よばなし
第十夜
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自分は知り合いのおばちゃんと、
キッチンで料理をしている。
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リビングには家族。
TVを見たり、本を読んでたり。
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ちょっと薄暗くて
あまりいい雰囲気ではない。
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なんせさっき僕は、
僕の不真面目さやいい加減さを、
家族みんなに散々罵られた所だ。
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何の抗弁も出来ず、
ただただ、悔しく、また悲しい。
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せめて、料理くらいしようと
キッチンに立ったのだ。
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しかし、またやった
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油のたぎったフライパンに、
うっかり水を入れてしまった。
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あっ、と思ったが少量なので大丈夫だろと、
背を向け食卓に向かった。
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一瞬の後、炸裂音。
振り返ると天上をなめる火柱!
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私の後ろに居たおばちゃんに、
炎がかぶさる。
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頭に引火した。
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お皿を持った手はそのままに、
絶叫が上がる。
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もう髪も顔も黒く焦げ始めて。
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TVの音がでかい為か、
まだ家族はこの惨事に気付いていない。
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早く助けねば、と焦りつつ、
しかし、もう駄目かもと思った。
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火だるまなのだ。
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目まぐるしく思考がまわる。
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そして、同時に、いや優先して僕が考えたのは、
どうしたら彼女を助けられるかではなく、
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どうしたらこの事体を隠蔽出来るかだったよ。
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