"HURTLE POWER"
NME 1990/11/10

世間はマンチェスタームーブメントで大騒ぎ。しかし彼らは違う。
スコットランドの静かなロッカーたちは、
そんな喧噪から離れてアメリカのロックンロールにすっかり浸かっているようすである。
このごろ、アメリカ側の熱心な音楽リスナーにスポットを浴び、
海のこっち側でもだんだん注目されてきた、ティーンエイジ・ファンクラブ。
新しくリリースされるEP”ゴッド・ノウズ・イッツ・トゥルー”で
世界の注目を浴びる準備も万全だぜ!


 ノーマン・ブレイクは動き出した。ティーンエイジ・ファンクラブのフロントマンは風船みたいな熱狂の目を吹き飛ばし、そして粗雑な才能は芽を葺いた。彼のふくれた才能はちょうど今目を覚ましたところだ。

 一体、何が起きているかといえば。ドラマーのブレンダンがファイアーレコードのフォトコピーの機械で彼に見つけられる限りの、バンドの一番醜い写真を引き延ばし、わけわかんなくさせている時のことだ。4人の写真はもっとみかけよく次のレコードのジャケットになるはずだった。だけどブレンダンは、それをゆがませたりして、ちょっとばかし楽しんでみていたわけ。
 しかし実のところ、そんなゆがみ〜ディストーション〜がくれるものって、すごいアメイジングだ。数ヶ月前、ロンドンのタウン&カントリークラブでのこと。ティーンエイジ・ファンクラブはその夜、スープ・ドラゴンズの栄光のヘッドラインの役目(※1)を、何の気なしにやりこめた。流れるような、そして、叫ぶようなクール・ロックの演奏で。ひっちゃかめっちゃかになったアートの歴史と、絡み合うギターのディストーションと幻想、悲しげなメロディ、それはまるで使い古された完璧なロックの、しかし新しい頂点みたいなものだった。そんなロックが、こんなに愛らしく鳴ることって今までなかった。狂ったエフェクトペダルと渦巻くような流れるようなそのショウは、4人のストラスクライドの爆音アンプ野郎たちを包みこみ、その夜彼らは、燃え尽きた、まるで最新ロック版ベイ・シティ・ローラーズみたいだった!
 初期のライブを見た人たちによれば、ティーンエイジ・ファンクラブは、皮肉な奴、好戦的、頭でっかち、嫌みな奴、おまけにギネスビール飲みまくって、終わらないポップライフをロックスター気取りでアホみたくはね回ってる奴らだと聞いていた。歩き、話し、倒れて立ち上がって、動揺してけなして…ジョーク・マシーンみたいなバンドって聞いてた。だけどボクが会ったのはそんな話とは全然違う人だったよ。

