2002年を代表するフロアアンセム"Two Months Off"と微妙な感覚のビートを放出した新作"A Hundred Days
Off"を引っ提げて久々の単独での来日は、未だに強烈な印象を残す99年のフジロックと微妙な評価に終わった2000年のエレクトラグライドのアクトをつなげられるかというのが一つのポイント。で、恐ろしいまでの純度の高さと内へ抉り込むようなリズムが強烈な閃光を放っていた"Beacoup
Fish"に比べると、拍子抜けしそうにオプティミスティックでオープンな"A Hundred Days
Off"の音はどうしても緩く、そこを彼らの特有のインタラクションを備えた立ち回りととTOMATOのビジュアルでどのように再構築して、エンタテーメントとしてパッケージし直すか?Underworldのライブとなると、どうしてもそんな過剰な期待を抱いてしまうし、また彼らならやってくれる筈という思いも強い。
ゲストに2組のDJセットがあり、Underworldは20:30スタートということもあって、ビールを飲みながら夕食を取ってゆっくりと会場に到着。フロアには強烈な低音のビートが響き、否が応でもテンションは上がってくる。途中で様子見に中に入ってみると後の方までぎっしりで、一人あたりの専有面積はかなり小さそう。その光景を見てますます気持ちが高ぶり、20:15くらいにホールに入った。少しずつ人を押し分けながら定位置のPAブースの左側い陣取りながら定刻を待つ。「そういや、フジのときは定刻より早めに始めたよなあ」などと思っていると、突然響き渡る大歓声。地味に、そして意外な程アッサリとUnderworldの二人が登場し、Daren
Emersonと何やら話ながら交代。
一曲目は何といきなり"Rez"。チープなシンセサイザーのイントロが始まった瞬間に、会場のボルテージは一気に沸点間近。で、当然のように"Cowgirl"を挟みながら再び"Rez"へとつなぐ定番ながら強力な流れ。正直意表を突かれ、いきなりジャンプしまくりで体力の残りゲージが一気に減少。続いて、まったりとしたスローなシンセブラスヒットが印象的な"Dark
Train"へと進み、テンションは上がり切らず、下がり切らずに平衡状態。インプロ気味に続くユラユラ感はなかなか気持ち良かったが、最後はちょっとダレ気味。と思っていると、早くも繰り出される"Two
Months
Off"。再び飛びまくり。オケヒット気味のシンセとRickのボーカルのコンビネーションがブレイクした瞬間は震えるくらい格好良かった。さらに、アッパーな"Dinosaur
Adventure 3D"や"King of Snake"と続き、再びボルテージがジワジワと上がっていく。
Underworldのライブは、例えばThe Chemical
Brothersとは対極的で、オーディエンス側の解釈の自由度が多く残されている。層状に重ねられた音はの間には充分な空間があり、それぞれの音が強力に結合して塊となって飛び込んでくることは少ないので、音楽をメディアにしたインタラクションによって音場が作られていく印象が強い。ただ、それは諸刃の刃で、少しでもズレが生じたときには散漫な印象が残ってしまう。そういう意味ではThe
Chemical
Brothersのように完成された地点にフロアを引き上げる手法の方がハズレは少なそうだけど、ハマッた時の至福感はUnderworldの方が絶大だ。僕はUnderworldのライブにそんな至福感への期待を持っている。そういう意味で、"King
of Snake"が終わってから数曲はあの場にシンクロできなず、どうもダレた印象が強かった。それは単にBPMが低めの曲が続いたとか音の密度が下がったからというよりは、解釈の自由度が高さが災いして、耳馴染みの薄い曲の引き込む力が弱かったからのような気がする。
それでも、"Born Slippy"がそんなモヤモヤを吹き飛ばしてくれるハズだった。この日も「そろそろ聴きたいな」と思った瞬間にオーディエンスを浮かび上がらせるライティングと共に始まったこの曲は絶大に支持されていて、会場中から堰を切ったように笑顔が溢れ出す。僕も踊りまくっていたけど、99年に感じたビッグバン的爆発力にはやっぱり及ばなかった。この日はあの時のようにタメにタメて一気にエネルギーを噴出させるというよりは、既に幾つかの小爆発が起こっていたから仕方ないと言えば仕方ないけど、もう一度あの瞬間を体験したいと思っていただけにやっぱり残念だった。そして、意外にもこの日最も圧倒的なパワーを見せつけたのがアンコールで演奏された"Moaner"。曲の持っているエネルギーと目が眩みそうなライティングがフィードバックを掛け合いながら無限に発散していく様子は信じられないくらいエネルギーを放出する超新星爆発そのもので、それまでの流れとはうって変わって"Made
by
Underworld"の強烈な場が構築された。大袈裟ではなく、それまでとは別次元の空間が生みだされたように感じた程で、本編のモヤモヤが一瞬で吹き飛ばされた瞬間だった。
全部で約2時間、Rickの人の良さが滲み出て、ライブとしては楽しめた部分が多かった。周りも笑顔で手をつなぎながら踊っている人もたくさんいて、幸せ感も大きかった。ただ、彼らのライブを見るときにはどうしても99年のフジロックがリファレンスになってしまうので、あのとき目の当たりにしたUnderworldだけが到達できる地点には辿り着けてない気がした。まあ、何事にも良くあるように初体験を美化しすぎているだけなのかも知れないけど、もう一度フジのステージで見れるまではこの比較はやめられそうにはない。来年当たりスッキリさせて欲しいな。 |