フリー雑誌等のプッシュ記事

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HMVフリー雑誌 104(ARP-MAY)

「癒し」ではなく、傷ついたものだから故の優しさを歌い、不安だからこそ幸せを
噛みしめる。誰もが体験するからこそ誰も表現できない。それがGARNET CROWの歌。

 GARNET CROWの音楽へ触れるたびに感じるのが、刹那さや哀愁を秘めた中村由利の歌声へ
触れれば触れるほどに、心が優しく癒されてゆくということだ。いわゆる母親に抱かれた・・・
と言うよりは、愛しくも大切な人と触れ合ってる時に感じる、無情な喜びと、その裏へ
隠された切ない想いのような・・・。
 1月末に発表した1stアルバム「first sonudscope〜水のない晴れた海へ〜」が、
オリコンのアルバムチャート初登場6位を記録。いまだコンスタンスに売れ続けて
いるのも、在り来りな言い方だが、時代の流れに左右されない独自の世界観を彼らが
描いていたからこそだ。そんなGARNET CROWが、早くも通産7枚目となる新作マキシ・シングル
「Last love song」を、市場へ送り出した。
 クールでダウナーなデジ・ビートの上で、雄大な旋律を奏でていくアコースティックギターの
音色。そんな初夏の爽やかな・・・でも、ちょっぴり憂いを秘めた生身なサウンドの上で、
”共に生涯の愛を育んでいくためにも、この歌を君に送る最後のラブソングにしよう”
と歌い綴られてゆく、「Last love song」。
 ”幸せと不安”と言う、つねに人の心へついてまわる二面性な想いを、詩、メロディ、
サウンド、歌声すべての中へ巧みに織り込んできたGARNET CROW。そんな表裏一体な
心模様を、とてもまどろんだ想いとして昇華してうく、中村由利のハートフルな歌声・・・。
 またC/Wの「Jewel Fish」は、同じくデジタルなビートとアコースティックなギターの
旋律を主軸に据えた、「Last love song」の世界観とは一転、とても伸びやか、かつ開放的な
想いに満ちあふれた、ポップソングとして仕上がっている。
 収録した2曲とも、一発で耳へ飛び込んでくるインパクト勝負の楽曲・・・と言うよりも、
ジワジワと身体の内側へと浸透し、何時かしか心の中のスクリーンへ耽美的な映像を
映し出してゆく。例えばこんな・・・。幸せを力いっぱい抱きしめた恋人どうしの姿・・・が、
その幸せな二人の気持ちの放射線が描いた、その先の運命とは・・・。
 とても意味深な言葉の数々。その想い達の答えをどう受け止めるかは、きっとその人自身の
今の心境と重ねあわさってこそ、初めて見えてくることのような気もする・・・。
とにかく、本当に噛みしめれば噛みしめるほどに、様々な情景を描き出していく、
良質な歌なのは間違いない。
 季節は、爽やかな風とほんの少しの放熱を放つ、とても心を開放していきやすい”初夏”の
ページへと進んできた。そんな、まだ青青さやほろ苦さも感じさせるこの季節だからこそ、
芯には強い情熱を秘めながらも、爽やかさと刹那さの2つの香りを放ってゆく、この
「Last love song」「Jewel Fish」が、心地よい最高のパートナーに見えてくるのだろう。
 これからの季節、この作品を抱きながら、心地よい外の風景へと繰り出すのも、一計かもしれないね・・・。 文・長澤智典


FLYER 4 No.70 (waveフリー雑誌)



