◆スペインの旅◆5日目◆4月11日(日)グラナダ→セビージャ◆
羊のかわりにオリーブの木
昨夜は、同室のアメリカ人たちが、私が疲れて眠りにつこうとしているときに、12時をすぎて帰ってきて、でかい声で部屋の中でしゃべり始めてなかなかやめないので、丁寧に文句をゆって追い出した。しかしコモンルームがあるというのに、人の睡眠を妨害するとは失礼だ!
朝、ホテルを出るときに、受付のおばさんが、'コーヒーを飲みに旦那さんと15分ほど行っていて'軽く30分はいなかった。これではデポジットを返してもらえないまま宿を離れなくてはならないと少しあせるが、他に泊まっていたアイルランド人の女の子が、『私がたてかえといてあげるわよ』と手を差し伸べてくれて助かる。今日はこのまま、この宿で知り合った人たちとも別れて、次の目的地、セビージャへ向かう。
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荷物を背負ってレンフェ(スペイン版JR)の駅まで歩く。電車に乗る前に、安い朝飯をとろうとするが、日曜日のため(に加えてイースターのせいもある)、どこの店も閉まりまくっており、駅構内にあるカフェで、高いものを食うはめに陥る。サラミ入りのバゲットと、チョコレートクッキーに飲み物のアイスチョコレート(またたくさん食っている)。でもうまかったのでヨシ。電車のチケットも予約はしていなかったが、問題なく購入できた。スモーキングシートしか残っていなかったけど。ちなみに、グラナダの駅前は、ほとんどの店が閉まっていたからというせいもあるが、みるからに治安が悪そうであった。
もともと列車の旅は好きなのだが、なんだかうきうきして楽しかった。車窓は永遠にオリーブの森、森、森。イギリスの車窓が永遠に羊、羊、羊、のところが、オリーブの木、木、木、に変わっただけであると考えるとつまらないが、まぁ、見慣れない景色というのは面白いものだ。スペイン人にとっては、退屈でたまらん景色に違いないけど。写真をとりたかったが、周りがみなスペイン人で恥ずかしいのでやめてしまった。こういうのを自意識過剰の小心者という。誰もみてないっつの。
そしてセビージャに到着
予約したホステルまでまず行くために、駅前のバス停に行くと、ガイドブックを手に、バス停の地図とにらめっこしている男の子がいた。がらんとしたそこには私と彼と2人しかおらず、しかも彼は私と同じように、でかいバックパックを背負った、どうみても旅人の風貌。自然と会話が始まった。これがセビージャでの、旅は道連れ仲間、パブロくんとの出会いである。彼は、ロンドンでしばらく働いていたそうで、自国に戻る前にヨーロッパを旅行中の、メキシコ人であった。ということは!スペイン語が母国語の人ではないか!イエ〜イ!
とりあえず、街まで一緒にバスに乗る。彼は宿を予約しておらず、困っていたので、私が予約していたホテルの電話番号を教えてあげ、問い合わせてみると、偶然他にも部屋が開いていたので、同じホテルに泊まることになった。まずは、ホテルに荷物を置いて、一緒に街へ出ることに。
カテドラルをまず見学。荘厳である。でも私は別にカトリックではないので、特にどうということはないが、パブロは敬虔な信者のようで、感激しているようだ。そして、カテドラルの隣にある、ヒラルダの塔に登る。緩やかな坂が狭い塔の内部にぐるぐると回っている。塔と行っても、階段ではないので登りつづけても苦しくはないのだけど、狭い中をぐるぐるとめぐっているので、目が回る。それをえらい長いこと歩ききると、鐘がたくさんぶらさがっている屋上に抜けることができる。そこから街がぐるりと360度一望できるのだ。この日は、汗ばむほどの、素晴らしい天気。強い日差しがさんさんと照りつけていた。これだよ、求めていたものは!