 ブレンダンがまだ写真の機械と仲良く遊んでるころ、そいからレイモンドはどっかよそいってるあいだのこと。ノーマンとベーシストのジェリーはTFCのレコードレーベル、ペイパーハウス/ファイア内の部屋の中に座って、もうすぐ彼らがリリースする新しいEP、"ゴッド・ノウズ・イッツ・トゥルー"のメイキングヴィデオを撮った時の、完全な”新人さん”体験について、ゆっくりとまじめに話してくれた。ひょっとしたらティーンエイジ・ファンクラブのクールな音と、はずかしがりっぷりの対比は彼らを”宇宙一のフツーの人バンド〜The Least Showbiz Band On The Planet〜”にするかもしれない(最新版のね)。
ノーマン 『そのとーりだと思うずら。おらだち、だって、そういうタイプの人(ショウビズの世界の人)でねえもの。おらだち、すんぐにはずかしぐなっちまうし、ビデオとったりとが、なんやしだりすっときね、そういうこつて、けっこうドキドキするんじゃ。ライブやるようになっだころでもな、それすらはずかすかったんだからぁ。けんど、そりは今はさすがに治ったよ。』
ジェリー 『なんでもかんでもが、みなすてすんげ変な感じなんだ。なんでかてーと、ほれ、最初は趣味みだいなもぬだったわけだ。しだっけ、突然それがまるごつ生活になってしまってや。おら、そんな(ショウビズの世界に合わせた)風変わりな性格にならながいげねことなんでねって、思うんじゃ、だけんど。』
”ヒップ”だと思う?
ジェリー すったらごど、単に流行さ乗っかっで浮かれ気分みでぇな何がだよねぇ。』
ノーマン 『もし、”ヒップ”ってゆーのがいぃレコードをつぐるっていう意味だったら、オラだづ、”ヒップ”だど思うじゃ。もし、”ヒップ”だと思わなけれぶぅぁ、アンダはどー思うっきゃ?』
ジェリー
 『まんつ…、ハラへっだ。いまんどこ…んだ、たぶん、しっかど、オラが自信もってしゃべれんのは、とりあえずハラへっだってごど。』
ノーマン 
『いやーだけんどオラだづ、すったでっけぇ間違いはしてねど思うよ。』
 レコードを聞けば、ティーンエイジ・ファンクラブの今までの進歩は明らかである。今年はじめのデビューアルバム、”カソリック・エデュケイション”は、ロック社会進出の前に低予算で制作されたもので、まだまだ氷山の一角であったがしかし、すでに大きな彼らの能力のパワフルなヒントを感じさせた。続く6月のシングル”エヴリシング・フロウズ”は満場一致で名曲と絶賛される。そして今月の新しいEPは、すでにライブの人気曲であり、壊れたガラスみたいな勢いの”ゴッド・ノウズ・イッツ・トゥルー”、迫り来る音の”ソー・ファー・ゴーン”、そして泣きわめくギターノイズが美しい成熟した楽曲、”ウィードブレイク”と”ゲットー・ブラスター”を収録している。限定版シングルの、甲高く叫ぶような”ザ・バラッド・オブ・ジョン&ヨーコ”のカバー・ヴァージョンすら、胸はっておすすめできる1曲。
 おそらくスコティッシュだからっていうこともあって、のんだくれの大騒ぎ屋みたいな例の前述の漫画風の、まるで破滅的ロック道をゆくような彼らが持たれているイメージを、誰が非難するんだろうかなんてことは、実際のところよくわからない。とりあえず、ノーマン・ブレイクは今日の世界最悪”ロック界の大酒のみ〜Beer Monster Of Rock〜”の立て役者のうちの一人である。ノーマンは、確かに前までは怠慢に満ちた生活をちょっとしてて、そしてそれがそんな印象を作り上げたかもしれないと、しかし認める。
ノーマン 『初めてのツアーってのは、さっと目新しいもんで、乱痴気騒ぎや大五郎(※2)のんで酔っぱらうとかすったらごどどが、しがちだけど、どんなバァンドでも最初はそんだと思う。このごろオラだづはすったら風な酒の飲み方はやめだんだぁ〜、まるっこ健康に悪いっけせ。まっとちゃんとしたメシを食べるどが、まっとといぃ睡眠をとるとかっていうふになったよ、今は。プレスの人だづはみぃんな参ってたよね。”だけどもしあんただづがスコットランドの人なら、それにさグラスゴーの人だったら、人はみんなあんただづのごど、アル中だって思うべよ”、だど。でもね、すったらのって、ものすげステレオタイプな考え方でさー、例えば、アイリッシュは全部バガだって考えるのと一緒。だがら、すったらふに言われで腹わだ煮えくり返ったじゃ。』
ジェリー 『オラだづでぇも外向型じゃねぇ。だがら最初のライブは緊張さ勝つ方法がただ、酒ぇ飲むごどだったんだぁ。だけど〜このごろさっとづづ自信がわいできた。だがらもうしねよぉ。
だけども、便利な作り話っすよね、バンドみたいなもんにとって。大酒のみのロックンローラーとかってゆうのは。
ジェリー 『ってへっても、すったらごどただみんながオニュゥなヒーローをめっけようとしているだげ。今は音楽の世界に何かカケてるっていうふな考え方のごどで、みんな典型的な60’sロックスターみてぇな、なんかべらぼぅにスンゲーのを探してるんだじゃ。』
ノーマン 『みんなアァル中会計士を持つてごどさ…それによアル中でいでも、ひとっつも面白れごどねぇよ…って思い浮かべたよ。すったらマヤカシ誇大妄想野郎にはなったくぐね。そったらの病気…かっこつけガンだ!』

