昼休みの悲劇


昼休み、重役出勤でPLC学園にやって来たのは一年生のリダだった。


「あっリダだ!!リぃ〜ダぁ〜〜!!」

屋上から聞きなれた声で呼ばれ、かったるそうに見上げれば、幼馴染みが身を乗り出して手を振っているのが見える。

「おいっ!危ねーだろっっ!!」

慌てて階段を駆け上り、屋上の扉を開くと嬉しそうな顔のダイシが飛びついてきた。

ダイシの頭ごしに屋上を見渡すと、アヤの姿も在る。

「このバカ!あんなに身を乗り出したら、危ねー事位分かってるだろっっ!!」

「だって〜リダ来るの遅いんだもんっ!待ちくたびれちゃったよ・・・」

ダイシがリダを見上げると、リダは照れくさそうに顔を背けた。

「オマエ、本当にダイシが関わると素早いナリなあ〜・・・」

「うっ煩いっ!!」

本当の事を付かれ動揺を隠し切れないリダを横目に捕らえながら、アヤはワザとダイシにくっ付いた。

「ダイシ〜明日も一緒にお昼食べるナリな〜♪良かったら明日はアタイがお菓子作って来てやるナリよ?」

「アヤちゃん本当?」

「本当ナリ。ダイシは何が食べたいナリか?」

「う〜〜んと・・・てぃこ焼き!!」

「お安い御用ナリvv」

「たこ焼きはお菓子じゃねーだろ・・・」

ダイシに相手にされなくなったリダは寂しそうに呟いた。

「細かいこと気にしてるから、モテないナリよ!アタイ的には一人分作るのも、二人分作るのも大して変わらないから気にしないナリ〜〜」

「二人分て事は俺のも!?」

「誰がオマエなんかに作らなきゃならないナリかっ!!シーク先輩に渡すに決まってるナリvv」

「・・・きっとリダにもその内誰かがくれるよ!!」

ダイシがフォローになっていないフォローしていると、屋上のドアが開きユラと、シークが入ってきた。

「やあ、皆お揃いで・・・探す手間が省けました♪」

「・・・今日和。」

「あっ、先輩達。こんにちは〜」

「シーク先輩今日和ナリvv」

「アヤ君、僕も居るんですけどねぇ・・・まあ構いませんけど・・・皆さん、今日の放課後に会議を開きたいので残ってもらえますか?」

アヤに無視された事を気に留める素振りなど見せず、ユラは三人に報告事項を伝えた。

「あっ、ダイシ君、そんな訳で部活に遅れる事になるだろうけど平気かい?」

「大丈夫です。ちゃんと遅刻届出しますから!」

ユラはポケットから飴を取り出すと、ダイシの頭に手を置きながら手渡した。

「怒られる様でしたら言って下さいね?僕の方から説明しますから♪」

楽しそうに会話をしているダイシの背後には心底面白くなさそうな顔のリダの姿。

アヤとシークは最早そんな三人など眼中にすら無いようだった。

「ダイシ、生徒会の後に部活出るんだろ?待ってるから一緒に帰ろうな。」

ダイシとユラの会話が終了したのを見計らって、リダがダイシとユラの間に割り込む。

「えっ、結構遅くなるかもしれないけど平気?」

「何時間でも待てる。」

「じゃあ、一緒に帰ろうね!」

「シーク君、お邪魔みたいだから僕達は失礼するとしようか。」

「そうですね・・・」

少し名残惜しそうなシークを連れて、屋上を後にしようとしたユラはドアの前で思い出した様に口を開いた。

「あっ、リダ君!」

「何すか?」

「君の担任の先生から相談されたんですけど、最近遅刻が多いみたいですね?」

「・・・最近じゃなくて前からナリ。」

「今日も遅刻した様ですし・・・生徒会が終わり次第各階のトイレを掃除して下さい♪」

「・・・」

反論出来ずにいるリダを追い詰めるかの如くユラは笑顔で続けた。

「生徒会の後はダイシ君を何時間でも待っている様ですし、平気ですね?・・・ああ、男子トイレだけで結構ですから♪」

「はい・・・」

凍りついたリダが口に出来た言葉はこの一言だけだった。


「本当にアイツ馬鹿ナリな・・・」

「ダイシ君が好きなら朝から一緒に来ればいいと思うんですけど・・・」

ユラに続き、屋上を後にするアヤとシークの呟きがリダに届く前にドアは閉まっていた。

「リダ、元気出しなよ。あっ、遅刻届出さなきゃいけないから僕も行くね!ちゃんと授業出なきゃ駄目だよ?」

ダイシが屋上を立ち去った後も固まったままのリダに追い討ちをかけるかの如く、授業開始のチャイムが鳴り響いていた。




☆終わり☆