”もしもレイモンドがセールスマンだったなら…”

ちっこい車でえんやこら。
マギンリーさんは今日もゆく。

『ピーンポーン♪』

『はぁ〜い?』
(のぞき穴からちろり)
『あら〜ごめんなさい、うちセールスお断りなんですよぅ。』
『あ、そ、そうですか…どうも…。』

マギンリーさんはセールスマンのくせして今ひとつ押しが弱く、南ロンドン支社勤務の時分には
切なく評価が低かった。仕事中のくせに、いつも紫煙をくゆらせている、ギレスピー所長は

『アイー?アンタ、グラスゴー支社にとばすよ?ウゥキィ〜?』

と、とろけたまなこである日突然思いがけなく決断を下してしまった。
ほぼ何も考えてない所長の制裁のもととはいえ、しかしなぜだかこの支社は働きが良かった。
なにしろ、南ロンドン支社には、やり手のマッギーさんがいたからである。
なぜかマッギーさんとギレスピー所長のコンビネーションにはうまくいくものがあった。
ま、そんなわけでマギンリーさんは、どっちみち彼に勝てるわけはなかった。
毎月のようにマッギーさんのグラフには、
赤い花のかわりに所長お気に入りのカナビスの花が咲いていた。
おかげでいつも支社はいい匂いがしたものだ。
ちなみに月間売り上げトップを記録すると、白い粉が賞与される。
なかなかオイシイ支社である。
もちろんマギンリーさんがもらったことは、ない。

マギンリーさんは、実はグラスゴー支社に転勤が決まって嬉しく思っていた。
なぜなら、そこは彼の故郷だったからである。
おまけに彼は、ちいとも自分の職業の選択を後悔しておらず、
セールスマンとしての自分をこよなく愛していた。
天然ボケなのかもしれない。

『ボクには、やっぱロンドンはムリだわ。地元で、もっかい頑張ろう。』

マギンリーさんは落ち込む様子ももちろんなく、ロンドンをあとにした。そして、
今日はお気に入りの濃いグレーのスーツをきてグラスゴー支社に初勤務、所長と顔合わせの日なのであった。
このごろ色気を出して、髪の毛をグレーに染めたので、ちとカラーコーディネートのつもりでもある。
いや、ただ白髪増えただけなんだけどね。
あんまり前の所長と合わなくてね、つい、ストレスがさ。

グラスゴーはベルシルの小さな支社の、口ひげのよく似合うブレイク所長は
笑顔で彼を迎えた。朝日がちょうどよく当たって、いい具合にめがねが光っている。キラ。
そしてブレイク所長、一目見たその瞬間に、マギンリーさんを見初めたのであった。

『ううむ、こいつはやれる。』

と、ひとうなり。
思いこみの激しい所長は、マギンリーさんととにかく熱い握手を交わした。
それはなんの根拠もない自信であったが、もしブレイク所長に万が一根拠を尋ねたら
こういったであろう。
『勘。』
あぁ、やっぱそれだけですか…
所長、かなり単純にマギンリーさんにピンときただけのようだ。
しかし友達や運命の人は、感覚でわかる何かがあるってよくゆうもんね。
そういうことにしとこしとこ。
『さっそく、ほれじゃ、ここからいってもらうよぉ。』
とブレイク所長は担当区域の地図を渡す。
『少し自分で眺めて計画たててみてね。そっからまたあとで来て。』

極めてまじめなマギンリーさんは、自分のデスクに戻って、しばし計画を練る。
『よし、ここいってああいってこうしてこうすれば…うむ、効率よく回れる。
これならブレイク所長も満足だろぅ。そろそろ所長室に戻って見せてみよう。』

トントン。

『アイー?』

『あー所長、戻りました。』

パタン。

『あーマギンレーくん、そういやボクはキミの担当地域の地図を渡さなくっちゃ。』
・・・。
ブレイク所長の忘れっぽさは天下一品。ある意味才能である。

とりあえず、マギンリーさん、地元に戻ってやるき全開。
青いミニヴァンに乗って、セールス開始。
ここの会社は、委託で毎月販売する品が変わるのであるが、なんと
今月の売り物は、ぶらさがり健康器であった。ベタやのう。

