吹奏楽部員としての私とモーニング娘。

第1章:

 吹奏楽部〜それは集団で楽器を奏でることで音楽を楽しみ、観客に感動を与えることを目的とした部活動である。
真に音楽を楽しみ、なおかつ観客に感動を与えるためには楽器の技術面はもちろんのこと、「楽器を奏でることが、そして音楽がマジで好きだ!」と観客にアピールするための情熱、そして何より「心のハーモニー」が無くては成り立たないのである。
 「心のハーモニー」・・・たとえメンバー全員が楽器の優れた実力を持っていても、メンバー全員の心が一つにならなければ、観客に感動を与えるような演奏はできないのである。そしてそのメンバーの中に、一人だけプロ級に上手い人がいても皆の心がバラバラならその人の魅力さえ台無しにしてしまう。逆に皆が皆平凡な実力であっても、心を一つにして演奏すれば観客にその思いが伝わる。それを実現するために何より必要なのが「心のハーモニー」なのである。
 僕が中高一貫の男子校時代に所属していた吹奏楽部は決して上手なわけではなかった。トランペットを担当していた僕ははっきり言って下手くそだった。他の仲間達にもずば抜けて上手い人はいなかった。いるとしたらせいぜい音大を目指してプロから個人的な伝授を受けたものぐらいだろう、それも?年に1人の低い確率で・・・。だが部員生活は言葉にならないほど充実していた。きっと「心のハーモニー」があったのからだろう。もちろんその実現は決して簡単なものではない。いろんな地域からいろんな性格の野郎どもが集結するような学校で、しかも自然と人間関係が濃くなる部活だったから当然いろんな出来事があった。もちろんそれがいい出来事ばかりでなかったことは言うまでも無いだろう。むしろどちらかと言えば辛いことの方が多かった。だが、その辛さを仲間達と経験することで絆を深めなければ絶対に「心のハーモニー」は完成しなかった。
 振り返ればモーニング娘。はどことなく吹奏楽部に似ているような気がする。人数は変化するし、ずば抜けて上手い人はいないし、顧問(つんく師匠)からは「劣等生」と言われる人までいる。だがコンサートでは言葉にできないほど激しい感動が伝わってくる。スタイルは違うかもしれないが彼女達には「心のハーモニー」がある。昔からのファンである友人に誘われて初参戦となった2000年5月21日、そう市井紗耶香卒業コンサート(日本武道館)からいきなり感じ取ることができたのである。特に最後にメンバー全員からコメントと花束を受けるシーン、あれを見ると僕達の引退コンサートを思い出して仕方ない。そのころからだった。僕が彼女達を見守ってこうと思ったのは・・・
 こんなに有名になると根拠のない噂もたくさん流れてきっと辛い思いをしてるかもしれないが、このモーニング娘。で得るものはきっと大きいはず。「ダディドゥデドダディ」ではないが仲間達と「心のハーモニー」を奏でられるのも1回きりの青春だけである。青春の中身が薄くなる現代だからこそ、彼女達に「仲間達と一つの目標に向かって突っ走る」ことの魅力を伝えて欲しい。

そして私は観客としてのポリシーを持っている。それも吹奏楽から受けたものだった。
吹奏楽部入部して初めての本番は文化祭であるが、楽器がそれ程吹けない中学1年生はその半分を「観客」として過ごすのである。それ以後も部活ぐるみでプロのコンサートをたくさん観に行ったが、そこには「良い出演者となるには、まず良い観客にならなければならない」「内容が良いコンサートは観客の態度も良い」といった音楽系部活動にありがちな座右の銘があるのだが、それはモーニング娘。に限らず様々なコンサートで観客になる時の僕につながってると思っている。
 僕は観客を「コンサートを構成する第3の出演者」と考えている。第1はステージに立つ出演者、第2はそれを支えるスタッフ、そして第3は彼等を盛り上げる僕達なのである。必ずしも観客と出演者は相反するものではないのだ。当然どんなコンサートにしろ気を入れないものはない。もちろんその場その場の雰囲気はしっかり読み取ってのことだ。そう、「心のハーモニー」は決してステージに立つ人だけのものではない!コンサートを構成する全ての人が自然に持つものなのである。

 また僕はこのHPのMAIN CORNERで「音楽療法所」なるものを運営しているが,、それもまた吹奏楽部の影響が強く出ている。当然アマチュアなのでプロのスタッフなどいるわけなく、一般の生徒に司会、舞台配置、受付などの仕事の指導をしたりパンフレットの執筆・編集も全て僕らの仕事であった。たまたまパンフレットの執筆・編集を担当していた僕はいつしか音楽系のライターの夢を持つようになった。今でも数ある将来の夢の中の一つであることは言うまでも無い。
 曲というものは聴くだけでも伝わるものがたくさんあるが、歌詞カードや解説などの文章によってより多く伝えることができる。CDデータなんかは歌い手と聴き手の橋渡しをするものであろう。最初ファンになりたてのころはそんなことなど思いもしなかったのだがいつしか橋渡し役になろうと思い始めた。
 行き付けのとある楽器屋でのこと、よく相談相手になってくれた店員さんと昔の名アーティストの話をしてると、彼は「これらのアーティストが今でも忘れられないのはなぜかわかる?」と、僕は「彼らの功績がすごかったから」としか答えられなかった。店員さんは「もちろん彼らの功績もすごいが、それ以上にファン達が彼らの魅力を後世に伝えようと熱心だったんだ。ビートルズなんか解散して30年たった今でもFCあるからね。君も何かのファンになってると思うけど決して軽い気持ちでやっちゃダメだぞ!」と、若いわりに悟りきったように言ってた彼の一言はとても重かった。

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2001年9月23日現在執筆中