”寂しい夜に思い出すのは/愛した人より愛された日々”
幸せな日々への追憶を綴った、哀らしく柔らかなラブ・バラード

 誰も別れることを前提に”恋”なんか始めやしない。でも月日を重ねるということは、
お互いの本音を深く深く知りゆき、絆を深めていくことであると同時に、それぞれ
の気持ちの溝もクッキリと映し出してゆくことでもある・・・。
”時が経つことに怯えて泣いてた/変わりゆく人の心に”
 嫌が応でも、時は勝手に時間軸を前へと進め。否が応でも人を成長させてゆく。
生きるということは、たくさんの出会いや経験を重ね、知識を積み重ねてゆくこと・・・。
そう思えば成長に合わせ気持ちが変化してゆくのは当然のことだろう。よく久しぶりに出会うと、
「昔から変わらないね」という言葉が交わされるが、それは表面上の印象であって、
絶対に本質的な部分というのは変化し続けているもの。確かに長年ズッと連れ添い
続ける友人も存在するが、一時はよく遊んでいたけど、いつの間にか疎遠になってしまった
友人たちだって、たくさんいることだろう。やはりその一番の原因は、心の成長によって
生み出される、価値観の変化によるすれ違いなんだと思う。とくいに恋愛は、お互いの心を
必要以上に求めあうからこそ、すれ違いの溝が生まれたときには、修復不可能な亀裂に
なってしまうことがより多いのかも知れない・・・・・・。
”望まなければ失わないのに/求めずにはいられないよ/どんな未来がこの先にあっても”
まさにその通りだと思う。強く揺れ動いた感情を止めることは、誰にも出来ない。それは
感情の揺れ動いている本人自身も、そう。本当に心を持って動いた感情は、
理性なんかで抑制することは出来やしないし。その気持ちがあるからそこそ、結果など
恐れず目の前の喜びや幸せを求めようと行動してしまうわけだ。
 人気アニメ「名探偵コナン」のエンディングテーマとしてもON AIR中の、GARNET CROWの
最新シングル「夢みたあとで」は、”幸せを求め心を大きくときめかせた日々に対する
追憶”を綴った、悲哀なミディアム系のラブソングだ、公式HPにヴォーカリストの中村由利は
こんな言葉を綴っていた。
”この歌は卒業の季節にもピッタリな、少し切ない歌になっていると思います。桜の花が
咲く頃に、大切な人のことを想いながら聴いてもらえると嬉しいです”
 かならず終わりの訪れることがわかった上で迎える学校の卒業も、沢山の思い出が
アルバムのように積み重なることにより、結果、切ない思いを強く抱いてしまうことが
よくある。でもこれは、誰もが大人への階段を登る上で”心が強くなる為に
通る通過儀式”のようなもの。だけど恋愛は、”通らなきゃいけないもの”と思って
始める人は誰一人としていないはず。
”寂しい夜に思い出すのは/愛した人より愛された日々”
 僕はこのフレーズが大好きだ。きっとその最中では、”寂しい夜に思い出すのは/
愛した人も愛し合っている日々も”だったかもしれない。
でも物語がピリオドを迎えたときに、確かな想い出を胸に刻めたことが、本当に大切な
心の宝物になってゆくのも確か。そんな物語の1ページを哀愁をもって彩ってゆく、この
「夢みたあとで」。なんかとっても罪作りなんじゃない? だってみんなこの歌を聴いて、
ウッと胸詰まる想いを絶対に感じちゃうんだよ・・・。 文・長澤智典

 

HMVフリー雑誌 116(APR−May、2002)

 

いろんな意見があるとは思うが、ポップ・ミュージックの楽しさとはやはり、
「メロディの良さ」に尽きるのではないだろうか。どんなに実験的で革新的なアレンジが
施されていても、メロディが魅力的でなければ何の意味もない。ナチュラルに身体の中に
飛び込んでくると同時に気持ちがフッと軽くなり、思わず口ずさみたくなるメロディ――
少なくとも僕がポップ・ミュージックに求めているのは、やはりこれなのだ。

そういう意味で、ガーネットクロウの2ndアルバム、「SPARKLE〜筋書き通りのスカイブルー〜」
は、ポップスの素晴らしさをたっぷりと感じさせてくれる作品だと思う。
オリコン初登場6位を記録した1stアルバム「first soundscope〜水のない晴れた海へ〜」でも、
その優れたメロディ・センスは十分に感じることができたのだが、今作におけるメロディの良さは
ここ数年の音楽シーンの中でも出色の出来映えといえるだろう。

その最大の特徴は、いわゆる「洋楽テイスト」の旋律を「日本語のポップス」として再構築する
技術。アラニス・モリセット、クラウドベリー・ジャムあたりをほのかに想起させながら、
決して「洋楽のコピー」の陥ることばく、日本語との相性のよさを持ったメロディをきわめて
ナチュラルに紡ぎ出すセンスは、本気で高水準。すべての楽曲の作曲を手掛けているボーカリストの
中村由利は、筒美京平、大瀧詠一、小西康陽などが形成してきた「日本のポップス」の
良質な部分を、正統に受け継いでいると思う。

また、意味の無いミュージシャン・エゴをしっかりと排除することで、メロディの良さを
十分に引き出しているサウンド・メイキングに好感が持てる。すっきりとしたサウンドの中に
奥深い音楽性をしっかりと感じさせるガーネットクロウのアレンジ力は、岡本仁志(G)と
古井弘人(KEY)の厳密にソフィスティケイトされたプレイによるところが大きい、と思う。
プロ・トゥールスが普及した90年代後半以降に乱造されてきた、パンパンに音を詰め込んだ
(聴き手の気持ちを無視したかのような)ポップスを「うざったい」と感じる僕のような
人間にとって、彼らの音楽はとても貴重だ。

「メロディ、言葉、歌」というシンプルな要素を中心に構成された今作は、優れたポップスにしか
体現できないマジカルな魅力を確かに獲得している。うわべの新しさや流行に左右されない、
ホンモノのポップ・ミュージックだと思う。      文・森 朋之