「バカ――――ッ!!」

そんな叫び声というか怒鳴り声というか…

まぁそんなものが学校中に響き渡ると同時にビタ――ンッと、恐ろしく鈍い音がした。

あっという間にシンッと静まりかえってしまった校内に

いつもなら大きく響かない、誰かのバタバタと走る音がする。

その音もだんだんと小さくなって…全校生徒(先生も含む)は大きく息をついた。

考えることは皆同じだ。

またか……

よく晴れた、5月のある日のこと。

昼食を終えてお茶を楽しんでいた校長先生は

(推定64歳。ハゲ系ではなく白髪系の老い先短いジジイ)

一息つくと窓の外の青空を眺めた。

「…若い子はいいねぇ。」



 

 

五月のころ

 

「ひなたー、あたしあの子のトコ行ってくるから」

「あたしも行こーか?」

「ううん、それより、これ預かってて?」

友人・ひなたに向かってネコのキーホルダーのついたなにかの鍵を投げ渡すと、

響子は何度も何度もため息をつき、バリバリ頭を掻きながら、

じつに面倒臭そうに屋上へと向かった。

目的はただ一つ。

あの人騒がせな親友を見つけるため。

響子とひなたと、その親友は、悩み事があったりするとよく屋上へ行く。

そこだと誰もいなくて落ち着くのだ。

普段屋上は鍵がかかっていて外に出られないのだが…

なんと3人はこっそりと合鍵をつくってしまったのだ。

どうやってつくったかは…まぁ、アレだ。世界の神秘というヤツだ。

ただ、響子は今鍵を持っていなかったりする。

さっきひなたに渡したのがそうだ。

でもまぁ、彼女は屋上にいるだろうし、

外から鍵がかけてあっても呼びかければ開けてくれるだろうし…

響子はドアノブを念のために1回まわしてみて、

鍵がかかっているのを確認してから2度ノックした。

「サヤカ―っ!あたし、響子!ねぇ、開けて?」

そう呼びかけると、扉の向こうで誰かが動く気配がした。

「響子…?鍵は?ひなたは?」

「今日ちょっと忘れてきちゃったの。ひなたは教室。早く開けてよ」

とっさに嘘をつく。というか、あらかじめ聞かれたらそう答えるように考えていた。

「…1人?」

「1人よ」

「本当に?」

「本当だってば。いいから開けなさい!」

少し怒鳴ってやると、ドアの向こうでからカチャンッと、鍵を開ける音がした。

キィとゆっくりドアが開き、

泣き顔をした親友は響子の姿を認めるとますます顔をゆがめて。

「きょぉこ―――っ!!」

彼女は響子の首にしがみつき、わんわんと泣き出した。

これが響子の親友であり、先程の大音量の発生源であるサヤカだ。

響子は泣くサヤカを一度引き剥がし(じつは首絞め状態だった)、なだめながら屋上へ出た。

そして一体何があったのかと尋ねる。

「翔くんがぁ!」

それを聞いて響子はヤッパリと頭を抱える。

サヤカの彼氏、桜井翔は学校一カッコイイ。

学校一というか、県一といってもいいかもしれない。

(ちょっと世界一とは断言できない。自信ないから。

ホラ。だって塚本くんとかタッキーとかいるし…2人に共通点なんてないけどさ)

なんてったって、あのジャニさん事務所所属のアイドルなのだ。

校内でも校外でも、日本中で大人気で、それゆえに今までにも何回かこんなことがあった。

ちなみに、今回のはこんな理由だ。

ここから先、しばらくサヤカの回想シーンをお楽しみください。

―――お昼休み。午前の授業が終ると、

サヤカはカバンを持って愛しのダーリン(うわっ!!)、翔の元へと走った。

翔の方も、サヤカの姿を認めると、廊下から手を振る彼女に笑みで答え、

サイフを持って教室を出た。

途中で購買に寄り、翔の昼食を買ってから生物室へと向かった。

(ちょっとコワイけど、誰もいなくて2人きりになれるから、

2人はいつもそこでお昼を食べている)