ランチをとりに、塔を降りて、サンタクルス街へ向かい、手ごろなレストランへ入った。パエーリャ、魚介類のフライ、デザートの3コースに、ドリンクがついて、7.5ユーロ。安い!そこではオーストラリア人の3人組と隣り合わせになり、しばし文化交流をする。この暖かくてハッピーな気候のせいか、旅人たち同士の交流もなんか他の国に比べると豊かな気がする。
おなかが一杯になった我々は、腹ごなしに、スペイン広場のほうへ散歩に出た。この街に流れる川沿いに沿って、ぐるりと街を一周し、闘牛場のあたりを通り過ぎて街の繁華街まで戻るころにはすっかり陽も暮れて、夜の10時になっていた。夜は、もちろん、バルでしょ、ということで、そこらへんにいた地元の人に、若者が集まりそうなバルはどの辺にあるか(注:パブロが)たずねると、川の向こう側にあるというので、また来た方向へ戻ることに。聞き込み界隈にもたくさんバルはあったのだが、何故か知らないがそこらまわしの飲み屋は、おっさんやおばはんしかいなかったのだ。
復活祭のセマナ・サンタ
ちょうど飲み屋へ向かう途中で、偶然にもセマナ・サンタのパレードにぶつかる。ラッキー!イエス・キリスト様と、マリア様のおみこしが、吹奏楽団に前と後ろと囲まれて、厳かに人だかりの中を練り歩く。パブロ君は、『どう考えてもイエス様のほうがありがたくあるべきなのに、人々はみなマリア様を見たがるんだよね』とゆっていた。メキシコでも、少し形が違えども、セマナ・サンタのお祭りはあるそうだ。ちなみに、イースターのお祭りっていうのは、復活祭(イエス様が十字架にかけられた後復活したという話に基づいた)のことらしい、念のため。
日がとっぷり暮れてからというもの、だいぶ肌寒くなってきた。寒い寒いとゆっているところへ、パブロが『ホットなことを考えよう』と提案してきた。トンは熱いといえばナーニ?というので、『うーん…。あったかいお風呂でしょぉ、それからあっついお茶かねえ。あとは冬のストーブかなぁ。』とババくさい回答をしている私をよそに、パブロは?と返すと
『情熱的なセックスかなあ!』
と真顔でいやみもエロのかけらもなくサッパリとゆうので、オネエサンびっくり。ここにラテンの血を見た!
パレードも通り過ぎ、やっと飲み屋へ向かう。普通サイズのビールが1ユーロ、ジョッキでも2ユーロ。や、やすい…。時間はすでに11時近くなっていて、いつバルが閉まるのか少し気になったので、聞いてみると、
『その日次第』
との答え。働いている人の気分や、お客さんの入りようで、閉店時間は日によってまちまちなそうだ。はーなんとも、南な適当さ。バルの人たちはとてもフレンドリーで、我々の会話に入ったり、出ていったりといい距離感。そのお店ではアメリカ人の女の子が働いていたので、私も英語で会話ができたのだが、他の地元の人たちとも交流ができたのは、何よりもスペイン語の話せるパブロのおかげである。しかし彼によると、アンダルシア地方の人は、なまりがきつく、メキシコスペイン語とスペイン語とは少し違うこともあって、わからないことも多々あるそうだ。
パブロ君おススメの、エスパニョールこてっちゃん(牛の胃)や、チーズなどをつまみにビールをごくごく。この牛の臓の煮物、全く臭みもなくとても美味しかった。
2人ともいい具合に酒が入り、お互いの国のことや、彼の住んでいるロンドンや、私のグラスゴーなどについて話したり、とても楽しいひとときであった。いつも思うのだが、こうやって旅で一期一会をする人たちとの交流は、普段の自分と違って素でいけるし、日常の面倒くさいしがらみもないし、そういう意味では、普段'自分がこんな人間であったら'と望むままの自分で人と接することができるのでとても気が楽だ。旅というのは、知らないところを見てみたい好奇心だけではなく、誰も私のことを知らない環境で、知らない自分すらも発見できるという、全く白紙の状態で臨めるから楽しいのだと思う。
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