ひとり



―遊びのはずだった―
―愛する事なんてないと思ってた―
―私が犯した過ちはあなたを愛してしまった事―
―結ばれる事のない想い―
「もう帰るの・・・?」
レイナが快彦に聞く。
「聞かなくても分かってるだろ」
快彦はそう冷たく言い放つ。
「・・・・帰らないで」
分かってる。あなたがあの人の元へ帰ってしまう事。
分かってるけど・・・・・・
「無理だって言ってるだろ。」
快彦は少し困った顔でベッドの中にいるレイナを見た。
「・・・・・ごめん。何言ってんだろうね。ごめん・・・・」
「じゃあ、帰るよ」
「今度いつ会える?」
レイナが不安そうに訊く。
快彦は微笑んでレイナに軽くキスをした。
「こっちから電話するから」
そう言って快彦は帰って行った。
「私ってバカだなぁ・・・」
レイナは快彦の事をこんなにも愛してしまった事に溜息をつく。
叶う事のない愛と分かっていながら、愛してしまった事に。
快彦と出会ったのは半年前、私が前の彼にフラレた頃だ。
あの時は前の彼の事、忘れられなくて・・・
誰かの温もりが欲しかった。
ひとりにはなりたくなかった。
だから快彦に抱いてもらった。
一晩限りのはずだった。
でも、お互いの身体の温もりが気持ちよくて・・・
それからも何度か快彦とは寝た。
そして、私は快彦に溺れていった・・・
快彦のいなくなった部屋は淋しくて・・・
ひとりの孤独を思い知らされる。
あの人を愛さなければこんな気持ちにもならなかったのに・・・
涙が勝手に溢れてくる。
「・・・・っ・・・う・・・」
彼の事をこんなにも愛してしまった事を後悔する。
枕にはまだ、彼の温もりが残っている。
「快・・・彦ぉ・・・」
枕を抱きしめても淋しさが増すだけ。
あなたの温もりをずっと感じていたい・・・
そんな想いだけが募っていく。
無理な事と分かっていても・・・・・
何度も諦めようとした。
でも、出来なかった。
諦めようとすればするほど、もっと快彦に溺れていった。
「抱きしめて・・・キスしてよぉ・・・快彦・・・」
レイナの涙は止まる事はなかった。
いつまでも・・・いつまでも・・・溢れてきた。
レイナは快彦の温もりを思い出しながら、眠りについた
















朝、レイナは携帯の鳴る音で目が覚めた。
「誰よぉ・・・?」
携帯を見てレイナは一気に目が覚めた。
快彦からだ。
「もしもし?」
『もしもし・・・?』
携帯は快彦の物のはずなのに、電話の声は女の人だった。
「誰・・・?」
『あの・・・快彦の・・・』
彼女だ。快彦の。
なんで彼女が私に電話するの?ふざけないで。
快彦の携帯で・・・・
「なんですか?」
レイナは少し不機嫌に答えた。
『すいません・・・快彦が・・・事故に合って・・・』
「え・・・・・・?」
『ホントは知らせたくなかったんですけど・・・やっぱり・・・』
「快彦・・・」
レイナは彼女に快彦の入院している病院を訊いて、足早に病院へ向かった。
「快彦!!」
「・・・・・?」
以外に元気そうな快彦にレイナはホッとした。
しかし、次の瞬間、レイナは地獄に落とされた。
「誰?」
身体が震えているのが分かった。
視界が歪む。
「レイナだよ・・・?分からないの・・・?」
「ごめん・・・分からない・・・」
その言葉はレイナの心に刺さった。
―分からない―
冗談だと思いたい。
いつもみたいに笑顔でキスしてほしい。
しかし、現実は容赦なくレイナに牙をむいた。
「快彦・・・・」
レイナはその場にいるのが耐えられなくなり、病室から走り去った。
「あっ・・・おい!!」
快彦が呼びとめるのも訊かずに・・・
―なぜ?―
―神様。。。私は・・・―
―なぜ、こんな事になってしまったの?―
「うっ・・・・っ・・・・」
レイナの頬には涙が流れていた。
「快・・・彦ぉ・・・」
レイナの心を表すように、雨が降ってきた。
「レイナ・・・・?」
レイナが顔を上げるとそこには健がいた。
「どうしたの?なんかったの・・・?」
健が心配そうに覗き込んでくる。
「健・・・・!!」
レイナは健に抱きついた。
「レイナ・・・!?」
健は驚きながらも、レイナを優しく抱きしめた。
雨の中で二人はずっと抱き合っていた。






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