週末、男4人ばかりで温泉に行ってきた。
帰ってきたのは日曜日。うちの前までたどり着き駐車場に車を入れ、
やれやれ、おつかれさんと自分に言ってから、
荷物を下ろしてよっこらせと車の幌を上げ、
マンションのオートロックの前に荷物を運んで、
カギを開けようとしました。わたくしは。
無意識のうちに、いつもカギをぶら下げている右の腰に手を伸ばした時、
「ん?、あれ?!・・・カギがない!!!」
俺がキーホルダーとして使っているのは、
「鉄砲ナス環」という金具で、ばね仕掛けで輪っか閉じるようになっている。
これは、犬の引き綱の先に付けて、首輪についてるリングに繋いだり
ショルダーバッグのストラップの先に付けて、
バッグ本体に着脱可能にするといった所に使われている金具なんだが、
これでどんなものか分かるだろうか。
で、いつもそれを右の腰の、パンツのベルトループに下げている。
そんなに簡単に落ちるようなものではないし、
外れてもヒップポケットの中に落ちるはずだ。
ところが、それがないのである!
旅行中に外した記憶もないし、うちのカギを外す必要性がそもそもない。
でも一応、荷物の中を調べましたわよ、ええ。
あるわきゃないよな、と思いつつ、玄関ホールで中身を全部ぶちまけて。
やっぱりなかった。
たぶんあれだな。
車のキーホルダーにも鉄砲ナス環を付けている。
で車を降りるたびに、それを同じベルトループに下げていた。
どこかの時点で車に乗ろうとしたときに、
うちのカギのキーホルダーも一緒に外して落としてしまったに違いない。
きっとそうだ、あああああ、そうに違いない。あの時か、それともあの時か。
旅行中の思い出が走馬灯のようによみがえる。
そうか、これがフラッシュバックというやつか。
そろそろお迎えが来るのだな。
娘よ、お父さんはお星さまになっても、空の上からおまえのことをずっと。
まてまて。死んでいる場合ではない。
今日は風がすごく強くて、
早急になんとかしないと、寒くってしょうがない。
いや、それどころか下手すると、今晩寝るところがない。
どうしようか。オートロックが開かなくても、
裏口からなら簡単に入れるからそれはいいとして、
(本当はいいわけない。それじゃあオートロックは全く無意味になっている。それが現状)
部屋の前まで行ったところでどうする?
お隣さんにたのんでベランダからベランダに移るか?
それでどうする。戸締まりは出発前にしっかり確認した。
ガラスを割るってのはかなりおおごとだ。
まあ、カギを開けてくれる業者があるはず。
でも番号が分からん。ケータイから104は使えなかったよな〜。
(実は今は使えることがその後判明)
有線の電話が必要だ。
当然電話は部屋の中だ。
電話をかけるためには部屋に入らねばならぬ。
部屋に入るためには電話をかけなければならぬ。
ニワトリが先か、タマゴが先か。
どっちが先かは知らないが、最後は知っている。
親子丼だ。
しょうがない。さっき別れたばかりの駒に電話しよう。あいつももう着いたころだ。
象「これこれしかじかで、ちょっと104で近所のそういう業者を調べて教えてくれない?」
駒「分かった」と電話切った直後、
象「なんだ、公衆電話を使えばよかったじゃん」と気がついた。
間抜け。駒、すまんな。
ケータイ持ってると全然使わないから、全く意識に上らんかった。
というわけで数分後、椎名林檎の「本能」の着メロが鳴った。
駒「番号は分かったけど、カミサンの話だと1万5000から2万ぐらいかかるらしいぞ」
象「げ。人の足元見た値段付けやがって」
でもほかにどうすることもできない。
仕方なく教えてもらった番号の一つに電話
象「これこれしかじかで(以下略)」
鍵「日曜割り増し料金で1万4000円プラス消費税になります」
げげ。やっぱり。でも、「高いからまた今度にします」
なんて客はいないだろうこの商売はよ。おいしいよな。
象「それじゃあ、よろしくお願いします」(怒)
そして30分後、黄色い大型ワゴン到着。
わが割り増し料金の救世主「鍵の救急車」であった。
免許証による本人確認と住所確認のあと、
「それでは作業に入らせていただきます」といって、
カギ穴に何かを突っ込んでカチャカチャやったと思ったら、
「はい開きました」だって、おいおい。
1秒もかかっとらんぞ。これで1万4700円かい!!
