そんなんじゃねぇって
ただ
どんどんキレイになっていくお前に
もう、オレがまいっちまいそうなんだ。
siren
「…よくそんな面倒くせぇこと毎日毎日…」
が鏡に向かって、ファンデーションを肌に乗せてる。
毎日30分…いや、1時間近く鏡に向かって
せっせとメイクに励む。
「だって、スッピンじゃ外出られないよ?」
「なんでよ」
「…童顔、なんだもん…」
…オレは、あどけない素顔もすき、なんだけどな…
勿論、そんなことを口にだしたことはない。
確かには幼い顔つきをしてると思う。
実年齢よりも3つほど下に見られることなんてザラにあること。
で、メイクすると確かに別人。
オトナっぽくなって、年相応の顔に見えてくる。
…女ってのは怖ぇな、マジで…
「ねぇごーくん。
…そんなに見られてるとやり辛いんですけど…」
「いいじゃねぇかよ」
女ってのは、いろいろと見られたくねぇモンが多すぎるんだよ。
着替えるときも部屋の外に出されるし、
一緒に風呂はいるのも恥ずかしがられる。
今更、ンなこと恥ずかしがる仲でもねぇだろ?
「ねぇ、どっちの色がいい?」
の手には、2つのアイシャドー。
ピンク系の色が何色か乗ったやつと、
同じような形でブルー系の色のやつ。
今日のの服は白。
「こっち」
オレが選んだのはピンクのほう。
みてぇに可愛い顔には、
きっとピンクのほうが似合うだろって思うから。
「ん、りょv」
りょ、ってのは「了解」って意味らしい。
最近、がよく使うからオレまでうつりそうだ。
オレはベッドにうつ伏せで寝転んで、
白のドレッサーでメイクするをみつめてる。
知り合ってから大分経つけど
メイク、上手くなったな。
顔つきもオトナっぽくなって。
なぁ
オレのことおいて
どんどん変わっていくのかよ?
「…ごう?」
「ん?」
「
「…どうしたの?」
皺寄ってるよ、
そう言って、はキレイにマニキュアを塗った指で、
オレの眉間をツン、とついた。
やっぱ、ピンクにして正解。
すっげぇ可愛いよ、お前。
「…くちは?
何もしねぇの?」
「え?これからするけど…」
オレの眉間をついた左手とは逆の手に、小さな口紅。
「ソレ、塗ったあとにさ。
アレすんだろ?口唇テカテカするやつ」
「あぁ、グロス?
…テカテカって。せめてツヤツヤって」
「アレさ、オレにやらして」
「…別に、いいけど」
一瞬、驚いたように瞳を見開いてみせる。
その仕草まで、なんかすげぇオトナっぽくて オレが 焦る。
オレのほうが、年上のはずなのに。
「…ん、剛くん。グロス、して?」
淡いピンクのラメの入った、リップグロスのボトルを渡される。
ベッドから立ち上がり、ドレッサーのいすに腰掛けてるの傍に立つ。
キャップをクルクル回してあけると、キュポ、という小さな音とともに、
チップとかいう…あの、塗るヤツが出てくる。
「ん、くち、だせよ」
「ん」
くん、と顔を持ち上げて、チップをの口唇に滑らせていく。
つやつや、きらきら。
はみ出さないよう、すこしずつ。
「…できた」
「ありが、んっ…」
お礼は、言葉じゃなくて、コッチで、な?
艶めかせた口唇に、噛み付くようなキスを、ひとつ。
「…メイクのひとがさ、リップは1回押さえると持ちがよくなる、って」
「…普通、それ、ティッシュとかでするんだよ?」
「どっちでもいいだろ?嬉しいくせに」
「…ばか」
嬉しいに決まってるじゃん、って言う小さな声、
オレに聞こえてないとでも思ってんの?
「まぁ、たまにはいいかもな…化粧も」
「が毎日頑張ってるのは、
毎日、剛くんに『キレイ』って思ってもらいたいからだよ?」
えへへ、といたずらっぽく笑う顔は、
まるで小悪魔。
魅惑的、って形容詞は、コイツのためにあるんじゃねぇのか、
なんて、ガラじゃねぇけど。
もう、お前それ以上キレイになんなくていいから。
オレ以外の目に触れさせたくなくなるじゃねぇかよ。
ただ
可愛く艶めくその口唇、オレが作ったって思うと
気分は、悪くねぇけどな。
*反省**
ガコイコでメイクのぶんみてて思いついた。
えっちくないように心がけました☆