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約2年ぶりの7thアルバムは音響的アプローチを休止した前作路線を押し進めることで、ザラッとした初期の頃の手触りが戻って来た一方、"Yankee
Hotel
Foxtrot"という作品を経由した影響はやはり強く、ロック指向の強いサウンドの中にも洗練された部分が色濃く析出。スパイラルな原点回帰によって新しさと懐かしさを同居させた"Wilco
(The Song)"で始まると、実験的な香りを残しつつ、繊細なメロディを充分に活かした"Deeper
Down"、バックトラックの音密度を緻密に制御し、鮮やかに表情を変えていく"One
Wing"と「らしさ」を感じさせる立ち上がり、。その後も、Wilcoらしさが滲み出た"Bull Black
Nova"、控えめなキャッチーさを持つメロディとシンプルなアレンジの取り合わせが絶妙な"You And
I"、物静かなフォークソング"Solitaire"、独特のフックを持ったロックナンバー"Sonny
Feeling"など、派手さはなくても、曲とアレンジが常にハイレベルで結合。特に、前作と比べてメロディのキャッチーさが強くなっていることもあり、土埃が立ちこめるようなアレンジでもクラシカルになり過ぎず、時折見られる実験的なサウンドアプローチでもエンジニアリングの面ばかりが強調されないという強みもプラスに作用。ハッとするような斬新さこそ控えめになったものの、キャリアを貫き通して来た軸は以前にも増して明確になり、15年分の身と旨味がギッシリと詰まった作品。(2009/08/17) |