短い一生の中で、

生涯をかけて、

誰か1人を…愛せますか?

誰か1人のために、

鳴き続けることは、できますか?

 

call

 

ミーンミーンミーン…

ジジッ、ジジジジ…

…なんとなく、2人は無口になってしまう。

生物室は校内で一番風通りがよく、涼しい場所なのだが…

「…ねぇ、翔くん」

「言うな。わかってる」

2人は短く言葉を交わし、大きく溜息をつくと、また黙々と勉強をしだした。

夏休みだというのに、

受験だからと「夏休み学習会」と名づけられた課外に出るため

このクソ暑い昼間に学校にいなければいけない。

本当は教室にいなければいけないのだが、

教室より生物室の方が涼しいので2人はここへ来たのだが…

ミーンミーンミーンミーンミーンミーン……

「……あぁっ!!うっとーしい!!」

先に音を上げたのは翔の方だった。

確かに生物室は涼しい。

が、近くに背の高い木があるせいか、蝉の鳴き声がすごいのだ。

多分、蝉の声の音量では校内で1番だろう。

「なんでこんなに鳴くんだよ!?よけい暑くなってくる!!」

「仕方ないよ。鳴くのが蝉の仕事みたいなもんだもん」

1度気になりだしたらもう無視することなどできない。

2人はペンを投げ出し、休憩にすることにした。

「窓から入ってくる風は気持ちいいのにね」

サヤカはノートに挟んであった下敷を引っ張り出して、うちわ代りにそれで扇ぐ。

「蝉の寿命って2週間ぐらいでしょ?」

「オレならその2週間鳴き続けるのやめて、4週間生きるけどな」

もっともな意見にサヤカは苦笑する。

まぁ、確かにそのとおりなんだけど。

「翔くん知ってる?蝉が鳴く理由」

「…知らねぇ」

机の上に突っ伏している翔はサヤカに扇いでもらいながら首を巡らし、サヤカの方を見る。

「蝉は生涯の恋人を見つけるために鳴き続けるんだって。

2週間しかない命をかけて、いつか出会う誰かのために…」

サヤカは下敷を仰ぐ手を止め、窓の外を見る。

そう考えたら、この声もロマンチックなものに聞こえる…

「って、うるさいのには変わりないけどね」

サヤカはヘラッと笑ってまた下敷を仰ぎだした。

「でも、ホント暑いねー」と、また勉強を始めるサヤカを、翔はしばらく見つめていた。

「……オレも鳴いてみようかな?」

「えっ?」

小さく呟かれた翔の言葉は、サヤカにはハッキリ届かず、サヤカはキョトンッと聞き返す。

翔は悪戯っぽく笑うと、

向かい合って座っているサヤカの制服のリボンを掴み、力任せにひっぱった。

「えっ、なっ!?」

慌てるサヤカをよそに、翔は自分も少し身を乗り出して、

椅子から少し腰を浮かしたサヤカの耳に口元を近づけた。

「………」

そっと呟かれた言葉に、サヤカは真っ赤になった。

パッとリボンを放すと、サヤカは再び椅子に座り、真っ赤になった顔をおさえてる。

「も…ぉ、翔くん!!」

「びっくりしただろ?でも、ホントのことだし」

ケラケラと笑って翔はサヤカの頭をポンポンとたたく。

サヤカは上目遣いに翔を見ると、ヘヘッと嬉しそうに笑った。

耳元で呟かれた言葉。

『好きだよ…』

暑い暑いこの夏に。

自分も鳴いてみようか。

頑なに鳴き続ける蝉のように。

大切な人のため……

 

 

★☆★あとがき★☆★

 でた!!エロマシーン翔くん。

 しかも、最初のほうに比べてサヤカがどんどん乙女化してきてる・・・

 ちなみに、蝉の話は本当ですよ?

 翔くんの「オレならその2週間鳴き続けるのやめて、4週間生きるけどな」ってセリフ、

 ・・・あたしの率直な意見です。

 だってねぇ?2週間なき続けて恋人見つかんなかったら損じゃん?

 ゆうの頭の中は「損・得」、「楽・めんどくさい」を基準に動いている。・・・サイテー。

 コレたしか、サヤちゃんにあげたときそこのセリフを

 「4週間なき続ける」に間違えて慌ててメール送った記憶がある。

 それじゃぁ意味通じねぇってーの。


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