世界で2人だけのクリスマス










終わった────────────


たった今、今年のクリスマスが終わった。







恋人の剛くんに逢えないまま───────





『今年のクリスマスは一緒に過ごそうな』


そのメールが剛くんから来たのは11月の終わりだった。



日付だって、ちゃんと言える。


11月26日の21時56分。


ちゃんと保護してあるもん。



剛くんとつきあい始めて初めてのクリスマス。


一緒にすごせるってわかったときのあの嬉しさを、

いつまでも覚えておきたくて、速攻で保護した。



それから一ヶ月間。



クリスマスのケーキの練習して。

料理も、頑張ってメニューを考えて、いっぱい練習して。

試食してくれた友達の評価だって最高だった。


プレゼントも、いっぱいいっぱい考えて、結局無難な香水になっちゃったけど。


お店で3時間も迷って選んだんだ。



剛くんらしい、甘くてサワヤカで、ちょっとだけセクシーな香り。



それに、愛情を込めて編んだマフラーを添えて。

ところどころ、編み目が曲がったりしてるけど。

寝不足になりながらも、一生懸命編んだ。


学校の休み時間も、みんなにひやかされながら、一生懸命編んで。

やっと完成したときは、思わずケータイで写真撮っちゃったくらい嬉しかった。


いっつも車での移動だってことはわかってるけど。

それでも、ちょっと外に出るときとか。



そういう、ちょっとした瞬間に、のこと想ってくれたらいいなぁって。


ちょっと落ち着いた色の毛糸を、コレも手芸屋さんでいっぱい迷って。


手触りの良いものを。

どんな服と合わせても浮かないものを。


ちょっとでも長く、身につけてて欲しいからね。






幸せが不安に変わったのは、今朝のメール。



正確には、昨日の朝のメール。




『ごめん、ちょっとそっち行くの遅れるかも。仕事長引いてる』





剛くんから『仕事が長引いてる』のメールがきて、


2,3時間のズレで終わったことなんて、1回もない。

絶対に、約束が潰れちゃう。





でも。




クリスマスは特別なんだよ。




『ごめん。もうちょっと遅くなりそう』



ねぇ、剛くん。


あと5時間で、クリスマスは終わっちゃうんだよ。







それから3時間たっても4時間たっても。




5時間たったいまでも。



の目の前に、剛くんはいない。






「・・・・・・・・・・・・・っ、ふぇ・・・・・・・・・」




泣かないようにしようってきめたのに。



止まらないよ。


頑張って飾り付けしたクリスマスツリーのライトが涙で滲む。






っ・・・・・」




フワッて後ろから抱きしめられる。



覚えのある重み。

大好きなあの人の声と匂い。




「剛、くん・・・・・・・・・」




「悪い、遅くなった・・・・・」




「もぉっ、クリスマス終わっちゃっ・・・」




。ケータイの電源落として」





え?

「ケータイ?」


「いいから、ほら」


そういわれて、言われたとおりにした。



「ほら、みてみ?


まだ25日の11時半だぜ?」






部屋を見渡すと、部屋中の時計が40分戻されていて。



この部屋の中だけ、クリスマスに戻っていた───────



「遅くなってごめん。



今から、世界で2人だけのクリスマス、しようぜ?」




うひゃひゃ、って、照れくさそうに笑った顔。





今まで沈んでた気持ちが一気に幸せな色に染め上げられていく。








「メリークリスマス!!」





その言葉が響いた6畳の部屋の中。




世界で2人だけの、最高のクリスマスが始まった。



*反省**
ウチの時計は26日になっても1時間くらいクリスマスのと、
30分くらい早くクリスマスが終わっちゃったのがあるよ(笑)
お友達のなほちゃんにひっそりプレゼント。
ごめん、デフォルトは恭子です(><)