 ブレイクによれば、グラスゴーの周りで育ち、彼を形成した年月は、生きるためならば、後ろめたさなく安い失業手当を受けることにはまって生活する環境があったことに、大きく影響されているということだ。要は、楽しく時間を過ごして、人生を難しくとらえすぎたりしないってこと。
『それはまんつグダンスクで育っても同じだぁ。』
とかれはいう。
『造船業、社会主義、それから失業…だけど、ま普通に問題ないどごろだよぉ。』
 しかしながら彼は、80年代半ば、荒々しくもしめったアノラックンロールの世界に吸い込まれていったようであった。最初のバンド経歴は、変わり者ダグラスとショーン・ディクソン(今はスープ・ドラゴンズ)とのオリジナルBMXバンディッツでのこと。そのあと、ザ・ボーイ・ヘアドレッサーズで今のファンクラブのギタリスト、レイモンド・マッギンレイと活動を共にする。しかしマッギンレイとブレイクのアメリカン・インディー・ロックへの傾倒は、しまいには”エヴリシング・フロウズ”を生み出し、ざらざらとしたロック天国に入れ込んでいくTFCを形作った。ティーンエイジ・ファンクラブの曲たちは、ハイウェイ(M8じゃないよ)にそって燃え走るキャデラックを叩きのめすロマンスの乗り物で(※3)、それはニールヤング&クレイジーホースやアレックス・チルトン、サブポップの一角、ダイナソーJr.やソニック・ユースによって導かれたものである。
 それほど驚くべきことではないが、TFCは今年のニューヨークのニュー・ミュージック・セミナーで高い評価を受けた。そこでは印象的なショウをいくつかやっただけでなく、今度のEPもドン(シミーディスクのボール)・フレミングと共にレコーディングをした。ヤングやチルトン、ストーンズやピストルズの曲たちのカバーと同じように、"The Ballad Of John & Yoko"をたたきだした。それからその映画にソニック・ユースと一緒に行った(※4)。

自分たちは”アメリカかぶれ”だったと思う?
ジェリー 『沢山のエゲレスの人だづは、ま、スコットランドもそだけど、アメリカの勢力に完璧に影響されてるど思うだよ。でぇもアメリカっぽい音にしようってごどは、意識的にやったごどじゃねぇ。』
ノーマン 『周りがオラたちんこつを、”アメリカかぶれ”だったとは言えたがもしれね。でもね、ポール・ヤングを聞いてみるとわがるけど、あいつはマーヴィン・ゲイになりてんだ、だけど誰もポール・ヤングには「なんでアメリカンアクセントで歌うの?」とは聞がねぇよねぇ。あんね、みんなしてんだじゃ。すったらごどをするなんて、アメリカが確立した国みてぇだ。あのねぇ、アメリカ人は何かしたいこつがあるどぎに、例えば店で何かを聞くごどを怖がったりしねんだよ。だけどこごの国の人だづは、ま、オラもすったらよなもんだけど〜聞くのが怖いんだじゃ。例えば、ホテルさいるとどぎ、んでそこになにがわがねぇごどがあったとしても、オラは文句言ったりしねもんだじゃ。』
 というわけで、ティーンエイジ・ファンクラブのワイルドなスコッツロッカーとしての前評判、その墓のふたには、他にまた1本釘がさされたようだ。しかしながら、今のTFCの音、とりとめないギターアタックはどう猛であることは確か。彼らは、はっきりとは破壊ノイズテロリストとして音を作ろうとはしていないが。何しろノーマンは、ソニック・ユースのことを、陰険って言葉の変わりに、”いい人たち”ってゆうんだから。ティーンエイジ・ファンクラブは初期のジーザス・アンド・メリーチェインが持っていた、グラスゴー人らしいおきまりのショウビズへの不信と通じるものを持っているのかもしれない。しかし、JAMCはそれを彼らの敵対心を燃やすことに使った。TFCはそれを皮肉な態度や、自己非難、不味さと嫌気を並べ立てることに置き換える。ドリー・パートンと、ケニー・ロジャースの歌う”アイランド・イン・ザ・ストリーム”は、レギュラーの初期の導入テープだった(※5)。
ジェリー 『たんだ毎晩普通にプレイして、んで毎晩それを普通に終える、っていうごどにはあんましポイントをおいてねぇよ。レコードも聞ぐがもしれねべぇ。』
ドリー・パートンは?
ノーマン 『イヤ〜、だけどオラだってまんつ、ホントにすったらごどするよ。”アイランド・イン・ザ・ストリーム”はホントいい曲。ビージーズが書いた曲なんでぇ〜!』

