孤独の背中


 「この世の中全て消えてしまえば」とずっと思ってた。

 この世界から消えてしまえばどれだけ“ラク”かと・・・。

 手首に傷を付けようが消えることは出来なくて苦しかった。

 いっそ身を宙へ投じれば消えることは出来る

 でも綺麗な形で死にたいと心の底で静かに叫ぶ。

 好きな人にどれだけ注意されたことだろう・・・。

 肉がえぐれ、見るも無惨な痕・・・。

 傷口に何度も唇を重ねてくれる。

 優しい人だった。

 その人も遠ざけたくなって彼の嫌がることを沢山して・・・・、痛かった。

 とても計り知れないほど苦しかった。

 でも一緒にいてその後が逢わないときよりも苦しくて、

無意識に遠ざけてくれるようにこちらから細工をした。

 彼は面白いぐらいに仕掛けにかかった。

 『罠にかからないで。』と願っていた分、

余計に悲しくて自分を痛めつけるほか無かった。

 その度に彼にも大きな鉛がのしかかっていった。

 互いにそんなことも解らずに離れていった。

 どれだけ傷口を見つめていただろう・・・。

 どれだけ傷口をえぐっただろう・・・。

 これでもう考えなくて良い。

 彼のために生きようとか、

人が居た後の淋しさをこらえるとか・・・。

 居たときの淋しさの方がどれだけ悲しくて嫌だったか・・・。

 居ないときの淋しさの方がどれだけ明るくいられるか・・・。

 優しすぎたから辛かった・・・。

 その一番辛いときに誰もいなくて・・・。

 居るはずの人はとっくにいない。

 後ろを向いてでしか歩けない私・・・。

 彼よりも大切で追いかけたい人が居た。

 解ってくれるはずがないって理解していた。

 誰にも理解されないとも知っていた。

 それでも良い。

 そんなことどうだって良かった。

 私はただその人の側にいたいだけ。

 彼は追いかけたいぐらい大事な人を追い越す前に、

私がその人のことを忘れそうな気がして怖かったから遠ざけるように細工したの。

 こんな事貴方は知らない方が良い。

 又お互いを傷つけるような気がするから・・・。

 私の我が儘でこうなったことを許して。

 どれだけ悔いても罪悪感を引きずってしまうけど、

 あの時はこうするほか無かった。



 「どうかゆるしてください・・・。」