Island Discs Best 20
まろさんの無人島20枚(and more)

選盤コンセプト

どちらかと言うと、私の場合「無人島に持って行く」と言うより、Donald Fagen“New Frontier”のビデオ・クリップ的に「核シェルターに持ち込んでみる」20枚と言う感覚(怖?)で選んで見ました。(あっ、でもそれだとマテリアルは充分でも、太陽に当たれないか??)


1

ARTIST:Hatfield & The North
TITLE:「Hatfield & The North」(1973)
COMMENT:

 念のため最初にお話しておきますと、決して「ここの皆さん」は、カンタベラーの集まりと言う訳では無いです(笑)… まあ、でもカンタベラー1号は確実に私ですか?で、ここは一つ、数あるカンタベリー・サウンドの中でも一番好きなHTNで、一番思い入れのある1st.を(全体的な完成度では2nd.の方が優れていると頭では理解しているのですが、どうしても鼓膜が欲するので)。
 Richard Sinclairの滑らかな声質&耳に易しいベース・ライン、Pip Pyleの超技巧なのに軽やかなドラムス、Phil Millerのエッジ鋭い独特のギター、そして何よりDaveStewartのくぐもったオルガン・フレーズ等の個体の演奏に加え、全体を構築する複雑なのに心地よい変拍子、ジャケット・デザインと、全てが相まって遥か彼方へ誘われます(怖)。
 自分も趣味でキーボードを弾くので、ロック系鍵盤奏者でも、Keith Emerson,Max Middleton等好きなアーティストは数多いのですが、特にStewartは、EGG,HTN,National Health,Bruford等、全ての時期・作品に渡りハマッているアーティストの一人です。
 ところで、ここでのルールは一応、オリジナル重視でベスト盤とか原則禁止にしたんですが、1st.single A-Bボーナス追加CD盤の方を持って行く位は、許してね(笑)。

2

ARTIST:Beatles
TITLE:「Magical Mystery Tour」(1967)
COMMENT:
 え〜、お約束の(?笑)Beatlesを、早くも持って来てみました。正確にはこのアルバム、USA編集のコンピ(同名OST6曲と同年のsingleからAB面計5曲)なんですけどね。
 順当な線では、“Rubber Soul”,“Revolver”,“SGT,Pepper’s〜”,“Abbey Road”の4枚からの選択かと思いますが、私にとってJohnとPaulの各々単独最高作“Strawberry Fields Forever”と“Penny Lane”を外す訳に行かないし、“HelloGoodbye”やタイトル曲“MMT”も入っているこの1枚を連れて行きたいです。(ホントは、まだ他にも、“Drive My Car”,“Nowhere Man”,“And I Love Her”他、とにかく好きな曲の数多いバンドなので、「青&赤の豪華セット」が完璧なのですが…。)
 ところで、Beatlesの場合、普遍的な好メロディーには事欠かない分、カバーも実に沢山有りますが、恐らく最高作は、Sparksの“I Want to Hold Your Hand(1976)”では無いでしょうか。
 Rupert Holmesが、何んとこの曲を壮大なバラードに変身させたバージョン。その流麗なアレンジに酔っても、Russell Maelの確信犯的な歌声にニヤリとしてでも、どちらもイケる逸品です(笑)。
 でも、これってEPのみで、彼らのオリジナルorベスト、どのLP・CDにも入っていないんですよね。まだ聴いた事の無い方、頑張って中古を探してみて下さい。それだけの価値は有ると思います。

3

ARTIST:Bill Evans Trio
TITLE:「Moon Beams」(1962)
COMMENT:
 Scott LaFaro亡き後、新トリオでのバラード集ですね。最後の最後まで、LaFaro時代の“Waltz For Debby(1961)”と迷いましたが、ライウ゛・ハウスで録音した“Waltz〜”は、聴衆の拍手(に加え、演奏に無関心な人々の笑い声や食器類の音)が入っている事が引っかかって、結局こちらにしました。
 このアルバムを始めとするEvansのフレージング(モード解釈)とは、もう30年近い親友ですが、間違い無くこの先も一生の付き合いになると思います(特にバラードは、それこそ私にとっての「ヒーリング・ミュージック」です)。
 Evansでは、他にも“Live In Tokyo(1973)”の“Morning Glory”や、“Waltz〜”の“My Foolish Heart”等「心に欠かせない処方箋」が数多く有るのですが、1アーティストで1枚にしておかないと、とても20枚に収まらないと思い、脳内ディスク保管で自粛します。