 ティーンエイジ・ファンクラブはいう、今までにレコーディングしたすべての曲は、厳しい予算とスタジオでリラックスするまもなく作られたものだと。だから、全部中途半端なできだと。もしそうだとすれば、91年の始まりを告げる彼らの次のアルバムはどんなに素晴らしいものになるだろう。サンプラーなし、レトリックなし、気取りなし−ただあふれるメロディと活気にみちたディストーション。しかし古いロッカーたちや、アンダーグラウンドのイケてるやつら、それからUSメジャーレーベル代表者たちはそれを受け入れるはずだ。若い女の子達もそうするだろう。
ノーマン 『歌詞をアルバムに載せるごどはこの先もねぇな。オラはすったらごど、いいって思わねんだぁ。詩人としてはオラだづのごどを見でねっきゃせ。ひとっつもメッセージもねぇがせぇ。でぇにも何もゆーごどをもってねぇ。誰がへのアドバイスも、まるっこねぇ。』
10代の女の子達へも?
ノーマン 『ねぇな〜。』
男女がミックスされまくったオーディエンスを得ることはおかしなことだと思う?
ノーマン 『んや。もしまっと多ぐの女だづが一般的にロック・ミュージックに夢中になってくれればぁホンットにいいのにど思う。だって〜音楽って今男のものみたぐなってるしぃ、すったらごどわがねんだじゃ。まんつどごででもお客は全部男だし、バァンドにいるのもみんな男だづだ。それは悲しいことだと思うんだじゃ。ポップファンがすったらに周りやインディーやらに興味を持だねぐなればそれは素晴らしいごどだと思う。ストーン・ローゼヅみてな誰がを見に行ってそれを楽しむごどができるなんてね。すったらごどホォント、ビートルヅやベイ・シティ・ローラーヅの頃から起きてねがったごどだべ、な?ほぉんといいごどなんだじゃ。』
 ティーンエイジ・ファンクラブはそのリストに加わる。ワン・ターボ・ラック・ディストーションペダルと、MXRディストーションペダル、そしてヴァルブディストーションと、オーヴァードライブと共に。

※1:え?スープ・ドラゴンズがこの時期タウン&カントリーでヘッドライン?ちょっと考えにくいんだけど…あたしの訳が勘違いかも。真実を調べ中。
※2:エヘ〜ちょっとふざけすぎちゃった、ギャグだよ、ギャグ。大五郎のむわきゃないべよ(笑)。
※3:あのーさっぱり?
※4:??映画みにいった?そりともなんかの比喩?
※5:ライブのSEだったということかしら?当時を知っている人へるぷみー。そしてその曲を使うということは、皮肉につながるということなのかな?文脈からすると。
…てゆうか注釈が多くてごめんね。
BY:ROGER MORTON PIX:ED SIRRS

え?インタビューの意味がわかんないて?標準語バージョンもつくろか。



ちなみにこの号では、"GOD KNOWS〜"がシングル・オブ・ザ・ウィークに選ばれています。読みたい人は、虫眼鏡で読んでください。
ていうか、右端の人は一体だれかしら…

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