嘘でもいいから、聴診器をドアに当てて険しい表情で開くポイントを探すとか、
なんか演出が必要なんじゃないのか?
1万4700円取れる芸とちゃうぞ!
ヨシモトじゃあ舞台にも立てんぞ。
鍵「このように簡単に開きますので、錠を交換されることお薦めします」
象「・・・・・・・」
確かにピッキングとやらが増えるわけだ。
ガラス割って侵入するよりはるかに静かで素早く仕事ができるもんな〜。
目の前で見せられて実感。
皆さん、シリンダー錠は泥棒にとってはないも同然です。
で、ようやく家に入れて、駒にお礼の電話して、
「やれやれ痛い出費だったぜ」とひとまず事件は終わった。
ところが、この1万4700円を、さらに痛くする衝撃の事実が発覚!!!!
夜の10時過ぎ「ピロリロリン、ピロリロリン」とインターホンをならす者がいる。
いったい日曜日のこんな時間に何者っ?とハンドセットを取る。
「305号室の後藤ですが、このカギなくされませんでしたか?」
インターホンの画面には、まぎれもなく、
あの鉄砲ナス環のキーホルダーがっ。がっ。がっがっ。がーん。
え〜い、ちくしょう!
カギあったぜ。
後「1階で待ってますんで」
象「すぐ行きます」
なぜゆえに、後藤さんの手にそれはあったのか?
それはこういうわけだ。
うちのマンションの駐車場は地下ピット式で、
三段のパレットの下二段が地下に潜っているやつ。
いわゆる下二段活用というやつだな。
それは古文。高校時代に習ったぞ。確かこんな感じ。
れる、れる、れろ、れば、はつ、たん、みの。
それは焼肉。そうじゃなくて、
れろ、れろ、れろ、れろ、げぼ。
それは飲み過ぎ。
俺が借りているのは、1番上のグランドレベルのとこだから、
普段はパレットを昇降させることは全くないんである。
しかし、パレット操作装置のカギは全戸に配られていて、
来客の車を空いているところに止めてもいいことになってるわけ。
で、俺はそのパレット操作のカギを部屋のカギと同じキーホルダーに 付けているわけなんだな、これが。
土曜日の出発前。トランクの中のCDチェンジャーにCDを入れようとして、というわけで、パレット操作盤にキーを入れて、
パレットを上げてCDを拾ってパレットを下げて一件落着。
ところが、めったにそんなことしないもんだから、カギを抜くのを忘れ、
操作盤に差したまま、出かけてしまったというわけだ。
つまり、旅行中ずっとカギは持ってなかったし、それに気づきもしなかった。
幸いにも、わが鉄砲ナス環は、通行人に気づかれることなく週末を過ごし
後藤さんが日曜の夜に下段の車を出すときに気づいて連絡してくれたんで。
泥棒に入られるようなことはなかったけど。
帰ってきたときに、カギがないことに気づいたときに、
出発の時のことを思い出していれば・・・
初めからなかったとは、なんか推理小説のトリックに引っ掛かった気分。
ちきしょう!、1万4700円!。もう一泊できたじゃね〜か。
CD5枚分だぜ。ヨシギューなら30杯以上食える。
ユニクロのポロシャツ30色、のうち7色が買える(着ないけど)。
返せよ〜、バカヤロー。あ、そのバカヤローは俺か。
いくら叫んでも、自分に返ってくるだけ。
むなしい・・・・・・・・・・・・・・。
でも1万4700円。しつこいけど1万4700円。ああああ1万4700円。
しばらくは節約しないとな。
昼飯はハンバーガー1個かな。
毎日食えば、確実に寿命が縮みそう。
娘よ、お父さんはお星さまになっても、いや、それはさっきやったって。
ネタをリサイクルすることによって、
地球に優しい雑文になっております。