会場に重苦しい空気が流れる。極度に張りつめたテンションを切り裂くようにして、心の底からMatt
Johnsonが声を絞り出す。これまでに体験した中で最も緊張感が溢れるライブだった。Johnny
Marrは淡々とギターを弾き、他のメンバーも真面目に演奏していた。ライティングやセットに凝ることもなく、最後まで緊張感を持続させたライブだった。
それまでは、Matt Johnsonのソロプロジェクトの側面が強かったThe Theであるが、"Mind
Bomb"からは4人編成のバンドとなった。前作の"Infected"ではエレクトロニクスを用いながらも、自分自身の中にある苦悩や社会への問いかけを独自の言葉遣いで強烈に表現していたが、"Mind
Bomb"では寧ろ音の密度が非常に減り、シンプルなサウンドになった。しかし、そこで歌われる内容は、宗教の矛盾であり、若者の苦悩であり、自分のエゴのために恋人を側に置いておこうとする男の心情であったり、愛を越えた感情であった。他のどんなバンドにも表現できない“言葉”で音楽を表現していた。ライブでも、こうした静かなサウンドの間に込められた力強い言葉が存分に発揮され、観客はMatt
JohnsonそしてThe Theの圧倒的な存在感にただ立ちつくすしかなかった。“静”としてのライブを強烈に感じることができた不思議な体験だった。 |