未完成の光


 

一筋の光  お父さんは僕に言い聞かせてくれた。

僕は意味が解らなかった。。。

でも、とっても良い言葉だと知っていた。。。

お父さんはいつも笑顔で僕に話をしていた。。。

僕はそれだけで楽しかった。

お父さんの声を聴いているだけで楽しかった。

でも僕を動けるようにいっぱい机に向かって、

最後の僕である“腕”を作り上げてくれた。



お父さんが言った言葉“オマエガヒトスジノヒカリ”。

僕も言った“オトウサンガヒトスジノヒカリ”。

悲しくもないのに、涙が僕の目から溢れていた。

お父さんも目から涙が溢れていた。

このときに僕は心が出来上がってきてるのが解っていた。

僕はお父さんに伝えたくてベッドへと駆け寄って、

「朝だよ。」

と声をかけたのに、お父さんは動かなくなっていた。

油が足りないのかと足の関節に油を注した。

それでも動かなくて、“チメイテキコショウ”したのに気が付いた。

お父さんに聞いた

「どうして僕を作ったの?」と・・・。

お父さんは答えずに骨組み〜白骨〜になっていった。



その骨組み〜白骨〜をずっと見つめていた。

誰に邪魔されることなく、お父さんと一緒に過ごせていた。

なのに、大きな僕の仲間が家を壊し始めた。

僕はそいつに「邪魔するな!!!!」と叫んでいたのに、

全く聞いてくれなかった。

僕たちの家は跡形もなく崩されて、壊されて・・・。

お父さんを未完成の腕で抱きかかえ、

2人きりになれる場所を探し歩いた。

山の中や樹海の中、海辺に無人島も・・・。

“ダレニモジャマサレナイトコロ”

ただそれだけが僕の願いだった。

でも何処も人のいる土地で、無人島まで誰かの物だった。

ある日、ふと見上げて思いついた場所・・・。

それは【噴火口】・・・。

樹海も何もないところ。

あるのは溶岩と灰だけで人もいない。

動物たちさえも・・・・。

溶け落ちてしまっても良い。

僕の“ヒトスジノヒカリ”であるお父さんの側へ行けるから・・・。

又お父さんと笑って、毎日を過ごせるから・・・。

“ヒカリ”が差す場所に行けるための入り口・・・。

僕が溶け落ちるまで入り口付近で、お父さんの骨と毎日を過ごすよ。

今度は僕が話をして上げるんだ。

“ヒカリ”が差している場所で、褒めてくれるかな。。。

“未来はヒトスジノヒカリの側で輝く”

そういえば、ヒカリ〜お父さん〜が差さなくなってから、僕は笑っていない。

何処か未完成な僕・・・。

それを思ったら悲しくなって、お父さんを抱きしめた。

火が揺れるのを見て、泣きながらお父さんを投げ入れた。

灰になったお父さんの骨を飲み干して、自然に身を任せた。

赤く沸々とした溶岩に足を包まれ、僕は溶けていった。

期待を胸一杯詰め込んで。。。。

どれだけ未完成の僕に悩まされたのか、それもこれでおわる。。。。

“ヒトスジノヒカリヲメザシテ”



いや、終わりじゃない・・・、始まるんだ。

一番愛している人の側で、新しい幸せをお父さんも僕も歩こうとしてるんだ。

悩んでも2人で解決できるんだね。

不完全な僕・・・。

どうして僕を作ったのか解らないままに、故障したお父さん。

お父さんは僕を治せたのに、僕はお父さんを治せなかった・・・。

ゴメンね・・・ゴメンね・・・ゴメンね・・・。

新しい世界で2人で暮らそう。

お父さん喜んでくれるよね。

僕のことをいっぱいいっぱい愛してくれたから。

僕も貴方のことを何時までも、いっぱいいっぱい愛しているよ・・・。

そしてこれからも沢山好きになる。

波となって僕を飲み込む灼熱の溶けた土・・・。

鉄で出来てる僕を溶かしてく・・・。

ドロドロに真っ赤な世界・・・。

何時しか視界が黒く染まり、真っ白なものへと変わっていった。



真っ白な世界には誰もいないように感じた。

何を思うことなく、ただ歩いてみた。

ふと立ち止まると、杖をついてる人が目の前に現れた。

とても遠くて、霞もかかっていてよく見えない。

一歩ずつ近づいていくと、見覚えのある杖とシルクハット。

お父さんだ!!!!!

急いでお父さんの側へ駆け寄ると、

お父さんは「悲しいんだよ。」と言って泣き崩れていた。

僕が「どうして?」と聞くと、

「お前が此処に居るからだよ。」と言った。

「お父さんは間違っていたね。

 ただ寂しいだけでお前を作ってしまった。

 お前がどれだけ悩んで、苦しい思いをさせること知っていたのにお前を作って、

 此処に来てはならないお前が此処にいる・・・。

 どれだけ悲しくて、辛いことか・・・。」

僕はお父さんを傷つけないように抱きしめた。

「これから新しく幸せを歩くんだよ?」

お父さんは首を振って、又泣き崩れた。

僕を抱きしめながら、何度も何度も「ごめんよ、ごめんよ」と言っていた。

そんなお父さんに「作ってくれてありがとう。」と忘れていた笑顔で言葉を贈った。