「あ〜、もう・・・大丈夫なのかよ、アイツ・・・」

こんな剛を見るのは、初めてだ。



「なぁ、今日剛んち遊び行っていい?」

「あ? えっと・・・悪ぃ、健。今日オレの女来てんだよ・・・

また今度、な?」


こんな俺たちの会話に、最近フェロモン星人と化してる岡田が
割り込んできた。

「えっ、噂の『』ちゃん?めっちゃ見たいねんけど!!」

「だよなぁ、見たいよなぁ、岡田?」

いつになく短時間で意見の一致したオレと岡田は、
嫌がる剛を押し切って、剛の家に遊びに行くことにした。




車の中で、剛に念を押されて言われた言葉。


「いいか、に『チビ』は禁句だからな」





 ******


剛が、自分の家の呼び鈴を鳴らす。

インターホンから「はい?」と言う可愛らしい声が聞こえて。

「帰ったぜ」と剛が言うと、玄関のドアの向こうから、パタパタと足音が聞こえた。


いよいよご対面、緊張の瞬間。

オレと岡田の好奇心は、最高潮だった。


「おかえりなさいv」

顔を出した、その女の子は・・・・



「高校生!?」

「え、お客様・・・・健くんと岡田くん!?
ちょっと剛くん、言っといてよぅ!!」

「わりぃわりぃ。こいつらいきなりでよ・・・」

紺のカーディガン、白いブラウス。

膝上20センチくらいのスカートに、紺のハイソックス。

胸元には、赤いリボン。


・・・女子高生と付き合ってたのかよ・・・。


つぅか、マジでちっちぇ・・・。

「あ、あの・・・上がりま・・・す・・・か?」

「あぁ、上がれよ」

オレと岡田は、あまりの意外さに、ちょっとの間ちゃんを凝視してしまった。


「あ、あの・・・・」

「おい、あんまり見んなよ。変態」

「「なっ、変態言うな!!」」







ちゃんが
「お茶入れてくるね」
そう言ってから5分。

剛がそわそわしだした。


時折、すこしキッチンを気にしながら。


で、冒頭のセリフに戻る。




ガッチャーン

「うきゃっ」


大きな音と、ちゃんの小さな悲鳴が聞こえた瞬間、
剛が「やっぱな」と小さく呟いて、キッチンへ。
あんなに行動が早い剛も初めて見る。


「アブねぇやつだな、ったく・・・」

「ごめぇん・・・」

「いいけどよ・・・」




「なぁ、健くん」

「ん?」

「あんな剛くん見るの初めてやねんけど」

「オレも。なんか人間変わったんじゃね、アイツ?」

「っていうか・・・なんか、ええ雰囲気やな」


キッチンを見ると、
顔を真っ赤にしたちゃんと、ちゃんの変わりにカップにお茶を入れてる剛。

剛が、ちょっと過保護な保護者に見えなくもないけど。


「本当にすきなんだろうな、お互い」
「やろうな。えーなー」
「何言ってんだよ、フェロモン星人が」
「なんやねん、それ!?」

「うっせぇよ、騒ぐな」

剛がお茶を、ちゃんがお菓子を運んでくる。

「お、お騒がせしてごめんなさい・・・」

改めて見ると、本当に幼い。
禁句らしい『チビ』を言ったら、顔を真っ赤にして怒るんだろうか。

「気にしないで」

「そーだぞ、こいつらに気ぃ遣うことなんかねーから」
「で、でも・・・」
「いいって」

剛のちゃんに対する態度は、今までの彼女に対するそれとは、明らかに違う。
なんていうか、何でも許せるんだと思う、ちゃんなら。

「あ、ちょっとトイレ行ってくる・・・」

そういって、ちゃんが席を立った。




「なんかええ雰囲気やんかv」

「うるせー」

「初恋なんじゃねぇの?」

「バカ言ってんじゃねぇよ」

「ていうか、可愛くてたまらんねやろ。見ててわかるわ」
「確かに。いっつもは俺様なくせに、何でお前そんな立場低いの?」




その言葉に、剛が一瞬黙ったあと。
いつもより、少しだけ照れたように答えた。








「うるせーよ、惚れてるからに決まってんだろ」






こんな素直な剛も初めてだ。

幸せに、なってください。


三宅健と岡田准一は、心から祝福します。
あの五月蠅い細目には、もうちょっとの間秘密にしといてやるよ。