願いごと





「ねぇ剛くん。お参りにいかない?」



彼女のがそう言い出したのは、寒い日の昼下がりだった。








「お参り?」


「そう。神社にね、手を合わせに行くの。知ってる?」


「バカにしてんのかよ?それぐらい知ってっけど・・・

何で今日お参りなんか行くワケ?正月でもねぇのに」



「なんとなく。

今お祈りしといた方がいいかなって」



「何を?」


「今年も来年もずっと、剛くんと一緒にいれますように、って」







いつになく真剣な表情で、が言うから。




寒いなか、マフラーだけして、と手をつないで、

近くの神社まできた。



「お賽銭って、やっぱり5円にするべきかな」



そう言って、小銭入れを探る





どうしたんだ、急に。





「あっ、あった。

・・・剛くんは?」


「お前の賽銭にあやからせてもらうからいい」



「そっか」




チャリン



小気味良い音を立てて、の投げた5円玉が、

古い賽銭箱に吸い込まれた。


「ほらっ、剛くんも早くお祈りしなきゃ」



に急かされて、手をあわす。




横目でをみると、真剣に祈っているようだった。




「剛くん、お祈りした?」




本当は、の方ばっか見てて全然してねぇけど。


「したよ」



と言ったら、は満足そうな顔をして笑った。



「おみくじしようかな」


「やめとけよ、凶でたらどうすんだよ、縁起でもねぇ」

「そっか。剛くんツアー中だしね」


はすぐに納得して、俺の手を繋ぎなおした。







「ねぇ、剛くん。


何、お祈りしたの?」




「そういうのは、内緒にしとくもんだろ?」


「あっ、そっか。


でもね、は言った方が叶う気がするから言わせてね?




あのね、本当はね、お祈りなんかできなかったんだ。


横にいる剛くんに、ずっとドキドキしてたから」



そういって、が恥ずかしそうに俯いた。



オレは、繋いだ手を強く握りなおして、


「それって?」

と聞いた。




「ずっと、剛くんと一緒にいれたらいいなって・・・・・

でもそれって、神様にお願いするコトじゃないでしょ?


剛くんに・・・・・言うコト、だよね。




ずっと、と一緒にいてくれますか?


ていうか、いてください」






「うひゃひゃ、プロポーズだな」



「茶化さないでよ、恥ずかしいんだから」





そう言って、口を尖らせたの手を、軽く引っ張って。


軽くキスしてやった。



「・・・・・・・///」






「ずっと一緒にいような」



神様や、運命なんかに縋るもんじゃねぇ。





オレとを繋ぐのは、もっともっと、確かなキモチ。




*反省**
なんとなく、不安になっちゃった女の子。