『セールスお断り』
『ふぅむ。』

ううん、マギンリーさん、押しの弱さは相変わらず。
しかしここはフレンドリーが売りのグラスゴーの住宅街。
そんな札をはる住民も、マギンリーさんの切ない笑顔を見ると、ついつい対応してしまうのであった。

『こんにちわ〜』
『あらマギンリーさん、今月はなんですのぉ?オホホ』
1週間もたつと、マギンリーさんもだいぶなれてきた。
『いかがですか!?』
『わあ、ぶらさがり健康器!』
ついに彼は1週目にして1台めの健康器を売り上げた!
最初に買ってくれたのは、このごろ運動不足になやむ、マカリンデンさんだった。即買い。
あんなどうでも良いモンを、買ってくれるいい人もいるもんだ。
マギンリーさんの場合、なれてしまえばこっちのもん。初対面の人にはダメだけど、
知った顔にはウソ八百。ありゃーそりゃアンタセールスマンに向いてないね?
逆だとよかったのにね?小さな支社でよかったねぇ。

とにかく、マギンリーさんはその後めきめきと頭角を現し、
ブレイク所長のあてずっぽうな勘はなんと大正解。
実は所長、ああ見えて意外と人を見る目のある人なのであった。
ここがグラスゴーだったということも、マギンリーさんにちょいと力を貸してくれたに違いない。
そしてナゼか、じわじわとマギンリーさんの噂は、街中に広がった。
もっとも大きな売り上げのポイントは、暇なオバサンのアイドルになってしまったこと。
ほしくもないモノをマギンリーさんから次々ババァどもが購入するという前代未聞の事態とあいなった。
一日家にいる割には、バリバリメイクして待つおばさまたちの様子は、
地元のミニ新聞のトップを飾るくらいのちょっとしたニュースにもなった。

『ちはー宅配でーす!』
第2号めの健康器を買った、アギーさん宅である。
アギーさんただ単にぶらさがることに好奇心を覚えたので、購入を決意。
ところでベルシル支社の指定宅配会社は黒猫大和。
ヤマトでこの道10年の宅配人、ラブさんは、緑の帽子がとても似合う、
さわやかな笑顔が評判も上々の若者である。
そしてラブさんは、宅配スタンプをキレイに押す達人でもある。
スタンプ押しは彼の小さな小さな趣味なのだ。
たまに勝手に、かわいい柄のスタンプを買ってきてそっちを押してしまうこともある。
どっちにしてもスタンプなのでラブさんはあまり気にしていない。
そんなこともあってか、
こちらラブさんは、子供たちの人気ものである。
しかしなんとも矛盾したことにラブさんはつい最近まで免許を持っていなかった。
そのためいつも2人制で宅配してまわるという、ちと、効率の悪い仕事のようであるが、
まあそれもいいとしよう。相方は息のあったゲッデスさん。
たえることのない笑顔とあのユニフォームがトレードマークのラブさんには、
なぜだか妙にトラックの助手席が似合うのであった。
のであるが、この頃世間の荒波に負けてラブさんもついに免許をゲット。
それにもかかわらず、ラブさんはいつも助手席。
ゲッデスさんとは休みの日も仲良しで、サッカーを一緒によく見に行っている。
サッカーを見に行くときは、いつものお礼に車を運転してあげるのであった。

まめ知識としては、マギンリーさんは昼になると、マクドナルドにいく。
彼のお気に入りセットは、チキンバーガーセットうぃずケチャップ。
コーラは健康に悪いので飲まない。いつもウーロン茶で、Mサイズと決まっている。
腹ごしらえをすませると、また彼は住宅街に繰り出す。

ちっこい車でえんやこら。
マギンリーさんは今日もゆく。

たぶん続かず…

※やべえ、つまんない、オレもう妄想限界ラバーズ…へるぷみー
ジェリー脇役だし…っていうか!売り上げバリバリのやり手を妄想しようとしたのに
やはりついヨワレイモンドぶってしまう妄想力のないオレ。


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妄想の源★レイモンドがおせえてくれた
He'd Be A DiamondのCDをみなして買ったこと。
怒らないでね〜。