4


ARTIST:Everything But The Girl
TITLE:「Walking Wounded」(1996)
COMMENT:
 アルバムによって結構激しく音の違うバンドなので、同じく「EBTG大好き!」でも、どれをピックアップするか?は、意見の分かれる処ではないでしょうか?
 一時期、憑り付かれた様に流していた“Driving”や、“Take Me”,“Letting Love Go”等の名曲を含み、Omar Hakim−John Pattitucciの手垂れリズム隊とLarryWilliamsの弁えたキーボードがBen&Tracyを気持ちよく乗せる”The Language Of Life(1990)”と、非常〜〜に迷ったのですが、アルバム全体での曲粒の揃い方と、これ系(えらい大雑把な言い方)の音も1枚欲しいと思ったので。
 このアルバムは、当時「EBTG」ミーツ「ドラムン・ベース」と言われましたが、元々持っている彼らの瑞々しいメロディーとアコースティックな音構成が、計算されたシャカシャカ音と例のリズムの上で見事に浮遊していて、トランスしてるのにしっとりとした不思議な酔い方を与えてくれます。
 私の感覚だと、この後の“Temperamental”とか、Deep Dishとの“The Future Of The Future(Stay Gold)”とかは微妙なバランスが崩れていると言うか、Tracy Thornのボーカルが「浮遊」と言うよりは「幽体離脱」的に遠くに行き過ぎて、何んだか取っ掛かりが無い残念さが残るのですね。
 ところで、これと共に、Todd Terryがリミックスを手掛けた“Missing”のミニアルバム(1995)も、セットで連れて行きたいんだけど … 却下?

5


ARTIST:Pages
TITLE:「Pages」
COMMENT:
 Jay GraydonとDavid Fosterの2人共、80年代はJay P.MorganやAlan Sorrentiのアルバムで華開き、“Airplay(1980)”で確立させた世界を土台に、各々良質な音作りを数多く展開していました。
 Jayは、このPagesを始めMark Jordan,Dionne Worwick,Al Jarreau,Manhattan Transfer,DeBarge, El DeBarge,Lou Rawls等と、Davidは、Chicago,EW&F,NeilDiamond,Kenny Rogers,Peter Allen,Hall&Oates,Tubes,Fee Waybil, Dowayne Ford,Ray Kennedy, Djavan等と(プレイヤーとしても“U.S.J/Char(1988)”の“Smoky”での演奏は、鬼気迫るものがありました)。
ところがその後、Jayは悪い2人組(笑)に騙されて低迷(“Planet3”)、“Airplay For The Planet(1993)”(意味深なタイトルのソロ・アルバム)で奇跡のカムバックを果たすものの、Davidは大勘違い大会の挙句、リチャアド・クレイダーマンに成れ果ててしまいました(合掌)。
 Pages自身の話が後になりましたが、JayとBobby Colomby(元BS&T!)の丁寧な仕事と相まって、彼らのコーラス・ワーク、楽曲共に、最高の出来です。名曲“Who’s Right, Who’s Wrong ”の存在が際立つ2nd. “Future Street”も最後まで競りましたが、泣く泣くこちらの3rd.を連れて行きます。
 尚、少々畑違いのTavares9th.“Supercharged(1983)”には、Jayこそ絡まないものの、この“Pages”と同じくB.Colombyがプロデュースを努め、Steven Georgeのミニムーグ(ソロ)が軽やかに天空を舞う(その名も)“Paradise”と言う、非常にPagesっぽい名曲が収められています(って、ファンの皆さんは、とっくにご存知ですか…。これもCD化が切に望まれる一枚ですね)。
 尤もこのアルバム、他にBill Champlinの“We Both Tried”が収められており、こちらはしっかりDavidの仕切りです。因みに、未CD化なんですが、やる気の無さが炸裂するジャケット・デザインのせいか(笑)中古屋さんでは時折500円とかで投げ売られているので、まだまだ手に入ります。未聴の方には、お奨め品です。(そう言えば、Jay&David絡みのRhythm Heritage“Last Night On Earth(1977)”“Sky’s TheLimit(1978)“も、大体その位の値段で見逃されてるので、探してみて下さい。)

