
近年の我が国におけるコンピュータの普及率はめざましく、
「一家に一台」のパソコンの占有率は「一人に一台」へと変わろうとしている。
携帯電話からも手軽にインターネットに接続できるようになり、
各種携帯電話メーカーは競って新しい機能を開発した為、携帯電話もものすごい勢いで普及を遂げ、
ついには家庭用固定電話の台数を超えるほどとなった。こうして私達はより身近なものとして、
情報を自分のものに出来るようになったのである。
その技術的な進歩を背景に、いつしか私たちは「パソコンを使いこなせないと、
将来企業の中でも取り残される」「パソコンが出来ないとコミュニケーションが取れなくなる」
という危機感、強迫観念に迫られるようになった。ましてや、今日の不況下においては、
より他者よりも抜きんでた技術を、と求める声は大きく、大学では情報系学部学科が続々と設置され、
またダブルスクール化を図ってより専門的な技術を身につけさせようとする動きが高まっている。
こうした動きは次第に低年齢化が進んで、今や小学校の授業にもコンピュータ、
主にパソコンを取り入れたり、インターネットに接続してはクラス単位で情報を送受信したりしているという。
これらは私たちが小学生だった頃には考えられなかったことだが、
たとえば私たちが中学生の頃にはやっとポケットベルが流行し出したというのに、
現代の中学生達は堂々と携帯電話を使いこなしているような時代になったわけだから、
いちいち比較するのはナンセンスだろう。
しかしながら、率先してコンピュータを取り入れていこうとする比較的若年層に対して、
未だパソコン、コンピュータに対する悪いイメージ、マイナスイメージを抱いている人も多い。
「第三回情報化社会と青少年に関する調査」によると、特にテレビゲームに対する親のイメージは
「そう思う」の割合は「今後の情報化社会の中で役立つ」が49.3%、
「子どもの成長過程の一つ」が65.0%、「子どもの人格形成に悪影響」が15.1%、
「もっと運動したり、外で遊ぶべきだ」が65.2%、
つまり、テレビゲームで遊ぶことについて親の意見は「『子どもの成長過程の一つ』と思うが、
『もっと運動して欲しい』」が多数であった。また、社会の情報化が進むにつれて、
どのように生活が変わっていくのかを青少年に聞いたところ、
「人と人とのふれあいが少なくなる」が57.8%、「機械に弱い人が取り残される」が51.9%、
「自由やプライバシーが侵される」が41.1%……等々の意見があげられた。
確かに、コンピュータには、手軽に自己表現をする手段であったり、
情報を自分で選択して取り入れることが出来るなどのメリットがあるのに対して、
プライバシーが守られなかったり、またコンピュータの世界に引きこもり、
他者とのコミュニケーションが上手く取れない子どもを作ったりする要因になり得るのかもしれない。
また、腱鞘炎、ドライアイや頭痛などのコンピュータストレスや、
運動不足による成人病を招きかねない。しかしながら、上手く向き合って、
コンピュータを自己実現の手段としてのみ取り入れ、上手に使っている子どもも大勢いるのである。
コンピュータやパソコンについて、イメージや考え方を青少年に聞いたところ、
「便利な道具である」が77.2%で最も多く、
「使うことは楽しい」が49.8%などとプラスイメージをあげる子どもも大変多く、
またそれは若い世代ほど増加している。そしてそのようなプラスイメージを持つ子どもほど、
上手くコンピュータを使いこなし、情報を発信したり、
取り入れてさらに自分で考えるといった楽しみを自ら見つけ出しているように思えてならない。
コンピュータのもつ二面性を懸念して、初めから関わらずに教育を進めていくとしても、
興味のある子どもは自分で勉強して、積極的に情報化社会の波に乗っていくだろう。
そうなると、コンピュータの出来ない子どもはますますそういった子供たちから後れを取ることとなり、
歴然と差の出来た情報化社会が到来してしまうに違いない。
それに、問題点が分かっているのならば、それを教え、
うまく利用していく術を教えるのが教師のすべき点だろう。
何はともあれ、私たちが思うよりずっと早くから、子供たちは情報化社会の風の中にいるのである。
むしろ、そのような子供たちから、自分たちが教えてもらうような気持ちで、
今後の情報化社会のなかでの学校教育を進めていったら良いのではないのだろうか。