ある程度予想はできていたけど客入りは寂しい。そりゃ、日本ではマキシシングルを1枚リリースしただけだし、今の時代のメインストリームの音でもなければ、新しい流れを方向付けるような音って訳でもないし、アイドルやモデル級のルックスってこともないから仕方ないんだけど。ザックリ数えてみて200人くらいだけど、以前に見たCatatoniaのライブよりは多いし、アルバムをリリースしていない「無名」の新人バンドとしたら多い方なのかも。
ライブ開始前のBGMはどこかで聴いたエレクトロニカっぽい曲がかかっていたかと思えば、The Rolling
Stonesの"Satisfaction"などのロックもかかるゴッタ煮。さらに、客電が落ちた後のメンバ登場の音楽は"Born to
Love"と来れば、まだまだ素性を完全に把握できていないこともあって、頭の中をクエッションマークが飛び交う。
"Born to Love"がワンコーラス終わったところで、新人バンドとは思えないくらいに勢いなくメンバ登場。ギターとベース担当のDanielとPadraicはミッキーマウスTシャツを着用という普通の人達。知ってる曲は輸入盤の"Santa
Cruz"に収録されている4曲だけなので、ライブで演奏される曲のほとんどは初めて聴く曲だ。全体的にメロディやアレンジは"Santa
Cruz"のベクトル上にあって、不必要なギミックを排除した真面目な本質追究路線。スローテンポの曲ではリゾートで過ごす最終日の夕方っぽい寂しさを感じさせるけど、ボーカルのConorのかすれ気味の声とハーモニカ、そしてKevinのキーボードがうまくアクセントと表情を付けて、過剰なノスタルジーを抑えている。演奏の方もアップテンポの曲でリズムについて行けなくなったり、スローテンポの曲で走ったりすることもなく、メンバの言動や挙動共々、落ち着き過ぎの感じもあるけど安心して聴けるクオリティを確保しながらも、CDで感じた線の細さは解消し、力強さや荒々しさもバランス良く実装。"Santa
Cruz"や"One Horse
Town"などではそれなりに盛り上がりを見せるものの、それ以外の曲では激しく乗りまくるというよりは、曲に身を任せて身体を揺らすといった緩い雰囲気。派手なライティングを使うことも、メンバがオーディエンスを煽ることもなく、似たタイプの曲が多い中、必ず現れるキラーフレーズで曲の輝度を充分に維持しながらライブは進んでいく。
「今日はたくさん来てくれてありがとう。とても嬉しいよ。」とか「フジロックフェスティバルに出ることになったんだ」というようなMCを挟んでいい人光線を出しながら40分ほどで本編は終了。3分ほどして再登場したアンコールでは、リズムボックスと生ドラムを絡めたどこかで聴いたイントロは、名前の由来へのリスペクトなのかMichael
Jacksonの"Billy
Jean"のカバーで、微妙にソウルフルなボーカルとの相性も良く楽しめた。ただ、歌いながらムーンウォークするとか、顔を隠すための妙なマスクを被って出てきたりしてくれると盛り上がったんだけど、シャイ度爆発の彼らには無理な相談か。
アンコールのラストくらいはアップテンポの曲で煽るかと思いきや、スローなシャッフルのリズムを基調とした"Deckchairs And
Cigarettes"を持ってくる余裕さも発揮。Sigur Rosの神々しさやThe
Libertinesの爆発力を目の当たりにした後だっただけに、インパクトという点では物足りなかったけど、シーンや年齢に不相応のマイペースぶりは親しみやすく、楽曲の即効性も予想を軽くクリア。初めて聴いた人を惹き付ける魅力を持ったメロディは夏フェスの台風の目になる可能性も充分。フジロックでは是非とも屋根のないステージで見たい。あと、日本先行のデビューアルバムはエンハンス仕様のようで、CCCDを避けられそうというのも個人的には吉報。(2003/5/11) |