6

ARTIST:Genesis
TITLE:「Selling England By The Pound」(1973)
COMMENT:
 私にとってのGenesisは、Peter Gabriel以降と以前では基本的に別のバンドです。
 と言う事で、イントロのメロトロンだけでイってしまいそな(笑)名曲“Watcher Of The Sky”を擁し、実質的2nd.“Nursery Cyyme”からの流れを早くもバンド・スタイルとして確立した3rd.“Foxtrot(1972)”への想い入れも相当なのですが、全体の流れ・各曲の展開・歌詞の全てに渡り、迫り来る気迫と一歩引いた鋭い皮肉のバランスが絶妙なこちらを連れて行きますです。
 皮肉にも、このアルバムの出来にGabrielは不満だったとかで、次作“The Lamb Lies Down On Broadway(1974)”で(当時自分の)懸案だった構想を仕上げると、さっさと脱退してしまう訳ですが、これは、初期Genesisを覆っていた一種の「暗さ」が、特有の捻くれ度を保ちながらも「叙情性」に昇華した重要な作品だと思います。
 やがて残ったメンバー達は、定説「Phil Collinsが」と言うより、陰の支配人「Mike Ratherfordが」実権を握るに連れ、(論議を呼んだ通り)普通の商業バンドになって行く訳ですが…。
でも、一般的な評価では全く埋もれた存在になってますが、“The Lamb〜”の直後作”A Trick Of The Tail(1975)”なんか、実はGabriel後のアルバム中では相当優れた作品だと思いますけどね〜。(後は、いきなり相当飛んで“Invisible Touch(1986)”の“Throwing It All Away”とかは、大好きだったりします)

7

ARTIST:Santana
TITLE:「Caravanserai」(1972)
COMMENT:
 今年のアカデミー受賞には少し驚きました。アーティストとしてもっと旬な時期は無視しておいて、何やら政治的な動きがハマって引掏り出された匂いが濃厚(?)。まあ、ここまで枯渇せず来た本人の評価がそれで貶められるものでも無いですが。
 と言う事で、このバンドも結構、時期によって激しく音が違いますが、やはり1st.〜この4th.までが秀逸ではないかと(“Welcome”も、かなり良い曲が有りますが、ちょっと宗教臭い色合いが珠に傷)。
 で、4枚からどれを?となると、1st.とか実は相当好き(チンピラ・ラティーノの怪しさ炸裂!)なのですが、3rd.で広げた音宇宙を見事なまでに昇華したこのアルバムが、やはり唯一無比でしょう。
 Michael Shrieveの実に風通しの良いドラムスと、骨太なDoug Rauchのベースに支えられた縦横無尽の本人ギター・フレージングに加え、要所で唸りを上げるGreg Rollieのオルガンが堪りません。

8


ARTIST:Premiata Forneria Marconi
TITLE:「Photos Of Ghosts」
COMMENT:
 う〜、またもや70年代。やはり多感な時期に聴き込んだ音は、シナップスの隅々まで染み渡っているのか(笑)。
 まあ、でもその後も継続して時代毎の音楽に触れているのに、自分的にそれを凌駕するものが中々無いと言う事は、個人的事情(年々の感受性変化とか)の問題?それとも音楽の発展史の限界?(90年代に入ってのサンプリングの嵐には、音階の組合せ限界=良いメロディーが出尽くした説まで飛び出しましたっけ。)
 話が逸れましたが、PFM自身も、このアルバムと次作“World Became the World(1974)”で頂点を極めた後、メンバー交代も有りながら90年代まで果てしない旅に出る訳で、先程のSantanaあるいはGenesisでは有りませんが、アーティストとしての生き様の難しさを感じざるを得ません(近年では“Ulisse”(1997):特に“Andre Per Andre”等は、十分に素晴らしい出来だと思うのですが)。
 肝心のこのアルバム、独特の地中海気候的「叙情性 と たおやか」のミクスチャーは、発表後約30年を経ても今尚、輝きを失うものでは無いと思います。
 Fravio Premoliの分厚いムーグやメロトロンの雲間を、縦横無尽に掛けめぐる(また時に漂う)Franco Mussidaの12弦ギターとボーカル、そしてMauro Paganiの軽やかに舞うヴァイオリン、更には各楽曲の展開の素晴らしさ。これ以上、言葉では言い尽くせません。

