午前六時。なんとなく目が覚めた。それくらい気持ち良い寝起き。
「ふぁー・・・」あくび一発、
外に出てみると、、、雨が燦々(さんさん)と降っていてちょっと気落ち。
テンションを上げるためにも、顔を豪快に洗ってみてひらめいた!!
「そうだ!晴れる所に走っていけばいいんだ!」
昨日、スーパーで買ったおにぎりを食べながらラジオをひねる。
「今日の北海道地方は・・・」どこ行っても雨らしい。こりゃダメだ。
地図を見て今日の計画を立てる。考えてみれば、富良野って有名なのに、
昨日「麓郷」に行っただけ。もっと見所あるはずだし、ワインでも買って
今夜飲みたい、と思って、富良野市内を観光することにした。
そうと決まったら、テントを畳まなくては。昨日も書いたけど、テントの扱い
って、結構楽なんだね。中学時代の夏の教育キャンプで、みんなでテントを
張ったんだけど、その時は確か設営も撤収も、小一時間くらいはかかってたし、
イライラが募ったのか、グループの中でけんかするやつも出てきて、とても大変だった
記憶しかなかったんだけどね。
さて、次はバイクへ荷物を持っていってパッキング。
今日は荷物をゴミ袋に包まなくちゃ。あぁ、面倒くさい。
それにしても雨が降る。。
この旅、「えぞ梅雨」抜きには語れない旅に
なりそう、とやっと気付いたのだった。小学校の先生から、北海道には
梅雨がないって、教えられたのに。(>_<)
まずは、富良野ワイン工場へ。ワインの製造工程を見た後は、上の階にある、
試飲&販売のコーナーへ。そこで、フルーツワイン「ミュスカ」をGet。
今夜は、これでも飲んで寝よう。
ちょうどお昼時だったので、レストランでご飯を食べて、今度は吹上温泉を
目指す。昨日、キャンプ場で、吹上温泉割引券をもらったので、気が向いたら
混浴露天風呂にでも入ってみよう、というつもりだったのだが。
十勝岳への道は、緩やかな上り坂が続く、北海道ではごく平凡なコース。
なのに、今日は雨とガスのせいで、視界も悪く、
対向車もほとんどなく、後ろから追ってくる車もない。降りしきる雨の中
独りひたすらアクセルをひねる。
霧が深くて、急に現れた未来がすぐに過去のものとなり、また霧の
中に消えていく。時の流れのはかなさみたい。
オートバイって、孤独な乗り物の一つだと思うけど、今日は久しぶりに
感じる旅の孤独感だ。
エンジンを止めて、バイクを降りてみる。
しとやかでみずみずしい小雨の降る音と、どこか遠くで鳴いている鳥の声しか
聞こえない。
都会で感じる孤独感は、冷たさしか伝わってこないのに、
ここで感じる孤独はなぜ暖かくて心地よいものなのだろう。
もしかすると、人の心を潤してくれるのが、孤独の本来の姿なのかもしれない。
そんな独特の孤独感が妙に恋しくなるから、また旅に出たいと思う。
大きな深呼吸をして、走り続ける。
ゆっくりと、かみしめるように道の終わりまで登ってみた。
残念ながら、山なんて全く見えない。温泉もあったけど、もう少し走ってみたくて
先へ進む。美瑛町への下りはワインディングロードが続く。ガスがかかっていたけど、雄大
な景色を感じながら走ることができた。
美瑛町を過ぎ、旭川へ。久しぶりに都会に入った。旭川ラーメンを食べたいと思い
ながら、お店を探しているうちに、郊外へ。気付いたら、比布町(ぴっぷちょう)に入っていた。
北海道では、珍しい名前が目を楽しませてくれることが多い。この町も、ひたすら
縦断しただけだったけど、「エレキバン」みたいな名前が妙に気に入った。
「比布すし」に「比布温泉」。。。ま、まさか、、、そんなことないよねぇ。
でも、肩こりに効く温泉っぽい??
ここらあたりでさっさとテントを張って、それから旭川の方へ遊びに行こう、
寒いからラーメン食べよう!と考えてひたすら走るが、キャンプ場が全く見あたらない。
地図を見て、一番近いキャンプ場まで走ることに。途中、寒くてコンビニで暖かいコーヒー
を飲んで暖を取る。この時期に寒くて暖を取るなんて、北海道ならではだね。
気を取り直して夢中で走ってしまい、気付くとそこは士別市。旭川どころか、ラーメン
のことまで何の話だったのやら。もう六時。宿のことしか頭にない。
そして、「つくも水郷公園」へ。公園に入っていくと、二人の若いライダーを引き連れ、
ハーレーに乗った活きなおやじさんに出会う。「君も泊まりにきたの?」
こうして、キャンプ場を探していたつもりが、公園内にある安宿にみんなで泊まることに
なった。「旅は道連れ」、初体験。
その夜は、みんなでご飯を囲み(コンビニ弁当だったけど)、ウイスキーを頂き、それぞれの
旅の計画の話に花が咲いた。若者二人は北海道初ツーリング(僕と一緒だ)、おやじさんは
今回で七回目というベテラン。
ツーリングは社会人が意外に多い。学生は、あまり見ることがない。
今日出会った人の中にも学生はいない。僕よりも年下の方でももはや学生ではない。
(というよりも、こんな歳になるまで学生やってる方が珍しいか。)
「社会人は、仕事もあるし、だから学生最後の今年の夏こそふらり旅に出るチャンス」と思っていたのに、
実はそうでもなかった。みんな二週間以上のプランで来ている人たちばかり。
意外な事実が地味にうれしかった。そしてそういう生き方をしている人々を、とてもかっこいいと思った。
仕事があっても、それを言い訳にせずに、楽しむことは楽しむ。
北海道で出会う旅人達は、みんな少年のような冒険心にあふれて澄んだ目をしていた。
人生を楽しむ達人にたくさん会えたような気がする。
僕は、あんな風に歳を重ねて「活きたい」と思うのだよ。
おやじさんの薦めもあって、明日は西の海岸線に出て、「オロロン道」を北上し
宗谷岬を目指すことにした。結局明日も、どこへ行こうが雨らしいし。
最北端の町を目指そうっと。
あ、今日買ったワイン、飲むの忘れちゃった!
第三日目 走行距離:225km
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