MUDDY NIGHT

★VEGAS★

三宿Web


2003.11.1
クラブに行くのは初めてだった。
正直怖いイメージがあったし、音楽聴くならライヴのがいいに決まってる!って思ってた。
でも曽我部さんがDJしてるクラブがある事を知り、何事も決めつけちゃいけないなと行こうと決意。
渋谷で少し飲んでから行こうと思ったのが、予想以上に飲んでしまいWebに着く頃にはすでにフラフラしてた。 いつもより頭がクラクラするのはお酒のせいなのか、気分が高ぶっているからなのかわからなかった。
Webに着くとそこはとても狭いところで、なんだか不思議な空気が流れていた。
とりあえずもう1杯、お酒を飲んでフロアへ繰り出す。
しばらくして曽我部さんらしき人が目の前にやってきた。気づけないくらい、あまりに突然のできごと。ほんの一瞬だけ時が止まったような感じがした。 周りにまで聞こえてしまってるんじゃないかっていうくらい、自分の心臓がドキドキいっていた。こんな風になったのはどれくらいぶりだったろう・・・。
気が付いたらあたしは曽我部さんのもとに駆け寄っていた。酔っているのと、嬉しいのと、泣きそうな気持ちでいっぱいだった。 そんな状態だったからきっと話していることは支離滅裂だったと思うのだけれど、曽我部さんは優しく、頷きながら聞いてくれた。
「いろいろ悩むことがあったんですが、曽我部さんの歌を聴いて人生が変わりました。家族、友達、大事なものに囲まれていることに気づけて、今とても幸せなんです。ありがとうございます。」
あたしはおそらくこんな事を話したと思う。それに対して曽我部さんはこんなことを言ってくれた。
「そう言ってもらえると、俺も曲を作っててほんとに良かったって思うよ。嬉しい。これからもっといい曲をかけるように俺も頑張るね。どうもありがとう。」
そして手を差し伸べてくれて、あたしたちは握手を交わした。温かくて大きな手だった。「ありがとう」はほんとはあたしが言うことであって、曽我部さんが言うことじゃないはずなのに。 曽我部さんには感謝しきれない。言葉だけでは伝えきれない。だけど曽我部さんは微笑んでくれた・・・少しでいいから、握った手から言葉だけでは埋められない想いが伝わったらいいのに、 そう願った。溢れ出すものを止めることなんてできなかった。だってあたしはどろどろに溶けてしまっていたんだもの。
それから後のことは、あまり思い出すことができない。
眩暈がするほどキラキラしたミラーボールと、鼓動に似た不自然なくらい大きなリズム。音楽は流れていて、お酒があって、薄暗い中たくさんの人が踊り狂っている。そして曽我部さんがいる。 それに紛れ込んで消えてしまいそうなくらい小さな自分。溶けてしまった自分。でも時間は止まってはくれない。誰も待っててはくれない。だからあたしも踊り続けなくちゃ。 酔いどれて、足もふらふらだけど。無意識の中で思ったことはこんなことだった。あたしは刹那を体で感じてしまったのだ。すべてを憶えていたい、でもすべてを忘れてしまいたい、そんな衝動にかられた。 絶望にも似た切なさだった。でもほんの少し見え隠れする美しい光がそこにはある。その光はそのうち大きな光となって、世界を包み込んでくれるはずだ。

素敵な素敵な夜・・・これはきっと夢じゃない。





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