
愛と勇気とチェリーパイ 甘いお菓子のレシピ
「へぇ、コレが翔くんの彼女?」
「カワイーじゃん」
「なにしとん?」
みんなが集まってなんか騒いどったから、後ろから声をかけた。
「あ、亮。見てコレ。翔くんの彼女」
「って、翔くんおらへんけど・・・」
「だって勝手に荷物あさったもん」
「・・・バレたら怒られるで?」
呆れつつ、自分もみんなが見ている写真を覗き込んでしまう。野次馬根性やな。
って・・・おやおやぁ(←「ぶらり途中下車」?)なかなかカワイイ彼女やん。
なんか、翔くんが写真現像したみたいで、20枚はある写真をみんなで見ている。
翔くんも彼女も制服着とるし、場所も学校っぽい。
季節的に高校の文化祭かなんかか?
彼女との2ショットとか、友達とかふざけてるトコとか。テレビや雑誌じゃ見られへん翔くんばっか。
コレ、翔くんファンが見たら、ノドから手が出るほど欲しいのやろぅな。
・・・ホンマにそんなトコから手がでたらごっつ怖いわ。
でも、こんなプラオベートな写真・・・勝手に見とるのバレたらホンマ怒られるわ。
とばっちり喰らわんうちに逃げよ。
オレ知〜らんっとぉ!!
そぉっと、この群れから離れようとしたら、1枚の写真が目に入った。
翔くんの彼女と、その友達っぽい女の子が2人写っとる。
1人はなんか美人な子。この子、ぜったい後輩の女の子とかに人気あるわ。
もう1人は・・・
「コラ。お前らなにしてんだ?」
「げっ!!翔くん!」
「お前ら写真返せ。ホラ、亮も」
「・・・・・・」
「・・・亮く〜ん?」
「うわぁっ!!」
いきなり翔くんに顔を覗き込まれて、思わずさけんでしまった。
あ〜・・・めっちゃびびったぁ・・・
翔くんはすかさずオレの手から写真を取り返して。
・・・アレ?オレいつの間に写真握り締めてたんや?
「なんだ、コレ?こんなの撮ったっけ?アイツ、勝手にオレのカメラ使ったな?」
「しょーがねぇヤツ」とかってぶつぶつ言いながらも楽しそうに写真を見ている翔くん。
「亮?」
なんかボーッとしているオレに、翔くんが声をかけてきた。
「その写真の真ん中におる子が翔くんの彼女なん?」
「ん?この写真でか?」
さっきオレからとりあげた写真をみせながら聞いてくるから、そうだと頷いた。
「そう。真ん中のがサヤカ」
あ。彼女「サヤカちゃん」言うん?
「じゃぁ、残りの2人はその子の友達?」
「あぁ。こっちが響子さんで、こっちがひなさん・・・」
翔くんは途中で言葉を切ると何かを考えて、いきなりニヤッと笑った。
なに?なんなの、いきなり!?
「亮、プリクラやるよ」
「誰の?」
「サヤカの」
なんや。ただのノロケかいっ!?
オレががっくり項垂れたのにも気付かず、翔くんはいそいそとプリクラを入れてある手帳を取り出した。
「この間サヤカがくれたんだよ」
は?翔くんとサヤカちゃんの2ショットじゃないん?
「2種類あるけど、どっちがいい?
ひなさんと響子さん」
「ひなさん!!」
・・・・・・って、なにマジメに、しかも即答しとんねん、オレはぁ!?
「ホレたな、亮ちゃんvvv」
「なっ!えっ?ちが、あの、そのぉ・・・」
なにテレとんねん、オレは!?
・・・すいません。「ひなさん」、めっちゃタイプなんです。
「ひなさん、確かお前のファンだぞ?」
「うそぉっ!?」
うわ・・・どうしよう。
ごっつ嬉しいわ。
――結局この日。
オレは翔くんからサヤカちゃんとひなさん(本名・山下ひなたさん)のプリクラをもらって帰った。
それから、何ヶ月か経った頃。
「なんか・・・お前最近よくオレんトコ来るよなぁ・・・」
啓兄が言ってくる。
う・・・んなコト聞かんといて?
啓兄・・・本当は都啓一いうんやけど、啓兄はオレの従兄。オカンのお姉さんの子供やねん。
本業はミュージシャンなんやけど、老後の楽しみ(?)とかって、喫茶店経営しとんねん。
しかも、翔くんの地元で。
もしかしたら、ひなたちゃんに会えるかなぁ〜なんて思ってここ来とんのやけど、
そんなこと素直に話したらからかわれるで、絶対話さへん!!
しかし、このオッサン(←ヒドッ!!)イタイとこついてくる・・・
「え、えぇやん、べつに。啓兄のメシうまいもん」
我ながら苦しい言い訳やぁ・・・(涙)
「ふ〜ん・・・ま、タダ飯食っとんのやから、買い出しぐらい行って来い」
オレは啓兄に無理やり買い出しメモも持たされ、店を追い出された。
あんの、クソジジィ!!(←コラァ!!ミヤちゃんの悪口言うなぁ!!)
だいたい、なんで「老後の楽しみ」に喫茶店やねん。ただのシュミやろ!?
バイトの女の子のウェイトレス服が物語っとるわ。
でも・・・あの人、毎年ツアーとかやっとんのに、その間店どうしとんのや?(本当に・・・)
ブツブツ言いながらもちゃーんと買い物してくるオレ。・・・う、健気やぁ(泣)
買い物を済ませて、店のドアを再び開けて中に入る。
ドアを開けると、上についたベルが鳴る。
こういうの、今時珍しいよな。・・・やっぱあの人のシュミや。
「啓兄、全部買って・・・」
「あの、困ります!!」
カウンター内の啓兄に買い物袋を渡そうとしたら、奥のテーブル席の方から女の子の声がした。
バイトの子が、変なサラリーマンにからまれとる。
・・・・・・って、あの子ひなたちゃんやん!!
「ヤバッ・・・」
啓兄もひなたちゃんとオッサンに気付いて、慌ててカウンターを飛び出そうとしたけど、
持っていた買い物袋を押し付けることで止めた。
「亮?」
「オレが行く」
だって、ホレた女の子がからまれとんのに、黙っとるワケにはいかんやろ?
スタスタと2人に近づいていって、
ひなたちゃんの後ろから、ひなたちゃんの腕をつかむオッサンの手をつかんだ。
「おっさん、この子困っとるやん。放したり?」
――・・・これが、オレとひなたの出会いだった。
あとがき
ひなたと亮の過去の話。
2人はこんなふうにつながっていたんです。
そういえば、啓一さん、ツアーのときはお店閉めてます。
張り紙とかはってるんでしょうね。
「ツアー開始につき休業します。
みんな見にきたってー?」とかって??
・・・バレバレやん。
そういえば、亮くんの啓一さんの呼び方、「啓兄(けいにぃ)」。
・・・ゆうのシュミです。
最近ゆうは啓一さんを「ミヤちゃん」と呼ぶ。(関係ナッシ!!)