桜、散る夜 泳ぐ。 月の下で 著者.山本有希子
-------冷たい目をした三日月に願った--------
「 ア イ シ テ ヨ 」
ネコが笑った。
季節は巡り、変わり、また桜が散ってしまった水面に
そっと触れて、映した。涙のあとのあたしは
あの人に合わす顔なんてなくて...
そう、夢のように長かったはずで短い記憶でした
確かに、恋をしていた なのに彼は消えてしまった
幻想でしかなかったのかと・・・私は今もわからずに歩いている
Pain..Pain..Pain....///KURTの声が耳元でずっと囁いて離れない
始まりは2年前のある日、春を見つけた日だった
あたしは1人、公園で月に照らされた光を見上げて泣いていたっけ
その頃、日常は最悪で逃げ出したばかりのはずだった
全部が悲しくて、何をするにも胸の中で怒鳴り声が響いてた
目の前に現れた彼はあたしをみて「また明日ね」と
そういったの 不思議なくらいイタミが消えて 次の日またあたしはそこにいた
同じ様な空の下、彼はまた現れる
そしてあたしを抱きしめた
「またあした」
名前を聞くわけでもなくて 不安定でもよかった
あったかいその手に包まれている瞬間 あたしはすべてから解放された
いつまでも いつまでも 甘えていたかった・・・・・・・・・・・・弱かった。
彼は同じ時間 同じ場所に現れる
涙に触れて髪をなでる 一週間、そうやって過ごした
いつのまにか泣く理由さえわからなくて
だけど彼に会うための口実のようなその行動は終わることから逃げていた
彼は何もいわずあたしの話を聞いては微笑みかける
けれどそのエガオはいつも影があってうまく瞳に映らない
そのたびに愛しくなって 彼が欲しくてたまらなかった
思えば彼がいってしまうまで、彼のことを何も知らないままで
今もただ、その存在以外の何も知らずにいる
なのに確かに愛し合えた-------------それすら本当なのか
たまに不安になるのだけど
初めて体を重ね合った夜も、月は彼を照らして
小さなベンチの上で揺れていた
このセカイの悲しみを全部彼なら包んでくれる気がしていた
彼にとってたまたまみつけたあたしなんてただの都合いいモノでしかなかったかもしれない
なのに、そんなこと気にもならなかった
一人になるのはもっと怖くて つぶされそうだった
彼が現れなかった夜、空は曇り空で
いつもにまして静かに公園の灯りは光ってた
愛しいオモイは体をアツクさせる。
その夜あの日と同じベンチで一人マボロシに身を任せては揺れていた
目を閉じてもキレイに照らされた彼の顔は消えることなく
もしかするといつも以上に輝いていたかも知れない
ねぇ、早く迎えに来て。目を開けたらまた悪夢は戻ってくるの。
アナタの居ないセカイを今更どうしろっていうのだろう・・・・
救いの手を・・・・・・・・どうかこの胸に
涙の理由さえわからなくなったあたしにはもうアナタを欲しがることさえ許されないのでしょうか
揺れが止まると目を開けた
桜の木はいつのまにか緑色に染まっていて
アナタのいない日々は長く、どんどん過去となりあたしは1つ大人になった
18になった一週間後
部屋にあの日と同じ空の絵を描いた
いつまでも桜の季節を忘れないようにと・・・・
折り紙でずっと花びらをつくっては地面に散らして彼を想った
満月の夜、空は不思議な色をしていてひたすらじゃれ合ってキスをして別れた
その日の記憶は日に日に薄れて
彼とのオモイデは大体夜が顔を出してから------------
繰り返し繰り返し・・・
暑い夏がくる頃いやがる彼とはちがってあたしは海へと向かったね
海はいつも変わった表情を見せる
人混みを嫌う彼はいつも少し離れた木陰からあたしを見てた
---------それとも何か別のモノをみてた?
それすらわからなくなってしまった
時の流れは記憶を薄れさせて笑った
あれから家に変えることもそんなに苦ではなくなっていた
母は何をおもったのか家を離れ知らない国へと消えてしまった
父はあたしもよく知らない
けれど寂しいはずの感情も麻痺していた私には涙さえも忘れかけていた
ただ彼は違った
彼を想えばすべてが悲しくなってしまう
時間さえ止まってしまう
どんなに彼に似ている人が目の前に現れても
彼でなければ意味を持たない
[r e m a i n]---------この言葉がピッタリかも。
あたしが大人になったところであたしはあの時間から脱出できずにいるんだ
泳いでも、泳いでも、元の場所にはモドレナイ
いっそこのまま魚になってしまおうか。
アナタという水槽で静かに泳いでいられたなら・・・
そして毎日エサを与えるように言葉をくれて
あたしの死を見守って・・・
そして土の中に埋めて 涙という雫をそそいで....
またピンク色の折り紙でいっぱいになる
あたしはその中で泣きわめく
-----散り積もったハナビラといつまで泳いでいられるだろうか-------
『アナタというオモイデの中で』