9

ARTIST:Steely Dan
TITLE:「Aja」(1977)
COMMENT:
 困りました……。“Aja(1977)”と“Gaucho (1980)”のどちらか選べないのです。この2枚、私にとっては、“Black Cow”+ “Aja”と、“Babylon Sisters”+“Glamour Profession”の2曲同士の一騎打ちになる訳ですが。結局最後の方で、2枚共携えて行くのかも知れません。(でも、そしたらBill Evansやカンタベリーものも、もう1枚は入れたいし…。段々収拾が付かなくなって来ましたです。)

10

ARTIST:Elton John
TITLE:「Elton John」(1970)
COMMENT:
 済みません私、このアルバム持ってません(爆)。正直言うと、アーティスト自身もここに並べた他ユニット程愛でている訳でも無いし(ファンの皆さん、御免なさい)。でも、どうしても“Your Song”1曲だけは、欠かせないので。
 「恋人」Bernie Taupinに送ったと言う歌詞の甘さは置いておきましょう。YouとIを様々に置き換える事で色々読み替える事も出来る訳ですし。それにしても、この朗々とかつ切々としたEltonの歌声と、Paul Backmasterの優雅なアレンジの妙は何に例えれば良いのでしょう。最後のアコースティック・ベースの一音迄心に染み入ります。
 “Rocket Man”,“Daniel”,“Goodbye Yellow Brick Road”,“Blue Eyes”等の名曲を擁するEltonの場合、私にはベスト盤が一番最適なのですが…。(あ〜、でも“Blue Eyes”って2枚組の“The Very Best Of〜”以外、結構枚数有るベストものには収録されて無いんですよね。結構スタイリッシュな佳曲だと思うのだけど、本人はあまり気に入っていないのでしょうか?)(まあ、でも10回に1回位は、結構冗談半分で歌ってる様に聞こえない事も無い曲では有りますが。)

11

ARTIST:Chante Moore
TITLE:「Precious」(1992)
COMMENT:
 ここ迄中々(3)以外、90年代に行き着けなかったのですが、何んとか辿り着きました(笑)。
 そう言えば、ここ近年演っているバンドのライウ゛でも、Janis Joplinとか、Jimi Hendrix,Carole King等の60年代から、Derek&the Dominos,Yuming,Sadistic Mika Band等の70年代と、Fairground Child 等の80年代迄、雑食系で展開するものの、どうしても90年代まで選曲が及ばないんですよね(苦)。
 このアルバム、最初はタイトル曲が気に入って聞き出したのですが、気が付くと“Love’s Taken Over”に「ズッぱまり」(特許:「ちゃわん」師匠)状態となり、以後帰らぬ人に。
 とにかく、次作“A Love Supreme(1994)”も本作も、Chanteの妖艶な唄と、Simon Lawの分厚く壺を心得たアレンジのマッチングは近年最高傑作ではないでしょうか?
 80年代の良質な2つのコラボレーション :Paul Lawrence−KashifラインとEvelyn King,Melba Moore等、と、Terry Lewis−Jimmy JamラインとMary Davis擁するSOS Band,Cherrell等 を彷彿とさせます。
 安易な組み立ての多いヒップ・ホップに席巻された90年代ブラック・シーンにも(Mary J. Blrige、Lauren Hillは別格ですが)Chante他、丁寧に拾って行くと、Joe,(“Voodoo”前の)D’Angelo,Donell Jones(“U Know What’s Up”にはヤラレました)等、良質な音造りが有りますよね(まあ、尤もこう言うのは端的に言えば個人の好き嫌いになってします訳ですが)。
 ところで、偉そうな論評?の割には勉強不足も良い処なのですが、このSimon Lawって人、何者で、他にどんな作品が有るのかご存知の方、教えて下さると嬉しいです。

12


ARTIST:Massive Attack
TITLE:「Protection」(1994)
COMMENT:
 このアルバムも、1曲目(“Protection”)から次以降の曲に進むのに、優に1年以上掛かった代物です(笑)。元々MAの持っている暗く重いサウンドに、EBTG:Tracy Thornの元々浮遊感の有るボーカルが重なる得も言われぬマッチングが堪りません。ここまで本人達もハマると思っていたのかどうか疑わしい程の出来栄えです(この曲のMTVも、エッシャーの世界の様な不思議画面でしたね)。
 あっ、こうして書いている内に、また聴きたくなって来てしまいました(ちょっと、失礼します)。

