back>>
私の母親は薔薇が好き
母自身もまるで薔薇のように華やかで気高く
触れるとその棘に刺されてしまう
子供だった私すら母には近づけはしなかった
母に近づく事が出来るのは母を愛する男だけ
その棘をも恐れない恋の病にかかった者だけ
私の父もその棘に幾度刺されようとも
恋に麻痺しているせいで痛みなど感じることなく
その最後は棘に抱かれるように死んだという
愛する者の命さえ奪ってしまう薔薇の女
母は父の亡骸を暫らく見つめると涙を浮かべ愛おしむように父を抱いた
私はその姿を見て初めて薔薇の悲しみを知った
母も父を愛していたんだと・・・
己を愛する者の命を危めてしまう
そんな自分の定めを母はどう思っているんだろうか・・・
悔やんでいる?
悲しく思っている?
恨めしく思っている?
今は解からない
母はあれ以来 また気高い薔薇のような人に戻ったから
私はそんな母を愛しく思い誇りに思った
「君って何だか薔薇のような人だね」
私も母のように薔薇の女になるんだろうか?
気高く強く
そして愛する者を傷つけ危めてしまう悲しい定めを背負った女に・・・
だとしたら
ねぇ愛しい貴方・・・私を愛したりはしないで
愛したり・・・しないで下さい・・・
back>>