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吸血鬼は恋をしました
当然のように本能は彼女の血を欲しましたが
彼女の血を吸うことはしませんでした
それをしてしまうと
彼女を殺してしまうか
同じ哀しい運命を背負わせてしまうからです
吸血鬼はひたすら欲を抑え
彼女の傍らに居ることを望みました
彼女への忠誠を誓うかのように
他の処女の血を吸うこともしなくなった吸血鬼
日増しに身体は衰弱していきます
そんな吸血鬼を見て彼女の心は痛みました
彼女も吸血鬼を愛していたのです
何度も吸血鬼に自分の血を吸うように言いましたが
吸血鬼は拒みつづけました
吸血鬼の身体は弱りきって
もう血を吸う力さえ無くしていました
彼女は吸血鬼の笑顔を再び見たいと願いました
そして自分に出来ることを考えたのです
彼女は毎夜毎夜自分を傷つけそこから滴る鮮血を吸血鬼に与えました
毎夜毎夜・・・・・・
彼女の白い腕は傷だらけになり
彼女の顔からは血の気が失せて以前の美しさはもうありません
それでも彼女はただ彼の笑顔が見たいが為
自分を傷つけ血を与えることを止めませんでした
彼女の想いは天に届きました
吸血鬼は日増しに回復していき
そしてある朝 目覚めたのです
・・・しかし彼女はもう彼の笑顔を見ることは出来ませんでした
彼が目覚めたそのときに彼女は息絶えてしまったのです
口に残る血の味と其処に横たわる変り果てた彼女
吸血鬼は悟りました
彼女が自らの命を犠牲にして自分を助けたことを・・・
彼女の想いを知らない吸血鬼は
愛する人の命を奪ってしまった我が身を心から呪いました
そして自害出来ない吸血鬼の定めを悔やみました
吸血鬼は彼女の亡骸を抱きしめ
彼女を慈しむようにいつまでも泣き続けました
いつまでも・・・いつまでも・・・
それは
哀しい吸血鬼と
優しい淑女の
人知れるの事の無い
恋語り
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