13

ARTIST:David Sylvian
TITLE:「Brilliant Trees」(1984)
COMMENT:
 正直言ってSylvianさんとのお付き合いは、それまで結構希薄でした。JAPANは、ROXY MUSICとDURAN DURANの狭間でPOLICE等に紛れ見逃していた様な気がしますし。
 でも、そう考えると一体、何処で遭遇したのでしょう? 殆どこのアルバムからダイレクトに入ったのかも知れません(“Red Guitar”がFM局でかかっていたとか)。
 そう言う意味では、デビシルさんに関しては遅れてデビューした私ですが、以来“Bees On The Cake(1999)”迄、変わらず長いお付き合いです。
 とにかくこのアルバム、こんなに毒があって一種絶望的なのにここまで美しい音も、そう滅多には存在しないのでは無いしょうか? Wayne BraithwaiteやPercy Jonesの重く粘っこいベースの上を、Steve Jansenの乾き切った太鼓が転がる中、坂本教授のピアノが煌びやかに散りばめられ、何んとも中世的なSylvianのビブラート・ウ゛ォイスが重なるこの音世界。嵌ります。凄過ぎます。(と言う事で、連れて行くのは、Holger Czukayとのミニ・アルバム “Words With the Shaman(1985)”をそっくりボーナスに奢った1984:CD再発盤と言う事で、見逃して下さい。)

14


ARTIST:King Crimson
TITLE:「In The Court Of The Crimson King」(1969)
COMMENT:
 初めて付き合い始めてから、思えば30年近く(!?)が経ちますが、実はこのジャケットだけは未だに好きになれません(笑)。まあでも、とにかく音は「絶品」以外の何者でも無く、この時代が生んだ最高芸術作品の一つではないでしょうか?
 私の場合、kcとの出会いがここからスタートしたのはある種とても幸せな事であった一方、もしかすると別な切り口から入った方が幅広くこのバンドを聴けたかも知れない複雑な思いも有ります。
 こう言うのは、かなり少数派だと思われますが、とにかく私にとってのkcは“I Talk To The Wind”が最重要機軸なのです。
 尤もこの曲も、“21st.Century Schizoid Man ”と“Epitaph”の間に位置するからこそ一層際立って輝く面も否めませんし、私のkc代表曲として以下に続く“Cadence And Cascade”、“Lady Of The Dancing Water”、“Formentera Lady”にしても、各々“Pictures Of The City”&“In The Wake Of Poseidon”、“Cirkus”&“Indoor Games”、“Sailor’s Tale”&“Ladies Of The Load”等のパートナーが同じアルバムに居るからといった構図では有りますが。
 “I Talk〜”は、流麗なGreg Lakeのボーカルも好きですが、Ian McDonaldの流麗なフルートのフレージングと、Michael Gilesの華麗なシンバル・ワーク&転がるスネア が秀逸で、私には間違い無くkcはこの2人色有ってのバンドです。(お陰で当時、夢を求め過ぎて待った“McDonald&Giles(1970)”にえらくしょげた記憶があったりします。)
 kcでは、その後の“Larks Tongue In Aspic(1973)”も相当好きなテンションのアルバムなのですが、あそこでもBill BrufordとDaic Crossの印象の方が強烈で、いくら御大Robert Frippが居てこそ構築された音絵巻だと頭では理解出来ても、どうもその後この人の個性が前に出るに比例して感覚が付いて行けず、お陰で最後に妙な芸人ギタリストさんが入って来てからは、キッパリと縁が切れました。(Fripp翁、A・Blewファンの皆さん、或いはいまだしっかりkcをサポートされている一部の「ここんチの皆さん」、これは私の改めての「kc引退宣言」と言う事でお許しを。)

15


ARTIST:Chicago Transit Authority
TITLE:「Chicago Transit Authority」(1969)
COMMENT:
 当時、BS&Tの1st.〜2nd.と共に、大のお気に入りだったアルバム。ご存知、(その後は、紆余曲折現在に至るバンド)CHICAGOの1st.です。
 kcと比べると、英吉利と亜米利加の「生まれた国の違い」や、造り手の「生い立ちの違い」こそ有れ、こちらも時代背景が色濃く出た作品でしょう。いずれにしても、当時まだ13だか14だかの私には、そんな奥行きなど分かる筈も無く、ただひたすらアンサンブルの心地よさとメロディーの瑞々しさに参っていた訳ですが、逆にそれだけサウンドにのめり込めたのかも知れません。早速、設立間もないCTA日本ファン・クラブに加入するものの(確か会員番号は60番台だったかと)直ぐに3ヶ月間の会費未納で強制脱会になりました(笑)。
 “Does Anybody Really Know What Time It Is?”,“Questions 68/69”,“Someday”等は、今の時代にも通じる普遍性を持った楽曲だと思います。
 このバンドの自分的聴き方も、1st.の印象が色濃過ぎた為に、2nd.以降段々に色褪せ、楽しい楽曲が多かった5th.を最後に、(何んと)David Fosterの絡む16th.迄、一気の中間省略となる訳ですが(思えば当時“Questions〜”とかの<日本語バージョン>で一気に冷めた様な気がします…)。(まあ、でも16thとかでも一番好きな曲は、James Pankowの佳曲“What Can I Say”だったりしてますが。)

