宙吊りにされた僕・・・
何かの輪に捕らわれて無実の罪に吊し上げられ・・・。
罪人焼印まで背に押され僕の生き方に出口がないと解って、
ただ同じ風景を見てた。。。
特に面白くもなく、つまらないというわけでもなかった・・・。
ただ世界が反対に存在しているだけ・・・。
最初は吊されると解って抵抗したが、
吊されてから反対の世界が珍しく思えてじっと上に存在する大地と見つめ合っていた。
夜には足下に存在する空から鳥たちが面白がって僕をつついていたが、
僕はそれを良いことに鳥たちを手なずけ、喋ったり遊んでたりした。
皇帝達は今頃鴉や鷲に食され影形はないだろうと安心しきっているのだろう。
兵隊達は見回りにも来ることはない・・・。
時が過ぎて道に迷った少女が僕の前に現れ、驚いていた。
慣れた頃には周りを走り回って、首を傾げ、
「逆さでいて面白いの?」
と言う・・・。
「僕は慣れてしまったから、どっちでもないよ。。。」
と発すると籠の中から焼き菓子を取りだし食べさせてくれる。
日が落ち始めるまで話すと、
「またくるね。」
と言って帰っていった・・・。
鴉たちにひやかされながら、動物たちの果物のお裾分けを口にする。
その時の僕は何故か憂鬱だった。
胸が締め付けられるような・・・。
嬉しくて悲しい気持ち・・・どうすることもできないこの気持ち・・・。
鴉がひやかす意味が少し解りかけた・・・。
大人でも子供でもない、中間の愛らしさと顔立ちの整ったこと・・・。
僕はこの腕の中に埋めてしまいたかった・・・。
今、腕も足も全て戒められていて、叶わない思いを少し笑った・・・。
どうにもならないと心で決めて、吊されたまま一生を過ごした・・・。
大人になりきった少女は誰の元へも行かず、僕の側にいた。
彼女はナイフで僕の戒めを解き、その場所に小屋ぐらいの家を造った。
僕はおじさんになっていて、
「こんなおじさんと暮らすの?」
と聞くと、
「誰だって歳をとるのよ。私だっておばさんになるのに、そんなこと関係有る?」
と笑い飛ばした・・・。
僕はあの時の微笑ましい愛らしさより、今の愛おしい気持ちが一番大事に思えていた。
後ろからそっと抱きしめると、腕に優しく唇を重ねてくれた。
木に吊されたときから僕の運命が変わった。
上辺だけの幸福から、人を愛すること、愛されることの幸せへと変えてくれた。
吊してくれた者、吊してくれた大木・・・。
ひやかしてた鴉や鳥たち・・・。
逆さに存在していた足下の空と頭上の大地・・・。
全てに感謝した。。。。。
そして森の中で迷ってくれた彼女にも・・・。