2人向かい合って座ると、サヤカはおもむろにカバンから1冊の雑誌を取り出した。

「じゃーん!」と、満面の笑顔でその雑誌の表紙を翔に見せる。

「お前っ!ソレ今日発売の『Oyujo』じゃねぇか!どこで手に入れてきたんだよ!」

「『Kiosk』で並んでたから買ってきちゃったv」

果たして『Kiosk』に『Oyojo』が売っているかはナゾだが、

まぁそれはいいとして、サヤカは上機嫌で雑誌をめくり始めた。

『Oyojo』といえばジャニさん雑誌といっても過言じゃないほど

ジャニさんアイドルが載っているのだ。もちろん翔も例外ではなくて。

サヤカは一番に翔のページを開いてほぅっと息をついた。

「やっぱ翔くんが一番カッコイイね」

「お前…当たり前だろ?」

翔は真っ赤になり、恥ずかしそうに視線をずらすと、拳の裏で軽くサヤカの頭をこづいた。

サヤカもへへっと笑い、少し嬉しそうにたたかれた額を押さえる。

そこまではいい。

それまでは「お前らなに言ってるんだ!?」というような

ラブラブな会話をしていたのだが…

悪夢ってのは突然訪れるものである(要注意。テストに出る)。

サヤカがあることに気付き、全ては始まった。

「…アレ?これカッコイイね」

サヤカが写真の中に翔を指差す。

翔の右手の中指にはまっている指輪。シルバーのゴツいデザインの…間違いない。

ものすごーく高いシルバーアクセサリーブランド、クロムハーツだ。

「あぁ。いいだろ?衣装にも合ってるし」

「うん。すごくいい。翔くん、こんなの持ってた?これも衣装?」

「いや、この間の誕生日に隣のクラスの女の子にもらって、

打ち合わせの時に『クロムハーツ持ってる』って言ったら…」

そこまで言って翔は「しまった」と口を閉ざした。

指輪を、隣のクラスの女の子に……もらったぁ!?

サヤカはガタンッと椅子を蹴り倒して立ち上がり、

涙のにじんだ目でキツく翔を睨みつけると大きく息を吸った。

…あとは、想像どうりである。

サヤカはカバンをひっつかんで生物室を飛び出し、

残された翔はひっぱたかれた頬を押さえて。

(音はでかくいいかんじに響いたがあまり痛くはない。

ホラ、スリッパでたたかれたときもいい音がする方が痛くないって言うでしょう?)

というわけで回想シーン終わり。

なぜか2人して屋上のど真ん中に正座し、

サヤカの話を聞いていた響子は深く深く息をついた。

「ひっく…も、ダメ。もぅ…別れる」

「…あんた、今まで何回そう言ったか分かってる?」

「でも…今度こそダメだもん」

「そりゃ、プレゼント受取った桜井くんも悪いかもしれないけど、

だったらあんた、男の子からティファニーの指輪貰って捨てられる?」

サヤカは少し考えてからふるふると首を横に振った。

「だったら桜井くんだけ責められないじゃない?

彼女がいるって知ってるのにプレゼントなんか渡すその女が悪いのよ」

そう言うと、サヤカはもう一度首を振った。

「そ…じゃ、ひっく、ないの。あたしがイヤなのは、

ひっく…貰ったこと隠してた…ひっくことなの。

なんだか信じてくれてないみたいで…

でも、ひっく…そんなふうに考えちゃう自分がもっとイヤ」

響子は今までの呆れ顔ではなく、優しく笑んで息をつくとポンポンと頭をなでてやった。

「だいじょーぶ。あんたはちゃんと分かってるから。

今あたしに言ったこと、全部桜井くんに話してきな?ちゃんと仲直りしといでよ?」

サヤカは一度涙を拭き、しゃくりをあげながら響子に「でも…」と自信なさそうに呟く。

響子は困ったように息を吐き、からかい半分に「じゃあ別れれば?」と言ってやると、

サヤカはムキな顔して立ち上がり、

「ヤダ―――っ!!どーしてそんなこと言うのよ、響子のバカ!!」

「バカって…あんたねぇ!!さっき『もう別れるー』とか言ってたの誰よ!?