16

ARTIST:Steely Dan
TITLE:「Gaucho」(1980)
COMMENT:
 え〜、今、勢いで決めてしまいました(笑)。結局“Aja“とどっちも決め兼ねたので、両方連れて行きます(と言う事で、(9)は“Aja“にしておいて下さい。)
 そう言えば、後期SDに関しては、どこかの評論で「様々なミュージシャンを起用している割には各人の個性が伝わって来ない。何故なら、余りにもSDの楽曲の個性と現場での介入が強すぎるからだ」的な論調が有りましたが、これにはかなり??です(言いたい事は分かるのですが)。
 “Glamour〜”のSteve Khanならではのふくよかなのにエッジの立ったギター・ソロ、“Aja”の方でもタイトル・ソングのSteve Gaddの超絶的なドラミング、“Peg”でのJay Graysonならではの殆んど沖縄民謡音階的ギター・ソロ、“Black Cow”でのTom Scottの厚み有る夜のしじま的ブラス・アレンジ等、それぞれで(むしろ楽曲の良さに嬉々として)各プレイヤ-の出している色合いの濃さったら無いと思うのです(しかも、それが見事にSDの描く各曲の個性に同化してるし)。う〜ん、も一回聴こうっと(もはや中毒?)。

17


ARTIST:山下 達郎
TITLE:「Circus Town」(1976)
COMMENT:
 この辺で、やはり日本語を忘れない為にも生まれ育った国のアーティストを連れて行きます。とは言え、誰をピックアップするか色々迷う処ですが、ここは一つやはり「ヤマタツ」で。
 でも、う〜ん、好きな曲は数多く、“Windy Lady”と“アンブレラ”と“甘く危険な香り”と“Your Eyes”と、ってキリ無いんですが、これだけでもうオフィシャルなベスト・アルバムからもはみ出してますね。
 と言う事で、どれか一つと、Charlie Carreloのノスタルジックなストリングス・アレンジと、Will Leeの重くて跳ねるベースにAndy Newmarkの「バケツの底スネア」が炸裂する1st.を選びました。この年代にしてこの楽曲、この完成度は、やはり日本人アーティストとしても群を抜いていると思います。(近年Moominが素直にカバー(1998)した)“Windy Lady”一つ取っても秀逸です。
 そう言えば、1985(86?)年頃に某FM局のスタジオ・ライブで放送された、RealThingの“Rainin’ Through My Sunshine”、Niteflyteの“If You Want It”(duet with吉田美奈子!)等 の、実に優れたカバー演奏集。今やシャーシャー言ってるカセット・テープで未だに聴いていたりするのですが、これって永遠に商品化される事は無いのでしょうか?(達郎の事だから、局マスターとか保存してあると思うんだけどな〜。)

18


ARTIST:荒井 由美
TITLE:「Cobalt Hour」(1975)
COMMENT:
 やはり、ヤマタツ独り選んでユーミンを外す訳にはいかんです。でもね〜、私にとって(恐らくファンの方も皆)この人こそ、一体どれを連れてくかアルバム・オリエンテッドの選択ではとても成り立たないアーティストなのですね。
 例えば、この次の“14番目の月(1976)”にしても“さざ波”、“さびしさの行方”はもう最高ですし。
 にも関らずこのアルバムを選んだのはもう、タイトル曲の存在以外何者でも有りません。このジェットコースターで下降して行く快感の様に半音ずつ下がって行くコード展開と、何んと言ってもJaco Pastrius張りの細野晴臣ベース・ラインが絶品です。この曲とTin Pan Alleyの“Copper’s Boggie (“キャラメル・ママ(1975)収録”)”は、間違い無く日本の70年代最高のファンク・チューンだと思います(“Copper’s〜”の方の後藤次利の「チョッパー」ベースもLouis Joshson並みに凄いですが)。
 細野晴臣は作曲家としては好きなアーティストではありませんが、とにかくこの曲でのベースは、ライン取りの他、音質も最高だと思います。相対的に松任谷のアレンジは、残念乍らユーミンのアーティストとしての寿命を縮めたと言うのが私の持論なのですが、ここではユーミンの作曲能力+演奏者の魂の鬩ぎ合いがアレンジ云々を凌駕していると思います。
 尚、ユーミンについては、「マイ・ベスト90分:メタル・テープ全5巻、計104曲」(1st.“ひこうき雲(1973)”〜“Cowgirl Dreamin’(1997)”まで)を作成していたりするので、その後の2枚のアルバムも加えてリニューアルしたりした結果等、別トピにして立ち上げて皆さんと「激論」(怖)したりの構想を持っておりまする(ところで、早くCD-RWの90分モン、世に出ないもんでしょか?)。

19


ARTIST:Weather Report
TITLE:「Heavy Weather」(1976)
COMMENT:
 ここん家(家なのか?)は、私にとっては完全にWayne ShorterとJaco Pastriusの2人にしか目が行っていませんです(でもってJoe Zawinulは好きではないです)(Zawinulファンの皆さん悪しからず)。
 で、Shorterで言えばMiles Davisの“Nefertiti(1967)”、Jacoで言えばJoni Mitchelの“Shadows And Light(1980)”の2枚も連れて行きたいのですが枚数がもう…(涙々)。
 因みにこのアルバムの“Paradium”と、1つ前“Black Markect(1976)”の“Elegant People”(いずれもShorter作ですね)は、WR作品中、最も好きな2トップです。(以上、従って、このアルバム中、一番有名な“Birdland”は一番好きくない類の曲です)(捻?)
 思えば彼らの初来日、バンド仲間と郵貯ホール最前列チケットを死守し、握手してもらったJacoの手は柔らかかった。
 そうそう、Jason MilesのWRトリビュート“Celebrating the Music of Wather Report(2000)”の“Paradium”もアレンジ良く、中々お奨めです(Randy Breckerのトランペット・ソロも秀逸ですし)。

20


ARTIST:Bobby Caldwell
TITLE:「Bobby Caldwell」(1979)
COMMENT:
 うぅ。くっ苦しい〜。自分の中では、じゃあ何んで近年作 “Barefoot On the Beach(1999)”も素晴らしかったMichael Franksの“Sleeping Gypsy(1977)”辺りや、David Packの伸びやかな哀愁ボーカル満喫の“One Eighty(1980)”、長く幻だったErick Taggの“Rendez-Vous(1977)”、瑞々しいTOTOの“1st.(1972)”、Gino Vanenelli渾身の名盤“Brother to Brother(1978)”、鮮烈なEric Carmenの“1st.(1975)”、こ洒落たRupart Holmesの技有り盤“Partners in Crime(1979)”、永遠の青年?Ned Dohenyの“Hard Candy(1976)”、ご存知Boz Scaggs親爺の“Silk Degrees(1976)”、近年CCMの傑作Michael English“Heaven On Earth(2000)”、ロックとR&Bの優れた融合Stevie Wonderの“Talking Book(1972)”、職人の技有り盤Leon Wareの“Leon Ware(1982)”、未だに存在際立つFinis Hendersonの“Finis(1983)”とかとか、を持っていかないの? それで良いの? と言う事になるもんで…。
 でも、このアルバムとのほんのミリグラムの差は、2曲目の“My Flame”。この曲の存在一つに尽きます。この怠るい甘さには、もう中毒状態以外何者でもありません。この曲と“Carry On(1982)”収録の“Jamica”は、Bobbyの中でも最高傑作では無いでしょうか?(近年のFrank Sinatra気取りには感心しませんですが)

21(?)

ARTIST:Frank Zappa
TITLE:「Hot Rats」(1969)
COMMENT:
 え〜、このアルバムは…、え?もう枚数オーバー? そっか、バレましたか?知らん振りで突破しようと思ったんですが…(笑)。まあ、惜しくも20選から漏れた次点と言う事でしょうか。
 でも、“Peaches En Regalia”と“Little Umbrellas”は、この時代に生まれた曲としては、奇跡的としか言い様の無い先進性と一種の狂気、そして醒めたインテリジェンスを兼ね備えた音楽だと思いますよ。