だったら別れちゃいなさい!!」

「ヤダヤダヤダヤダッ!ぜ―――ったいにイヤ!!」

「さっき言ったことと矛盾してるでしょー!?」

いつのまにか響子も立ち上がって口論(と言えるかどうかはナゾ)をしていると、

屋上のドアがバンツと開けられた。そして、

「サヤカッ!!」

つかみあいにまで発達した口論が

(しまいには服や音楽の趣味のけなし合いにまで発展した)ピタリと止む。

ドアのところに立っている翔の姿。

サヤかははじめキョトンとそれを見ていたが、

突然のことに停止しかけた頭が動き出すと…

「なんで――!?なんで翔くんがここにいるの?鍵かけといたのに!」

慌てるサヤかとは違って、

やけに落ち着いてるというかこうなることを分かっていた感じの響子は

翔に安心したように笑いかけた。

「ちゃんと受取ってもらえたみたいね」

「あぁ。ありがとう、響子さん」

そう言って翔は響子にネコのキーホルダーを渡す。

それは、先程響子がひなたに渡した、屋上の鍵・・・

「桜井くんがサヤカのこと探してるようなら渡してってひなたに頼んどいたのよ」

響子は翔から返してもらった自分の屋上の鍵を人指し指にキーホルダーの輪をひっかけて、

クルクル回しながら話してやる。

「ズルイー!!」

「ちょっ…なにがズルイの!?」

「だって、なんで響子が翔くんに鍵貸すの?あたしが貸す!!」

「そんなこと言ったって、あんた、時と場合を考えなさいよ!!今それは無理でしょ!

あんた自分が何言ってるか分かってる?」

「そんなのわかってるわけないでしょ!?」

当たり前だと言わんばかりに答えてくるサヤカ。

……ダメだこりゃ。完全に錯乱している。

響子は深くふか――くため息をつくとくるりと振り返り、

翔の肩の上にポンッと手をのせた。

「…桜井くん、このバカの後始末頼んだ」

「がんばれ」と一言付け加えて、響子は屋上を出て行く。

パタンとドアが閉まったのを確認して、

翔は混乱してまた泣き出してしまったサヤカと向き合った。

「サヤカ…」

なだめようと手を伸ばすとふいっと顔を背けられてしまう。

「もういいよ。翔…くん、人気者だし、ひっく、他の女の子のほうが、

…ひっく、お似あいいだし、あたしなんて…」

ペチン

サヤカは翔に両の頬を挟むようにたたかれてキョトンとした顔で翔を見上げる。

「あんましふざけたこと言うなよ?」

そう言ってから翔は恥ずかしそうに1度顔を背け、咳払いしてから。

「好きじゃない奴となんか付き合わねえよ」

 

チャイムが鳴って、1日の授業がすべて終わり、

部活へ行く生徒やら帰路につく生徒の波に逆らって、翔がサヤカの教室へやってきた。

サヤカは気まずそうに俯き、机の中身をしまい終えた鞄を持って立ち上がる。

すると翔が何も言わずにその鞄を取り上げた。

自分の荷物と一緒に持ち、ぶっきらぼうに空いた右手をサヤカに差し出した。

「ホラ、帰るぞ。」

サヤカは少しためらってから、へへっと笑ってゆっくりその手をとった。

恥ずかしそうな翔と、嬉しそうなサヤカ。

本当に人騒がせなカップルだけど、サヤカのあんな笑顔が見れるのなら、

もう少し見守ってやってもいいかなとか、

周りの人々は2人が喧嘩するたびに考えてしまうのだ。

人騒がせだけど、なんて幸せな2人だろう。

それはある日のこと。

5月の、よく晴れた日のこと…




★☆★あとがき★☆★

 はい、わけわかんないー!!

 先にあやまっておきます。

 ゆうが初めて書いた嵐(?)小説なんです。

 もとは沙耶さんにプレゼントしたもの。

まだあたしが嵐にハマってなかったころだから、ジャニーズけなしてるところも・・・

 ホント、ごめんなさい。

 でも、今は大好きです!!

 ウソじゃないよ?

 ちなみに、これは蓮さんのHPにも載せてもらってるんだけど、

 自分のHPに載せるため少し修正しました。

 しかも、このあとけっこう続くんだけど、(まだ完結してないし・・・)

 翔くんやサヤカのキャラが変わってしまってる・・・

 これも古いしなぁ・・・


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